第82回日本公衆衛生学会総会で優秀論文賞をいただきました(永井・李・武藤)

2023/11/01

第82回日本公衆衛生学会総会にて、永井・李・藤澤・武藤の研究グループが執筆した論文「地方自治体におけるCOVID-19感染者に関する情報公表の実態:2020年1月~8月の公表内容の分析」が優秀論文賞をいただきました。

COVID-19の感染が拡大し、緊急事態宣言が発令された中で、自分たちに何ができるかを模索しながら調査を開始し、研究グループで何度もディスカッションをしながら取りまとめた論文が、このような賞をいただけたことを大変うれしく、光栄に思います。本選考に携わって下さった関係者のみなさま、ご指導・ご支援をいただいたみなさまに心より感謝申し上げます。

 

【論文の書誌情報】

永井亜貴子、李怡然、藤澤空見子、武藤香織

地方自治体におけるCOVID-19感染者に関する情報公表の実態:2020年1月~8月の公表内容の分析

日本公衆衛生雑誌 2022年69巻7号 p. 554-567

DOI: https://doi.org/10.11236/jph.21-111

以下の記事で、論文のご紹介をしています。

https://www.pubpoli-imsut.jp/new?id=592

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はじめて学ぶ「研究への患者・市民参画」が公開されました(河田)

2023/10/20

研究への患者・市民参画(PPI:Patient and Public Involvement)について、初めて学ぶ人が基本的な知識を得ることを目的としたeラーニング教材、<はじめて学ぶ「研究への患者・市民参画」>が「ICR臨床研究入門」のWEBサイトで公開されました。第一弾となる今回は、PPIの考え方や基本的知識に加え、PPI活動でのコミュニケーションや実践のヒントなど計8本の教材を作成しました。

近年、医学研究の分野においてPPIの重要性が認識されつつあります。しかし、参画を求められる市民・患者の側からも、研究者の側からもそもそもPPIとはどういったものなのか、何ができるのかといった疑問の声がありました。本教材は、そうした疑問や不安に答えることを目指しています。

教材の作成にあたっては、査読者として、公募した13名の患者・市民の方々に加え、有識者、今後運営する一般社団法人PPI JAPANの運営委員など、計20名の方にアドバイスをいただきました。本教材の制作過程そのものが、患者・市民、有識者のみなさまの知識や経験あってのものでした。ここであらためて御礼を申し上げます。

教材は、今後も追加予定です。PPIに関心のある初学者から既に実践されている方々、そしてPPIに取り組む様々な場面でご活用いただければ幸いです。(河田純一) 

査読して下さった方々(50音順):朝美あゆみさん、石井なつきさん、梅澤庸浩さん、江本駿さん、遠藤清将さん、春日菜々子さん、加藤忠さん、岸田徹さん、桜井なおみさん、田野成美さん、土橋武彦さん、中田はる佳さん、西村由希子さん、野瀬健悟さん、東島仁さん、三木敏さん、村山ひとみさん、森定玲子さん、山田裕一さん、山口育子さん

はじめて学ぶ「研究への患者・市民参画」

https://www.icrweb.jp/course/show.php?id=91

▼受講方法と修了証の発行について

※受講には、「ICR臨床研究入門」のユーザー登録(無料)が必要となります。

※修了証の発行には、個人の場合1,000円必要となります。詳しくは、こちら(修了証発行について)をご確認ください。

※「ICR臨床研究入門」は2023年11月を目途に新システムに移行するそうで、受講や修了証発行について注意点があります。詳しくは、こちら(重要なお知らせ)をご確認下さい。

1_PPIとはなにか_見本.png

制作担当者:河田純一・木矢幸孝・藤澤空見子・武藤香織

この教材の制作は、日本医療研究開発機構(AMED)「治験・臨床研究の質の向上に向けた国民の主体的参加を促すための環境整備に関する研究」(日本医師会)、分担研究課題「治験・臨床研究における患者・市民参画を推進する手法の確立」(代表 武藤香織)の一環として行われました。

