こんにちは。M2の藤澤空見子です。
4/19(火)に、日本科学未来館リニューアルの内覧会に参加してきました。
実は、日本科学未来館は4/20(水)からリニューアルオープンしまして、一部新しい展示もスタートしたのです!
内覧会は、はじめに祝賀式典があり、後半は参加者が自由に展示を見て回る時間となっていました。
祝賀式典には大勢の方がいらしていて、1階のシンボルゾーン(大きなホール)が満員状態でした。
後半は各自が自由に回る形式だったので、私も様々な展示を回りました!
新しい展示の中でも、今回は「100億人でサバイバル」をご紹介したいと思います。
ハザードをテーマにした展示なのですが、なんとハザードとなる各要素(火山、地震、大気汚染など)と社会の関係を【動く模型】で示した、とても斬新な展示でした!
模型ならではの臨場感、わくわく感などを感じて、3DやVRなどの最先端技術を使った映像が必ずしもベストなコミュニケーション手法ではないことに気付かされました。
この模型がまた緻密で巧妙な仕組みになっており、ずっと見ていて飽きません。
途中で科学コミュニケーターの方が解説のために話しかけてくださったのですが、模型の構想などについて、ついたくさん質問してしまいました。笑
他にも、従来の展示をゆっくりと楽しんだり、3Dドームシアター新作品「9次元からきた男」を鑑賞したり、時間をフルに使って楽しませていただきました!
他にも楽しい展示がたくさんあるので、皆さんも行ってみてくださいね。
ちなみに、4/24(日)までは常設展入場・ドームシアター鑑賞ともに無料だそうです!この機会にぜひ!
(M2・藤澤空見子)
第78回(2016年4月15日)
2016年度初回となる本日は、以下の文献が紹介されました。
神里:
NIH will no longer support biomedical research on chimpanzees
Francis S. Collins
National Institute of Health.November 18th,2015
An end to U.S. chimp reserach: NIH announces plans to retire its last chimpanzees
Jocelyn Kaiser
Scicence.350(6264):1013.2015
Time called on chimp work: NIH likely to retire hundreds of government-owned chimpanzees
Meredith Wadman
Nature.495(7441):289-290.2013
中田:
Elements of informed consent and decision quality were poorly correlated in informed consent documents
Jamie C. Brehaut et al.
Journal of Clinical Epidemiology.68(12):1472-80.2015
李:
Return of whole-genome sequencing results in paediatric research: a statement of the P3G international paediatrics platform
Bartha M.Knoppers et al.
European Journal of Human Genetics.22(1):3-5.2014
佐藤:
Policy: Non-invasive prenatal testing for aneuploidy and beyond: challenges of responsible innovation in prenatal testing
Wydo Dondorp et al.
European Journal of Human Genetics.23(11):1438–1450.2015
こんにちは。D1になりました李怡然です。
4月3日(日)~7日(木)に京都にて「第13回国際人類遺伝学会(ICHG2016)」が開催されました。
今回は「日本人類遺伝学会大会」、「日本遺伝カウンセリング学会学術集会」と合同開催という豪華なプログラムとなっており、日本にいながらにして国際学会に出席できるまたとないチャンスを逃してはならぬ...!と、後半の三日間に参加してきました。
私は主にELSI(倫理的・法的・社会的課題)や遺伝カウンセリング、ゲノムデータの共有といったテーマの発表を聞いてきたのですが、海外の近年の状況を知り、日本との違いに驚くこともあれば、共通する課題点があるとの気付きを得ることもできました。また、ポスターセッションでは発表者の方に直接質問し、出典ブースでは各患者会の方々ともお話しすることができました。
遺伝についてはまだまだ知らないことだらけで、理解するのに必死でしたが、世界各国からのさまざまな立場の人が集まる会場の熱気に圧倒され、刺激を受けた三日間でした。
写真は会場の国立京都国際会館の庭にて。満開の桜並木を前に、思わずため息が漏れました。
今年度も、気持ちを新たに、一歩ずつ進んでいきたいと思います。
(D1・李怡然)
こんにちは。M2の藤澤空見子です。
本日は、新しく公共政策研究分野に入った4名を交えて、当研究室のオリエンテーションを行いました。毎年4月頭に、新メンバーを迎えて教室紹介や自己紹介をする、恒例行事です。
今回の出席者は、新メンバーも含めて20名と、たくさんの方にご参加いただきました!3階の会議室が満席状態という、なかなか珍しい光景となりました。
前半は武藤先生からのご挨拶から始まり、ゼミなどの行事説明、そして研究プロジェクトの紹介、という内容でした。後半は順番に自己紹介を行うのですが、毎年みなさん気合いを入れてスライドを作ってきてくださるので、終始笑いが絶えなかったです。笑
今年度は、学際情報学府 文化・人間情報学コースの修士課程1年生として張有沙さん、新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻博士後期課程1年生として内山正登さんが入学されました!そして、学術支援専門職員としても2名、新たなメンバーを迎えてのスタートとなります。
新しいメンバーと共に、今年度もがんばっていきたいと思います!
