D1の松山です。
2024年6月22日(土)、駒場キャンパス21KOMCEEにて第23回東京大学生命科学シンポジウム(BIO UT)が開催され、学術専門職員の三村恭子さんと共にポスター発表を行いました。BIO UTは、東京大学において生命科学に携わる全ての研究者および学生が情報交換や親睦を深めることを目的としたイベントです。今回のシンポジウムには、東京大学の16の研究科・研究所から200名以上が参加しました。
私は出生コホート研究の参加に関する倫理的課題について、三村さんは胎児超音波検査のELSIについて報告しました。数名の方が私のポスターの前で足を止め、質疑応答の時間を持つことができました。その中でも、「研究倫理の研究というのは考えたこともなかった」というコメントが特に印象的で、他研究科の方々との交流が非常に有意義なものとなりました。
ポスターセッションの後は武藤先生のご講演があり、ELSIが注目され始めた経緯、今日の生命科学とELSIが関わる範囲の広さについての解説がありました。会場には、普段はELSIやPPI(患者・市民参画)とは馴染みのない研究に従事している研究者や学生も多く、私も含めて生命科学とELSI・PPIとの関係を改めて考える良い機会となりました。
2024年6月の公共政策セミナーが以下の通りに行われました。
◆日時: 2024年6月12日(水)13:30~16:00ごろ
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)
◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催
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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
◆報告1
報告者:木矢 幸孝(公共政策研究分野 特任研究員)
タイトル:認知症の超早期予測・予防の倫理的課題:FGIの結果からみえてきたこと
要旨:認知症研究に関する新たな展開として、症状があらわれるよりも前に超早期に疾患の発症を予測し、予防することが可能な医療技術・治療薬の開発が目指されている。認知症高齢者やその前段階にあたる軽度認知障害(MCI)の人びとだけでなく、無症状の市民をも対象に、発症前予測や予防が追求される。このような医療技術等が社会実装される際には実際に享受しうる市民がその予測法や予防的介入をどのように評価しているかを把握することが肝要である。しかし、この点はいまだ十分に明らかにされていない。そこで本報告では、症状があらわれるよりも前に認知症を超早期に予測・予防する医療技術を日本の市民はどのように捉えているかについて、2023年10月に実施したフォーカス・グループ・インタビュー(FGI)の結果を発表する。調査の背景や先行研究の状況を踏まえ、FGIからみえてきたことは何であったのか、社会実装に向けた倫理的課題を考えたい。
⇨指定発言:佐藤 桃子(学際情報学府 博士後期課程)
◆報告2
報告者:北尾 仁宏(公共政策研究分野 特任研究員)
タイトル:新興感染症の蔓延時等におけるCHIM研究とその法的諸課題の概観
要旨:COVID-19パンデミックを受けて、先進国を中心に100日ミッションと呼ばれる国際プロジェクトが進行中である。次のパンデミックでは感染症の発生からワクチン等の実地投入までを100日以内で完遂しようというこの極めて野心的な計画を達成するために、有力な方策として、健常者に人為的な感染を惹起させることを伴うControlled Human Infection Model(CHIM)の利用が日本でも模索されている。しかし、一般に現在の日本ではCHIMを利用した研究に対する認知度自体が低調で、その社会的正当性を担保する論拠をめぐる議論も全く足りていない。
本報告では、CHIM及びCHIM研究自体の意義を確認した後、英蘭豪その他の各国の経験も踏まえたCHIM研究の課題を法的観点から広覧する。各論点に対する報告者自身の暫定的な見解も一応提示するが、むしろ論点提示を通じた議論の叩き台を準備することが本報告の主たる目的である。
⇨指定発言:武藤 香織(公共政策研究分野 教授)
2024年5月の公共政策セミナーは以下の通りに行われました。
◆日時: 2024年5月8日(水)13:30~16:00ごろ
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)
◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催
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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
◆報告1
報告者:三村 恭子(公共政策研究分野 学術専門職員)
タイトル:胎児をみる超音波検査のELSI検討~FGIデータからみえてきたこと
要旨:妊娠中に実施される超音波検査には、妊婦健診で全ての妊婦に実施される通常の超音波検査と、出生前検査のひとつとして、ハイリスクと判断される妊婦や受検を希望する妊婦に実施される胎児超音波検査がある。いずれの検査においても、得られる画像から胎児の形態異常が発覚したり、染色体異常の可能性が指摘される場合があるが、検査実施における妊婦や家族への情報提供や配慮のありかたなどに関する統一見解はまだない。そこで、胎児をみる超音波検査を受けた経験をもつ女性たちへフォーカス・グループ・インタビュー(FGI)を実施し、その経験(検査情報の取得、同意の手続き、検査環境、検査をどう理解しているか・どのような思いを抱いているかなど)について聞いてみた。本報告では調査結果からみえてきた超音波検査受検経験の特徴と示唆されるELSIについて報告する。
⇨指定発言:木矢 幸孝(公共政策研究分野 特任研究員)
◆報告2
報告者:村上 文子(学際情報学府 修士課程)
タイトル:認知症高齢者の意思決定支援における現状と課題
要旨:社会福祉における動向のなかで、近年目立つ傾向の一つとして「Supported Decision Making」という言葉が頻繁に使われるようになったことが挙げられる。定訳ではないが主に「意思決定支援」とされているこの言葉の定義に疑問をもち、国内の先行研究および国が策定したガイドラインに示されている意思決定支援の定義を整理したところ、明確に示されているものはなかった。このことから、意思決定支援の遂行にあたっては、実際に支援を行う個人や団体の解釈によるところが大きく、実践現場間での意思決定支援の実態に差が生じてしまっているのではないかという問題意識にあたった。そこで認知症高齢者の意思決定支援に関する先行研究を調べたところ、実際のケア内容について、介護従事者を研究対象として行われたものはこれまでにないことがわかった。これらの課題を踏まえ、研究計画を考案した。
以上の調査や計画は、発表者の修士課程入学試験における研究計画に基づくものである。修士課程においては身寄りのない高齢者の意思決定支援に着目したいと考えており、その足がかりとなる「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」(厚生労働省,2019年)を最後に紹介する。
⇨指定発言:北尾 仁宏(公共政策研究分野 特任研究員)
こんにちは。D5の佐藤です。
2024年4月8日に、理化学研究所と合同で、海外の生命医科学に関するELSI(倫理的・法的・社会的問題)の研究者の先生方をお招きし、研究発表と意見交換を行うフォーラムを開催しました。
お招きしたのはカナダMcGill UniversityのYann Joly先生、韓国Ewha Womans UniversityのWon Bok Lee先生、台湾Academia SinicaのChih-hsing Ho先生です。
医科学研究所のバイオバンク・ジャパンをご見学いただいた後、お招きした先生方と、理化学研究所の由井さん、公共政策研究分野の李さんが発表を行い、京都大学/理化学研究所の三成先生がコメントをされました。
少人数のフォーラムとなったため、質疑や意見交換が非常に活発に行われ、参加者にとってもよい刺激になるイベントになりました。
Joly先生、Lee先生、Ho先生、ご参加いただきありがとうございました!
4月25日は、国際的に「DNAの日」(DNA day)として知られています。昨年に引き続き、今年も「DNAの日」のイベントが開催されます。今年は、仙台と東京の2か所で開催する予定です。みなさまのご参加をお待ちしております!
■仙台イベント:東北メディカル・メガバンク機構の施設見学ツアー
『DNAの日』見てみよう DNAのあんなこと、どんなこと
【日時】 2024年4月21日(日)14:00-14:50/15:00-15:50 (2回実施)
【場所】 東北メディカル・メガバンク棟(東北大学星陵キャンパス)
■東京イベント:公開セミナー
「DNAの日」を知っていますか?