 

 

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10月の公共政策セミナー

2023/10/11

10月の公共政策セミナーは以下のように行われました。

◆日時: 2023年10月11日(水)13:30~16:00ごろ
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)
◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催

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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
報告1
報告者:木矢 幸孝(公共政策研究分野 特任研究員)
タイトル:認知症研究の超早期予測・予防に関する倫理的課題

要旨:日本では高齢化の進展にともない、認知症高齢者の数は増加の一途を辿っている。その数は2012年では462万人であったが、2025年には約675〜730万人(高齢者の約5人に1人)になると予測される。このような中、認知症・アルツハイマー病研究は新たな展開を迎えつつある。臨床症状が出現する前から潜在的に疾患が進行していると仮定したうえで、バイオマーカー等を利用して超早期に疾患を予測し、発症予防や症状遅延を目的とした予防法の確立が目指されている。このような超早期予測・予防は、自覚症状がない中で、長期的に人々に認知症の予測・予防を要請することになり、社会実装においては検討すべき倫理的課題が存在する。そこで本報告では、認知症・アルツハイマー病研究の超早期予測・予防が実装される社会における倫理的課題について、その背景や先行研究を整理したうえで報告する。
⇨指定発言:武藤 香織(公共政策研究分野 教授)

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【院生室より】MIサマーフェスタに参加いたしました

2023/09/22

D1の島崎です。

先日、8/26に”MIサマーフェスタ”が開催されました。

MIサマーフェスタは、東京大学大学院新領域創成科学研究科の医療イノベーションコースに所属する学生の交流を目的としたイベントです。

24名の学生と各研究室の先生方が参加し、武藤研からは、博士課程学生4名と修士課程学生1名の計5名が参加いたしました。

 

私は今回が初参加となりました!

普段、他研究室に所属されているみなさんが取り組まれている研究についてお話を聞く機会はあまりないのですが、、、

このフェスタを通して、皆さんがなぜそのような問題意識を持ったのか、それを解決するためにどのような研究デザインを設計していらっしゃるかなど、多くの学びを得ることができました!

また私の発表に対しても、多くのありがたいアドバイスをいただくことができました。

違う分野の方々からいただく違う視点からのご指摘には、いつもハッとさせられます。

 

また、研究を進めている同期の方の発表をお聞きし、私の研究に対するモチベーションも上がりました!

MIサマーフェスタで得た気づきをもとに、これからさらに研究に邁進していきたいです!

 

D1 島﨑美空

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9月の公共政策セミナー

2023/09/16

9月の公共政策セミナーは以下のように行われました。

◆日時: 2023年9月13日(水)13:30~16:00ごろ
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)
◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催

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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
◆報告1
報告者:北林 アキ(大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻博士後期課程
タイトル:患者・市民の視点を医薬品の安全な使用のために活用する際の課題の検討

要旨:近年、医薬品の開発・規制・安全な使用という一連のサイクルにおいて、医療を享受する受け身の存在であった患者が、より積極的なパートナーとして関与・参画する動きが世界的に活発化している。というのも、患者の参画によって、より患者のニーズに合った薬の開発、市販後の安全対策に繋がる等の利点が期待されるためである。しかし、我が国でのこうした取組みは比較的遅れており、特に、関係するステークホルダーの中でも規制当局への患者・市民からのインプットは極めて少ない。
この打開策を検討するべく、本研究では、主として患者・市民から規制当局への情報収集の手段について、文献研究及び調査研究(アンケート/インタビュー調査)により国内外の現状・課題を調査した。
本報告では、実施済みの調査結果の概略及び博士論文取りまとめに向けた論点(案)を共有したい。
⇨指定発言:木矢 幸孝(公共政策研究分野 特任研究員)