(M2・藤澤空見子)
こんにちは。M2の佐藤桃子です。
新年度に入った4月1日、研究室のある白金台キャンパスでお花見を行いました。
晴れた空の下、満開の桜の下でお昼ごはんを食べる贅沢なひとときを過ごすことができました。
個人的には学会発表や修論など、忙しくなる年度ですので、気合いを入れ直す良い機会となりました。
新年度からも気を引き締めてがんばっていきたいです。
春らしくなったかと思いきや、冷え込む日もあるので油断はできませんね。風邪などにお気をつけてお過ごしください。
(M2・佐藤桃子)
2016年4月1日より、
大学院学際情報学府博士課程1年生として、李 怡然さん
大学院学際情報学府修士課程1年生として、張 有沙さん
新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻博士課程1年生として、内山正登さん
学術支援専門職員として、山西たか子さん
研究倫理支援室付 学術支援専門職員として、佐藤美樹さん
をお迎えしました。
どうぞ宜しくお願いします!
当研究室では、新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻と、大学院学際情報学府文化・人間情報学コースから大学院生を受け入れています。
【東大医科研大学院進学説明会】
2015年4月16日(土)に開催される、東大医科研大学院進学説明会にて、数分間ですが、研究室紹介をいたします。詳しくは、東大医科研大学院進学説明会のご案内をご覧下さい。
当研究室では、新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻と、大学院学際情報学府文化・人間情報学コースから大学院生を受け入れています。
出願希望者の方には、この研究室への出願がご本人にとって最適な選択かどうかを検討するため、どのような研究テーマを検討されているかについて、出願前に必ずお伺いするようにしています。
研究室訪問希望のご連絡を頂く際には、下記の事項についてお書きになり、 宛にお送りください。
- 学部・修士課程のご所属、専門
(※博士課程出願希望の方:修士論文を拝見させて頂きます) - 出願希望の研究科名
- あなたの研究関心
・問題意識・背景
・取り組みたいテーマ・内容、研究方法
・これまでの研究との関係
・将来希望する進路(博士課程進学希望なら、その後の進路)
(※できるだけ詳しく。参考にした文献があれば、その出典も入れてください)
書式:自由
分量:A4サイズで2枚以上でお願いします。
こんにちは。M2の藤澤空見子です。
今回は、先日ご報告した、日本科学未来館での「みらいのかぞくプロジェクト」のワークショップ試行会第2弾についてお話します!
「2025年のこうのとり相談室」と題したこのワークショップ、試行会第1弾は2/20(土)、第2弾は3/27(日)に実施されました。実施日から少々お時間が空いてしまいましたが、第2弾も参加して参りましたので、この場でご報告させていただきたいと思います!
今回の試行会は、前回とは異なり、ミニトーク+対話型イベントという構成でした。前回の試行会後、スタッフミーティングに同席させていただいたのですが、その場で本当にたくさんのご意見が出ていました。それを反映し、ミニトークを追加したとのことでした。ここでは、日本科学未来館スタッフの方が染色体や遺伝子、遺伝性疾患についての基礎的な説明をされていました。これらの話題は最近ニュースで取りあげられたり、なかなか理解が難しかったりするためか、トークが始まるとたくさんの方が会場にいらして、真剣にお話を聞いてらっしゃいました。会場も開放的なところだったため、注目度も高かったように思います!