【日時】 2024年4月24日(水)10:30-12:00
※開場・受付開始は10:00からとなります。
【場所】 東京医科歯科大学湯島キャンパス MDタワー2階/共用講義室1
いずれも、こちらからお申し込みください。
皆さんこんにちは、D1の島﨑です!
3/12に公共政策研究分野の恒例行事である遠足が、上野にて開催されました。
午前は国立西洋美術館にて芸術鑑賞、その後上野恩賜公園のレストランでランチ、午後はグループに分かれてアクティビティに参加しました。
私は脱出ゲームに参加したので、脱出ゲームの様子をお届けしたいと思います!
今回は上野の謎ハウスさんにて、「さよならアリス」という公演に参加させていただきました。
この公演は謎解きや推理要素が強いということで、無事脱出できるかドキドキしましたが、同じチームの李さん、三村さんと、推理や謎解きを進め無事脱出することができました!
非日常的な世界に没入できる感覚がとても楽しく、新しい趣味になりそうな気がしています…!
今年は遠足の企画にも携わらせていただきましたが、皆さんも楽しかったと言ってくださり、さらに良い思い出となりました!
次の遠足も楽しみにしております。
D5の北林です。
このたび東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻医療イノベーションコースにおいて「患者の経験・知識を学ぶ医薬品行政のあり方 -副作用報告とプロフェッション・市民の役割の再配置-」という博士論文で博士の学位(科学)を取得し、3月21日の学位授与式で学位記をいただきました。
社会人学生として職務との両立に苦心した5年間でしたが、学位を取得でき本当に嬉しく感じております。博士論文執筆を通じて、物事を筋道立てて論ずることの難しさと重要性を改めて実感しました。指導教員の井上先生をはじめ、ご指導、ご鞭撻、そして励ましの声をいただいた全ての方々に感謝いたします。
今後も患者・市民参画の推進のために何ができるのか、継続して考えていきたいです。
◆4/17更新:当日の内容を更新し、参加登録の受付を開始しました。
当研究室主催の、2024年度活動報告会/研究室説明会を開催いたします。
公共政策研究分野のメンバーより、取り組んできた研究テーマや活動について、紹介いたします。
また、大学院への進学先として、この研究室にご関心がある方への研究室説明会も兼ねています。
※大学院への進学をご検討されている方は、こちらのページもご覧ください。
◆開催日時:2024年5月18日(土)10:00~12:15 頃 (予定)
◆参加方法: オンライン会議システムZoomを利用します。
◆当日の内容(仮)
1. 当研究室の紹介、大学院の案内
2. 研究室メンバーによる最近の活動報告
(※順不同。報告テーマは仮のものであり、後日変更の可能性があります)
- ゲノム研究におけるデータの多様性:国外の動向と国内の可能性
佐藤 桃子(学際情報学府 文化・人間情報学コース 博士後期課程) - 出生コホート研究の参加児の成長に伴う倫理的課題の検討
松山 涼子(新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 博士後期課程) - 人で初めて行う臨床試験におけるリスク・ベネフィットの再考
高嶋 佳代(新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 博士後期課程 修了) - 認知症の超早期予測・予防に伴う倫理的課題
木矢 幸孝(特任研究員) - 新薬・新ワクチンの開発とCHIM研究:マナーとマネー
北尾 仁宏(特任研究員)
3. 質疑応答
◆お申し込み方法:
下記の申し込みフォームより、事前登録をお願いいたします。
最後に「送信」ボタンを押さないと記入内容が送信されませんのでご確認ください。
https://forms.gle/L8nYxeK3nx5CwfcU8
お申込み締め切り:5月17日(金)12:00まで
※当日参加用のZoom URLは、開始時刻までにメールで送信させて頂きます。
※障害等を理由に特別な配慮をご希望の方は、フォームの欄にご記入ください。後日、担当者から別途ご連絡させて頂きます。
※大学院入試を受験される方は、事前に教員との面談が必要になります。別途、研究室窓口(pubpoli@ims.u-tokyo.ac.jp)までご連絡ください。
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◆本イベントに関するお問い合わせ
東京大学医科学研究所 公共政策研究分野
活動報告会/研究室説明会 担当(渡部、永井)
Email:event@pubpoli-imsut.jp