◆報告2
報告者:松山 涼子(大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻修士課程)
タイトル:出生コホート研究参加時の成長に伴う倫理的課題の検討

要旨:出⽣コホート研究(birth cohort study)とは、観察研究の⼿法の⼀つであり、特定の時期に⽣まれた⼈⼝集団を胎⽣期や出⽣後から成⼈期まで追跡して、⽣活環境や化学物質への曝露、遺伝などがどう⼦どもの成⻑に関係していくかを明らかにする研究⼿法である。⻑い年⽉をかけてデータを収集することで、成⼈期の健康に関して有益な洞察を提供することができる。出⽣コホート研究が⻑期に維持されるほど、有益な科学的知⾒が創出される可能性もある⼀⽅、当該コホートの維持に莫⼤な投資が必要であることや、追跡率を維持できずに選択バイアスが起きる可能性もあり、出⽣コホート研究の成功には様々な困難が伴う。
出⽣コホート研究は、⼦どもから⼤⼈に成⻑するまで続く⽣涯の研究であるという⼤きな特徴を持ち、彼らのライフステージによって検討すべき倫理的課題は異なる。参加児の年齢が上がるにつれて、配慮すべき倫理的課題が増えるため、現場が接する状況はより困難になってきていると考えられる。各出⽣コホート研究は、⼦どもを対象とした研究や疫学研究に関する既存の倫理指針等を組み合わせ、それぞれの⼯夫を取り⼊れて倫理的配慮を⾏なっている。今回の発表では、⽂献調査を通じて、出⽣コホート研究の倫理的課題を暫定的ではあるが整理したい。
⇨指定発言:楠瀬 まゆみ(大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻博士後期課程

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職場体験の受け入れをしました

2023/09/14

M2の松山です。

 

7月18日(火)に、田園調布雙葉中学高等学校から職場体験の受け入れを行いました。

 

10名の高校1年生の方に、若者にとっての認知症の超早期予測の倫理的課題を洗い出す業務(午前)と、16歳を対象とした研究の説明文書案を点検する業務(午後)をお願いいたしました。

2グループに分かれてディスカッションをしていただき、各グループの意見を最後に発表してもらいました。ディスカッションでは、みなさんの経験をもとにした意見や、もし自分がその立場だったらどう思うか、など高校生ならではの視点から意見をいただき、大変参考になりました!

職場体験の後は、バイオバンクジャパンの見学にも参加していただきました。

 

ご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました!

 

(M2 松山涼子)

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Orphanet Journal of Rare Diseases誌に希少疾患に関する意識調査の論文が公開されました(渡部)

2023/08/31

一般市民を対象とした、希少疾患への理解と医療資源の配分に関する意識調査の論文がOrphanet Journal of Rare Diseases誌で公開されました(オープンアクセス, PDFのDL可)。

 

Nakada, H., Watanabe, S., Takashima, K. et al. General public’s understanding of rare diseases and their opinions on medical resource allocation in Japan: a cross-sectional study. Orphanet J Rare Dis 18, 143 (2023).

https://doi.org/10.1186/s13023-023-02762-x

 

希少疾患は患者や家族に多大な経済的負担を強いる可能性がありますが、公的支援のための持続可能な制度を確立するためには希少疾患の特性や困難性に対する国民の理解が不可欠です。私たちの研究グループでは、日本の一般市民131,220人を対象に、希少疾患に対する知識や理解、医療費や研究開発に関するwebアンケートを用いた質問紙調査を実施しました。

得られた有効回答11,019回答を分析し、希少疾患の医療費や研究開発に対して公的資金による支援を国が行う事について、一般市民がどのような認識を抱いているかについて傾向を示しました。成人および小児の希少疾患の患者の医療費自己負担の一部を公的資金によって補助する事については、賛成する回答者が多く見られました(成人:59.5% , 小児:66.8%)。賛成の理由は主に、患者とその家族に多大な経済的負担が生じること、利用可能な治療の選択肢が限られていること、患者のライフプランや社会生活に希少疾患によって引き起こされる困難が影響を及ぼすことなどが挙げられました。