ミニトークの後は、希望者の方が残って対話型イベントが始まります。私が参加した会では、5名で「出生前検査を通じて、胎児についてどういった情報を知りたいか/知りたくないか、またなぜそう思うか」といったことについて意見交換をしました。議論を通じて意見がどのように変わったか/変わらなかったか、ということに注目しながら皆様がお話されていたのが印象的でした。
当ワークショップの定常的な実施に向けて、着々と準備が進んでいる様子を肌で実感しました!今後の展開が楽しみです。またご報告させていただきたいと思います。
*「みらいのかぞくプロジェクト」のfacebookページはこちら*
(M2・藤澤空見子)
第77回(2016年3月18日)
本日は、以下の文献が紹介されました。
武藤:
Clinical-Genetic Associations in the Prospective Huntington at Risk Observational Study (PHAROS): Implications for Clinical Trials
The Huntington Study Group PHAROS Investigators
JAMA Neurol.73(1):102-110.2016.
中田:
Citizen Science on Your Smartphone: An ELSI Research Agenda
Rothstein MA, Wilbanks JT, Brothers KB
Journal of Law,Medicine and Ethics.43(4):897-903.2015
藤澤:
科学論の第三の波—その展開とポリティクス
和田慈
『思想』(6):27-63.2011
(The Third Wave of Science Studies: Developments and Politics,” Japan Journal for Science
Collins, Harry
Technology & Society.20:81-106.2011)
李:
How young people find out about their family history of Huntington's disease
Karen F. Keenan et al
Social Science and Medicine.68: 1892-1900.2009
佐藤:
Counseling Parents Before Prenatal Diagnosis:Do We need to Say More About the Sex Chromosome Aneuploidies?
Faustina Lalatta and G Stephen Tint
American Journal of Medial Genetics.161A(11):2873–2879.2013.
そろそろ暖かくなってきましたが、花粉も気になってくる季節ですね。桜が楽しみです。
送別会シーズンの今日この頃、武藤研でも歓送迎会を行いました。
今年度修士課程を卒業される岩本さん、江さん、李さんの3名及び、研究室を離れる帆刈さん、須田さんの送別会と、2月から着任された中田さんの歓迎会とを兼ねての開催でした。
お花と色紙のプレゼントや、お店からのデザートプレートなど、とても盛り上がりました!
今年度の締めくくりにふさわしく、何と23名もの方にご参加頂き、素敵な会となりました。
あと2週間ほどで今年度も終わりですが、4月に向けて気持ちを新たに頑張っていければと思います。
少し早いご挨拶ですが、来年度もどうぞよろしくお願いいたします!
(M1・佐藤)
先日、武藤研毎年恒例の遠足に行ってきました!
今年度の行き先は横須賀の軍港めぐりと猿島クルーズ、のはずだったのですが、濃霧のため船が欠航になってしまい、お天気にも関わらず行くことかなわず…。
そこで、横須賀では海軍カレーを頂き、雨天案の横浜に移動することとしました。
行き先は「Orbi」というミュージアムです。
ここはBBC earthとセガが共同で「地球を体感する」をテーマに作っているミュージアムで、様々なエキシビションやシアター上映を楽しむことができます。
特に、マウンテンゴリラの生態を捉えた4Dシアターは、3Dのリアルさと座席が揺れるなどの臨場感でとても引き込まれました!
研究室で忙しい日々を送っているメンバーがリフレッシュする良い機会になったことと思います。
来年はどこに行けるのか、今から楽しみです。
(M1・佐藤)
第76回(2016年3月4日)
本日は、以下の文献が紹介されました。
楠瀬:
Assent in paediatric research: theoretical and practical considerations
Wendler, D. S
Journal of medical ethics.32(4):229-234.2006.