当研究室では、大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻と大学院情報学環・学際情報学府文化・人間情報学コースの大学院生を受け入れています。
4月6日(土) 16:00-17:00 新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻主催説明会のMeet the Professorに参加予定です。
5月11日(土) 13:30-16:30 学際情報学府主催の入試説明会には参加しません。
5月18日(土) 10:00-12:15 当研究室主催で活動報告会・研究室説明会を開催予定です。追って詳細を公表します。
5月18日(土) 新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻主催説明会の研究室紹介に参加予定です。個別ラボ訪問には参加しません。
出願を検討して下さっている全ての方に、希望する研究計画をまとめた書面のご提出と個別面談をお願いしています。どうぞよろしくお願いいたします。
こんにちは。M2の松山です。
公共政策研究分野では、研究室訪問プログラム「東大の研究室をのぞいてみよう!〜多様な学生を東大に〜」に協力し、3月25日(月)に5名の高校生が研究室に来てくださいました。武藤先生の挨拶から始まり、研究室紹介、エコチル調査の13歳向けのパンフレットを高校生向けにアップグレードさせるグループワークをしていただきました。約1時間という短い時間でしたが、高校生ならではの視点でさまざまな案を出していただき、私たちも非常に勉強になりました。
また、参加者からは「どうやって進路を決めたか」などの進路相談も受け、受験生時代のことを思い出すなど、わきあいあいとした研究室訪問となりました。
プログラムに参加してくださった高校生の皆さま、ありがとうございました。
こんにちは。D4の佐藤です。
2024年2月28日13:30-16:30の院生ゼミにて、研修会社に委託を行い、ゼミ生を対象に「ChatGPTのはじめ方研修」を実施しました。
内容は、対話型のAIに関する説明に始まり、ChatGPTの基本的な使い方や効率的な質問の仕方、研究への役立て方と多岐に渡りました。
個人的にはChatGPTとweb検索の違いがあまり掴めていなかったのですが、基礎的なところを教えていただいたことで、少し研究に役立てる自信がついてきました。
院生のみなさんの関心も高く、今後も研究に役立つ研修が開催できるといいなと思います。
3月の公共政策セミナーは以下の通りに行われました。
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◆日時: 2024年3月13日(水)13:30~16:00ごろ
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)
◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催
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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
◆報告1
報告者:楠瀬まゆみ(新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 後期博士課程)
タイトル:人を対象とする医学系研究における利益共有(Benefit Sharing)
要旨:人を対象とする医学系研究においては、研究参加者や研究参加コミュニティへの利益の共有や提供は、研究への不当な誘引や被験者保護の観点から控えられる傾向にある。他方、国際的に実施される医学系研究で、特に開発途上国において実施される研究では、利益共有の問題は中心的な議論の一つであった。本発表では、利益共有に関して先行して行われてきた国際研究の議論を整理し、日本を含む先進国内における研究参加者や研究参加コミュニティへの利益の共有の議論を行うための課題についてまとめたい。
⇨指定発言:北尾 仁宏(公共政策研究分野 特任研究員)
◆報告2
特別報告:井上 悠輔(公共政策研究分野 准教授)
タイトル:医科研・公共政策での日々と次のことなど
要旨:医科研・公共政策では、助教の頃から14年間、
2月の公共政策セミナーは以下のように行われました。
◆日時: 2024年2月14日(水)13:30~16:00ごろ
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)
◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催
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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
◆報告1
報告者:李 怡然(公共政策研究分野 助教)
タイトル:欧州における健康医療データ利活用の動向と権利保護の議論
要旨:近年、健康医療データを本人の診療・ケアのために一次利用するとともに、医学研究や創薬のために二次利用することが国際的に推進されるようになった。たとえばEU(欧州連合)では、加盟国間でデータを統合することで利活用を促進し、同時に患者・市民のデータ管理権を向上させるためのインフラ構築と法整備が進められている。日本でも、二次利用を含むデータ利活用が目指されているものの環境整備は十分に進んでいない中で、先行する欧州での取組みや目下直面する課題から、手掛かりとなる点も多いと考えられる。
本報告では、2023年下半期にかけてスイス連邦工科大学チューリッヒ校( ETH Zürich )にて訪問研究員として滞在した経験を報告し、スイスおよびEUにおけるバイオバンクやゲノム研究、国境を超えたデータの共有をめぐる動向、患者・市民の権利保護とデータ倫理に関する論点を紹介したい。
⇨指定発言:渡部 沙織(公共政策研究分野 特任研究員)
◆報告2
報告者:河田 純一(公共政策分野 特任研究員)
タイトル:慢性骨髄性白血病の治療における共同意思決定(SDM)
要旨:慢性骨髄性白血病(CML)は、これまで分子標的薬の生涯にわたる服薬が基本的な治療方針であった。しかし、2023年7月に出された『造血器腫瘍診療ガイドラインガイドライン 2023年版 第3版』において、無治療緩解維持(TFR)が臨床における治療目標のひとつに加わった。CML患者にとって、これは、治療方針について情報提供を受け、治療目標の(再)設定が必要になることを意味する。本報告では、2023年6-7月にCML患者家族を対象に大塚製薬と患者会が共同で行った意識調査の結果をもとに、CML患者が診療においてからどのような情報提供を受け、また、自らどのような情報を得ているのか、そしてその上で自らの治療についてどの程度理解し、治療を受けているのかを明らかにする。その上で、ICに基づく共有意思決定(SDM)の重要性を指摘したい。
⇨指定発言:島﨑 美空(大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 博士後期課程)
現在、全国のがんと難病の患者さんを対象とした「全ゲノム解析等実行計画」が進められています。患者さんやご家族のゲノム情報などを公的なデータベースに集めて、診断の質の向上や治療法の研究開発に役立てる事業です。
そこで、今回「全ゲノム解析等実行計画」の全体像や準備状況についてコンパクトにお伝えするセミナーが企画されました。ぜひふるってご参加ください。
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患者・市民・支援者向けセミナー
「全ゲノム解析等実行計画と患者・市民参画」
現在、全国のがんと難病の患者さんを対象とした「全ゲノム解析等実行計画」が進められています。
患者さんやご家族のゲノム情報などを公的なデータベースに集めて、診断の質の向上や治療法の研究開発に役立てる事業です。
そこで、今回「全ゲノム解析等実行計画」の全体像や準備状況についてコンパクトにお伝えするセミナーを企画しました。
ぜひふるってご参加ください。
日時:2024年2月12日(月・振替休日)14:00~15:00
開催方法:ZOOMウェビナーによるオンライン開催
プログラム:
1.ごあいさつ
市村 崇(厚生労働省 医政局研究開発政策課 医療イノベーション推進室長)
2.全ゲノム解析等事業実施準備室の活動について
中釜 斉(国立がん研究センター・JH全ゲノム解析等事業実施準備室長)
3.データ利活用への期待と課題
安中 良輔・白神 昇平(日本製薬工業協会 産業政策委員会 イノベーション推進部会)
4.全ゲノム解析等実行計画と患者・市民参画(PPI)
加藤 和人(大阪大学・JH全ゲノム解析等事業実施準備室 ELSIチームリーダー)
5.質疑応答
参加対象者:
◆難病・がんのゲノム医療や患者・市民参画に関心がある患者・家族・支援者のみなさん
ご注意・お願い:
◆質疑応答では、治療や研究参加に関する個別のご相談は受け付けられません
◆当日いただいたご意見・ご感想は、個人が特定されない範囲で今後の活動資料として使用させていただきます
お申し込み方法:
ご参加される方は事前登録をお願いします。
