2017年度第2回公共政策セミナー

2017/06/21

本日、2017年度、第2回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2017年6月21日(水)13時30分~16時00分

発表者1: 船橋亜希子(東京大学医科学研究所公共政策研究分野 特任研究員)
タイトル: 医療過誤と刑事過失

要旨:

「医療の萎縮」を招いたとされる福島県立大野病院事件を契機として、医療過誤事案に対する刑事責任追及のあり方が問題視されてきました。この問題の解決のために、医療現場への刑事介入の制限や、医療事故調査制度に一縷の望みを託すような論考に触れる機会も増えています。しかし、報告者は刑事過失論の精緻化こそが必要であると考えて研究を続けてきました。今回の報告では、刑法の基本的な原理等もご紹介しながら、現在までに行ってきた研究の一部をご紹介させていただきます。

発表者2: 内山正登(大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 博士後期課程2年)
タイトル: ヒト受精胚へのゲノム編集に関する意識調査

要旨:

ゲノム編集は簡便性や応用性から、生命科学研究や医療において多くの可能性が考えられている技術である。その一方で、2015年に中国のチームがヒト受精胚に対するゲノム編集を行った研究を発表して以降、ヒト受精胚に対するゲノム編集の是非に関する議論が活発になった。特にこの技術が様々な分野への影響が考えられることから、専門家だけでなく、一般市民も巻き込んだ幅広い議論の必要性が指摘されている。そこで、一般市民がこの技術の利用についてどのように考えているかを明らかにするため、2017年2月~3月に一般市民44,360人と患者6,522人を対象とした意識調査を実施した。今回の意識調査では、ゲノム編集に関する認知度や技術の理解度、ヒト受精胚への技術の許容性、リスク評価について調査した。現在、今回の調査結果をもとに論文を作成しており、調査の結果とともに論文の内容について発表する。