高嶋:
France investigates drug trial diserster
Barbara Casassus
Lancet.387:326.2016
李:
Genetic testing in asymptomatic minors: Background considerations towards ESHG Recommendations
Pascal Borry, Gerry Evers-Kiebooms, Martina C Cornel, Angus Clarke and Kris Dierickx on behalf of the Public and Professional Policy Committee (PPPC) of the European Society of Human Genetics (ESHG)
European Journal of Human Genetics.17:711-719.2009.
佐藤:
How Much Control Do Children and Adolescents Have over Genomic Testing, Parental Access to Their Results, and Parental Communication of Those Results to Others?
Clayton, Ellen W
Journal of Law, Medicine & Ethics.43(3):538–544.2015.
本日、2015年度、第13回目の公共政策セミナー(ゲスト特別編)が開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:2016年3月3日(木) 10時00分~12時30分
発表者: | 野々村菜穂(東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻(SPH)) |
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タイトル: | 臨床研究に関する認知症患者家族の意識調査 |
本日、2015年度、第12回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:2016年3月2日(水) 10時00分~12時30分
発表者1: | 高嶋佳代(東京大学医科学研究所公共政策研究分野 特任研究員) |
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タイトル: | 眼科疾患における幹細胞臨床研究の倫理的問題 |
要旨:
新規治療法開発の実施には、その新規性に特有の問題に着目される傾向がある。例えば、iPS細胞の臨床研究においては、細胞の特性から造腫瘍性が一番の検討事項となっている。それゆえ、はじめてヒトに実施した眼科疾患の研究が、iPS細胞臨床研究全体の安全性の検証のステップとしても、大きな役割を担うこととなった。確かに、眼科領域は観察やアプローチが容易であり、致死的疾患ではないことなどの理由で、細胞治療における新規治療法開発での安全性の検証としては妥当な選択かも知れない。しかしながら、その新規性に注目が大きく集まったが故に、眼科疾患への新規治療法開発を行う上で、着目すべき倫理的課題が影を潜めた可能性がある。
そこで今回、文献検索、眼科疾患の患者会での議事録などを元に分析を行い、眼科疾患における幹細胞臨床研究の倫理的問題を検討する。
発表者2: | 佐藤桃子(学際情報学府 文化・人間情報学コース 修士課程) |
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タイトル: | ターナー症候群と出生前診断 |
要旨:
2015年4月、NIPTコンソーシアムから、NIPT対象疾患の拡大の要望が日本産科婦人科学会に出された。現在はコンソーシアムが当面拡大はしないと述べているが、日本の出生前診断において対象疾患の拡大が議論されたのは初めてであり、この議論は日本の専門家が出生前診断をどう捉えているかを明らかにする契機だと考えられる。
拡大対象の候補には、臨床的症状は重篤でないものの、不妊の症状を呈することの多い性染色体異常が含まれていた。そこで本発表では、拡大対象の候補となった、女性に多い性染色体異常であるターナー症候群に焦点を当て、その病態と遺伝カウンセリングの現状を紹介し、修士論文に向けた問題意識を明らかにする。
2016年1月31日に公刊された『保健医療社会学論集』26巻2号に下記の論文が掲載されました。
「配偶子提供で生まれる子への真実告知とインフォームド・アセント―不妊カウンセラーへのインタビューより―」(李怡然・武藤香織)
精子提供や卵子提供などの配偶子提供で生まれる子どもの「出自を知る権利」の保障とともに、その出発点となる真実告知(truth telling=親から子に伝えること)が重要とされてきています。国内では、真実告知は当事者家族の問題として任されてきた傾向がありますが、医療従事者や他の専門職との協働によって、中長期的に支援が可能となるのではないか、という論点で執筆しました。
卒業論文で実施した不妊カウンセラーへのインタビューデータをもとに、子への真実告知についての意識や経験に焦点を当てて再分析した結果を考察しました。
一般的に不妊カウンセラーは親となる不妊当事者カップルの支援を中心に想定されていますが、子の出生後まで想定したカップルの共同意思決定を促し、出生後も真実告知に携わる役割として期待できることが示唆されました。