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_9F-05QAQSTm46tCOWfDYdQ
参加費:無料
お問い合わせ先:ppi.wgs@gmail.com
申込締切:2024年2月12日 13:00
共催:
・国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部(JH)全ゲノム解析等事業実施準備室
・厚生労働科学研究費補助金がん対策推進総合研究事業「全ゲノム解析を基盤としたがんゲノム医療の実
装に向けた患者還元、解析・データセンター、ELSI体制構築についての研究」班(研究代表者 中 釜斉)
・厚生労働行政推進調査事業費補助金難治性疾患政策研究事業「難病に関するゲノム医療推進にあたって の統合研究」班(研究代表者 水澤英洋)
・配信・運営支援:科学コミュニケーション研究所
このたび、バイオバンク・ジャパン(BBJ)では、設立20周年を記念し、「バイオバンク・ジャパン 20周年記念シンポジウム ―ゲノム医療の実装に向けて 20年の軌跡と将来ビジョン」を開催することになりました。
2003年に構築を開始したBBJは、現在約27万人の患者さんの試料と臨床情報を保管し、世界最大級の疾患バイオバンクとして日本のみならず世界のゲノム研究に貢献してきました。本シンポジウムでは、これまでの歩みと研究成果、将来ビジョンをご紹介します。
無料の公開シンポジウムですので、ご興味のおありの方は是非ご参加下さい。
日時:2024年2月3日(土) 13:00 - 17:00
開催形式:Zoomによるオンライン配信
申込方法:事前申し込みをお願いしております。BBJウェブサイトよりお申し込みください。
お問い合わせ:株式会社成光社(運営事務局)
Email: biobank[at]seiko-sha.co.jp (atを@に変えて、送信ください)
Tel: 03-6661-0205(平日10時~17時まで)
講演者等プログラム詳細は、フライヤーをご確認ください。
1月の公共政策セミナーは以下のように行われました。
◆日時: 2024年1月10日(水)13:30~16:00ごろ
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)
◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催
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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
◆報告1
報告者:佐藤 桃子(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース博士後期課程)
タイトル:カナダ滞在報告:ゲノム研究における多様性
要旨:2023年秋にカナダのMcGill大学Centre of Genomics and Policyに滞在した報告を行う。Centre of Genomics and Policyは法・医学・公共政策の観点から分野横断的に、ヒトの健康の促進や予防に関する社会倫理的・法的規範を分析している。ここでの授業の聴講および、実施したインタビュー調査と共同研究について紹介する。共同研究では、ゲノム研究における参加者の多様性に着目した。GA4GH (Global Alliance for Genomics and Health) などさまざまな機関がゲノム研究の多様性について提言を出しているが、日本のゲノム研究者にとっては直接当てはまらない・考慮しづらいケースもある。共同研究では、日本において考慮しうるゲノム研究参加者の多様性について検討したものである。
⇨指定発言:李 怡然(公共政策研究分野 助教)
◆報告2
報告者:亀山 純子(公共政策分野 特任研究員)
タイトル:ヘルスケアにおけるAI研究の倫理的、法的、社会的課題(ELSI)と報告ガイドライン
要旨:人工知能(AI)対応の医療機器の承認台数および開発台数は、増加を見せている。この傾向は、今後も続くことが予想される。一方で、医療は、人々の生命や健康に深く関わる活動である上、人々の生活の基盤でもある。AIの設計や活用を誤れば、個人や社会への倫理・人権に関する様々な問題を引き起こす可能性を有する。立法府がAIの規制を急ぐ現況の中で、医療AIの開発に関わる研究者の取り組み方針についても提案が示されてきた。しかしながら、このアプローチについてはコンセンサスがまだないのが現状である。
