【論文発表】高額療養費改革案の修正過程と患者運動―『医療経済研究』掲載のお知らせ
2025/11/28
当研究室特任研究員の河田です。この度、立教大学経済学部の安藤道人教授との共著論文が、『医療経済研究』Vol. 37 No. 1 に掲載されましたのでご報告いたします。
本論文では、高額な医療を受ける患者さんの生活に直結する「高額療養費制度」の2024年度改革案に焦点を当て、その政策決定過程を詳細に分析しました。
■ 論文タイトル 高額療養費改革案はどう見送られたのか:2024 年度案の政策形成・修正過程と患者運動
[記事へのリンク: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjhep/37/1/37_2025.05/_article/-char/ja/]
■ 研究の背景と概要 本研究では、2024年度の高額療養費制度改革案に焦点を当てています。 具体的には、2024年12月に提示された「自己負担限度額の引き上げ案」が、患者団体の反対運動や野党からの批判を経て、2025年3月に異例の「見送り」決定となったプロセスを取り上げました。
論文の主なポイントは以下の通りです。
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歴史的経緯の整理 高額療養費の自己負担額引き上げ案が提示され、見直されるに至った経緯を詳細に整理しました。具体的には、高額療養費の創設から2024年の引き上げ案の決定までの歴史的な経緯を整理した上で、2024年末から2025年3月にかけての引き上げ案の政策修正過程を検討しました。
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政策修正過程と患者運動の分析 一度提示された引き上げ案がなぜ修正されたのかを、その過程で重要な役割を果たした患者団体の運動に着目しました。患者団体が、要望書・アンケート・署名活動・ロビー活動・専門家との連携などを通じて引き上げ案の政策論点化と世論形成に成功し、最終的に見送りが実現した経緯を検証する
政策形成の現場で何が起きていたのかを記録・分析することは、今後の医療政策と患者参画のあり方を考える上で重要な意味を持つと考えています。
■ 共同研究者 立教大学 経済学部 教授 安藤道人 先生
■ 今後に向けて 今回の分析対象となった一連の患者運動には、私自身も一人の運動当事者として参加しておりました。その渦中で得た経験や視座を、アカデミズムの場できちんと言語化し、記録していくことも研究者として大切だと感じています。今後も、今回のような経済学との連携をはじめ、学問領域の垣根を越え、現場の実践と研究をつなげていくことに力を尽くしてまいります。ぜひ、上記リンクよりご一読いただけますと幸いです。(河田)