小児科医療・研究では「インフォームド・アセント」(informed assent)という概念があり、医療者や研究者に対し、子に医療行為を分かりやすく説明した上で了承を得る、という努力義務があります。そこで真実告知においてもこの概念を援用し、治療に関わった医療従事者の協力も得て、親と子のカウンセリングや支援の整備につなげられるのではないか、という提案を述べました。
もちろん、これは現段階での展望であって、実際にどのような支援の形が可能となるのかは、これからの探求課題だなと思っています。
そして、「親から子にどう伝えるか」という課題は、生殖補助医療に限らず、養子縁組、出生コホート研究、遺伝性疾患...など家族にまつわる多くのテーマに関わってきます。修士論文では、出生コホート研究における告知をテーマとし、その過程で、生殖補助医療と似ている点も異なる点もあることが分かり、インフォームド・アセントという本稿で核となる論点に気付くことができました。どの問題も、当事者や家族の思いもさまざまあるだけに、簡単に「伝える/伝えない」だけでは片付けられないと思います。今回の考察をもとに、これからも考えを深めていきたいと考えています。
最後になりますが、この場を借りてインタビューにご協力下さったカウンセラーの皆様に、改めまして厚く御礼申し上げます。
こんにちは。M2の藤澤空見子です。
先日の春一番は、天気が荒れて少し大変でしたね。
春一番の後は寒くなることが多いそうなので、服装管理に気をつけてくださいね。
さて、先週末、日本科学未来館の「みらいのかぞくプロジェクト」のイベント試行会へ参加させていただきました!
このプロジェクトは、科学技術がもたらす変化や可能性を切り口に「家族」の多様性を考えていく内容となっています。(日本科学未来館公式サイトより)
今回私が参加したのは、出生前検査を題材とした対話型イベント「2025年のこうのとり相談室」の試行会です。
試行会では、5~10人のグループの中で、出生前検査についての説明を聞いた上で、自分の出生前検査についての考えを皆さんと共有する、という流れで30分程度のワークショップを行いました。
説明の部分では説明動画を流してくださるのですが、「出生前検査」という漢字が並ぶ難解そうなイメージとは裏腹に、男性も女性も親しみを持って見ることができる内容になっていて、スタッフの皆様はさすがだなと思いながら動画を拝見しました!
考えを共有する部分では、参加者の皆さんがお互いに「こういう考えもあるのか」というような表情・コメントを交わしながら意見交換をされていました。
出生前検査を題材としていても、難しそうな印象や話しにくい印象はほとんどないワークショップで、終始感動しておりました。
また、意見交換の際にはやはり科学や遺伝カウンセリングの特徴をわかりやすく伝える必要がある場面もあり、科学コミュニケーションの重要性を感じました。
「2025年のこうのとり相談室」は今後未来館の常設展示会場において、定常的に実施する方向で検討中とのことです。
皆さんも日本科学未来館に行った際には、ぜひ参加してみてください!
下記にfacebookページもご紹介しております。
*「みらいのかぞくプロジェクト」のfacebookページはこちら*
(M2・藤澤空見子)
2016年1月に公刊された『哲学・科学史論叢』第18号に下記の論文が掲載されました。
「羊水検査に対する産婦人科医の倫理的見解:1969年9月から1978年3月の言説分析」(佐藤桃子)
この論文は昨年提出した卒業論文を下敷きに、「羊水検査が導入された1970年代、検査を実施していた産婦人科医たちは検査を倫理的にどのように捉えていたのか?」という問題意識で執筆したものです。
現在、出生前診断の受診や選択的中絶の倫理的問題は、検査の対象者であれば、遺伝カウンセリングなどで担保された両親の自己決定によって決められるとされています。ですが、その「自己決定」がどのような文脈で生まれたかについては、最初の出生前診断である羊水検査まで遡ってみる必要があります。
そこで、主要な産婦人科系ジャーナル3誌から羊水検査の倫理的側面を指摘した論文を抜き出し、言説分析の形で検討を試みました。
その結果、患者が権利運動で「自己決定」を求めてきたアメリカなどと異なり、日本では、羊水検査の実施に対して起きた批判に応答する形で医師たちが「自己決定」を提唱したことを述べました。
短い研究生活のほとんどを占める期間で追ってきたテーマです。今後は、未来の出生前診断に目を向けて研究を進めて行きたいと思っております。
第75回(2016年2月19日)
本日は、以下の文献が紹介されました。
神里:
The Meaning of Translational Reserach and Why It Matters
Steven H. Woolf
The Journal of the American Medical Association.299(2):211-213.2008
中田:
Do-It-Yourself Medical Devices — Technology and Empowerment in American Health Care
Jeremy A.Greene
The New England Journal of Medicine.28;374(4):305-8.2016
高島:
Zika Outbreak Means It Is Now Time To Cancel Rio Olympics
L.Caplan and Lee H.Igel
Forbes.2016.Feb.3
Rio Faces A Zika Epidemic. Time To Cancel The Olympics
Joshua A. Krisch
Vocativ.2016.Feb.4
With Zika, Is There Really A Case Against Postponing The 2016 Olympic Games in Rio?