本報告では、医療AI研究者による成果公表についての具体的な指針を示す「報告ガイドライン」に注目する。このガイドラインは、研究開発時の工程やデータ管理についての透明性や評価可能性を高めることを通じて、AIの展開や実装の基盤となるものである。一方、近年では、こうしたAIの設計や使用方法がELSIと深く関わっている点も指摘されている。ELSIに関する研究者の役割が問われる中、報告ガイドラインの位置づけにも変化が求められている。今回、医療AI研究にかかる主要な報告ガイドラインについて、ELSIに関する記載を整理し検討したので報告したい。
⇨指定発言:河合 香織(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース博士後期課程)
第35回日本生命倫理学会総会にて、佐藤・井上・武藤が執筆した論文「FPIC(
エスニックマイノリティを対象としたゲノム研究の倫理的・法的・社会的課題に取り組み、初めて発表できた論文にこのような賞をいただき、非常に嬉しく、光栄に思っております。本選考に携わってくださった関係者のみなさま、ご指導・ご支援をいただいたみなさまに心より感謝申し上げます。
【論文の書誌情報】
佐藤桃子、井上悠輔、武藤香織
FPIC(
生命倫理 2023年34号 p.60-68
◆以下の記事で、論文のご紹介をしています。
12月の公共政策セミナーは以下のように行われました。
◆日時: 2023年12月13日(水)13:30~16:00ごろ
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+
◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催
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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
◆報告1
報告者:河合香織(大学院学際情報学府博士課程)
タイトル:
要旨:遺伝学的特徴による結婚や出産をめぐる悩みは、患者・
⇨指定発言:亀山 純子(公共政策研究分野 特任研究員)
◆報告2
報告者:永井 亜貴子(新領域創成科学研究科 特任研究員)
要旨:バイオバンク・ジャパン(BBJ)
⇨指定発言:飯田 寛(公共政策研究分野 特任研究員)
博士課程の佐藤です。『生命倫理』に「研究に先立つ協議と自由意思による同意(Free, Prior, and Informed Consent: FPIC)」に関する論文が掲載されました。
佐藤桃子、井上悠輔、武藤香織「FPIC(研究の開始に先立つ協議と自由意思による同意)概念の検討—アイヌ民族研究の倫理指針案を手がかりに—」『生命倫理』33号、2023年
https://doi.org/10.20593/jabedit.33.1_61
現在、北海道アイヌ協会・日本人類学会・日本考古学協会・日本文化人類学会は「アイヌ民族に関する研究倫理指針」を策定中です。2020年12月に公表されたこの指針の案には、日本の研究ガイドラインで初めてFPICという概念が導入されているため、この概念の背景と日本に導入することの意義・課題を検討しました。
FPICは、元々は先住民族の土地やエネルギーの開発問題から生まれた概念です。国連を中心とした議論により、先住民族に関わる資源開発では事前に先住民族と協議することが求められるようになったのと同時期に、ヒトDNAの研究でもゲノムデータだけを搾取するような研究が問題視されたことから、ゲノム研究においてもFPICが言及されるようになってきました。FPICの理念を組み込んだ研究倫理ガバナンスの実践はカナダや台湾でも見られます。
この概念が日本に導入されると、日本で初めて研究倫理において個人に対するインフォームド・コンセントの枠組みを超えて、アイヌ民族の集団的な研究参画の権利が尊重されることになります。一方で、元々は先住民族の自治権から生まれたFPICが、研究参画の協議という形で実践されていくことになるため、ガイドラインの完成後も継続したモニタリングが必要と考えます。
11月の公共政策セミナーは以下のように行われました。
◆日時: 2023年11月8日(水)13:30~16:00ごろ
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+
◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催
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◆特別枠1
タイトル:近況報告➕戦傷医療の倫理を考える
⇨指定発言:永井 亜貴子(公共政策研究分野 特任研究員)