L.Caplan & Lee H.Igel
Forbes.2016.Feb.12
藤澤:
科学知の構成と社会-社会と科学の相互観察
圓岡偉男
東京情報大学研究論集.14(2):44-56.2011
佐藤:
Turner Syndrome: Updating the Paradigm of Clinical Care
Jordan E. Pinsker
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism. 97(6):994–1003.2012
本日、2015年度、第11回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:2016年2月17日(水) 10時00分~12時30分
発表者1: | 永井亜貴子(東京大学医科学研究所公共政策研究分野 特任研究員) |
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タイトル: | BBJの生存調査と本人通知制度 |
要旨:
近年、「住民票の写し等の第三者交付に係る本人通知制度」を導入・施行している市町村が見受けられる。本人通知制度は、個人情報の不正利用等の抑止や防止などを目的として地方自治体主導で開始された制度であるが、その普及状況や学術活動への適用の詳細は明らかではない。本発表では、本人通知制度に関する調査結果と、住民票の写しの第三者交付を利用する追跡調査への本人通知制度の影響について報告する。
発表者2: | 江念怡(新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 修士課程) |
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タイトル: | 薬局・ドラッグストアでのPGx検査提供に関する一般市民の意識 |
要旨:
近年、ファーマコゲノミクス(以下、PGx)が進展し、日本では2008年にイリノテカンに関する検査が保険収載されたほか、2010年と2012年にIL28BとCYP2C19に対する検査がそれぞれ先進医療(A)として認められるなど、医療用医薬品の処方前の検査として、PGx検査の医療への応用が進んできた。しかし、一般用医薬品に対するPGxは発展していない。2014年6月に一般用医薬品のネット販売が解禁され、一般用医薬品の99%がインターネット上で購入可能となったうえ、スイッチOTC薬を含む一般用医薬品でも重篤な副作用が発生する事例が少なくない。
そのため、今後、一般用医薬品に関連するPGx研究が進めば、薬局・ドラッグストアでPGx検査が実施される可能性もあり、将来、市民にとって身近な検査になりうる。先行研究では、一般市民がPGx検査をどのような期待を持っているのかを明らかにした調査はないことから、本研究では、日本の一般市民の遺伝学・ゲノム科学に関するリテラシーに着目し、PGx検査への期待や関心などの態度との関連を明らかにすることを目的とする。
研究方法は、2014年に㈱インテージに委託して実施した一般市民意識調査のデータセット(20-79歳までの男女7,540名分)を用いた分析である。回答者の遺伝学やゲノム科学に関するリテラシーを得点化し、PGx検査を含む遺伝学的検査への態度との関連、検査の説明を受けたい場所との関連、リスク・ベネフィット認知との関連等を検討した。統計解析には、SPSSVer.23用い、χ二乗検定やSpearmanの順位相関分析を行った。
その結果、PGx検査を受けたい人は37.5%であった。また、遺伝学・ゲノム科学リテラシーの高さ、個人遺伝情報活用のベネフィット認知との関連が有意に認められたほか、いずれの場所でも事前説明を求める人は、保険加入に関する遺伝情報差別禁止法を求める傾向も認められた。
以上の結果を踏まえて修士論文を執筆した。今回のセミナーでは、その内容について報告する。