また、希少疾患の研究開発に対する国による公的資金の支援については、患者数が多い一般的な疾患の研究開発に対する国による支援への評価よりも、よりその必要性について評価した回答者が多くいました(一般的な疾患44.0%, 希少疾患56.0%)。希少疾患の研究開発に対する公的資金による支援を支持する理由としては、治療の選択肢が限られていることや、研究者が少ないために研究がしにくいことなどが挙げられました。

本調査の結果の分析からは、一般市民は希少疾患に対する公的支援の必要性について、希少性や遺伝性などの疫学的・医学的特徴よりも、患者や家族の日常生活での困難性や経済的負担をより重視して考慮している事が示唆されました。また、希少疾患の専門家と一般市民との間では、疫学的特徴や希少性を定義する人口的な閾値についてイメージや認識の差異が生じていることも結果から明らかとなっています。医療費や研究開発に対する財政支援が社会で適切に議論され受け入れられるために、複雑で多様な希少疾患の特徴やその政策について、市民とどのようなコミュニケーションを積み重ねていくべきか今後議論が必要であると考えています。

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幹細胞臨床試験の参加者によるソーシャルメディア投稿に関する論文が、Regenerative Therapy誌(オンライン/オープンアクセス)で公開されました(武藤、高嶋)

2023/08/08

博士後期課程の高嶋です。

この度、幹細胞臨床試験の参加者によるソーシャルメディア投稿に関する論文が、Regenerative Therapy誌(オンライン/オープンアクセス)で公開されました。 

Takashima K, Minari J, Chan S, Muto K. Hope for the best, but prepare for the worst: Social media posted by participants in stem cell clinical trials. Regen Ther. 2023;24:294-297. Published 2023 Aug 9. doi:10.1016/j.reth.2023.07.009

この論文では、幹細胞臨床試験に参加された方が、研究への参加経験についてソーシャルメディアに投稿することの影響について検討し、暫定的な推奨事項をまとめています。

臨床試験に関するソーシャルメディアの活用は、研究プロジェクトの経過や研究結果の普及、試験参加者の募集、医学研究に関する情報の提供などにおいて、様々な利点が報告されています。一方で、ソーシャルメディアを通じて臨床試験の参加基準に適合しないにも関わらず参加を可能とするような情報交換に用いられるケースが報告されていることや、まだ安全性や有効性が証明されていない治療法を、意図せずに最先端治療として広告するの役割を担う可能性への懸念などが指摘されています。

この論文では、幹細胞臨床試験の研究参加者がソーシャルメディアを使用する場合に、投稿の意図とは異なる影響を与える可能性として、①科学的妥当性に与える影響、②過度の期待を高める可能性、そして③研究の機密性に関する懸念について検討しました。その上で、研究者側からアプローチできることとして、1)研究参加候補者とのインフォームド・コンセントのプロセスで、ソーシャルメディアへの投稿に起因する影響について説明を行う、2)研究参加者がソーシャルメディアへの投稿を希望する背景にある問題に着目して、その問題への対応を試みる、3)ソーシャルメディアの価値ある利用や、意図しない悪影響を防ぐ方法について研究参加経験者とともに検討する、4)特定の規制や制度に関する誤解を避けるために、その規制や制度に関する正確な情報を提供するという、暫定的な推奨事項をまとめました。

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7月の公共政策セミナー

2023/07/12

7月の公共政策セミナーは以下のように行われました。

◆日時: 2023年7月12日(水)13:30~16:00ごろ
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)
◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催

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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
◆報告1
報告者:高嶋 佳代(
大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻博士後期課程
タイトル:患者対象の革新的First in human試験における倫理的課題の探索
要旨:人を対象として臨床試験のなかでも、とりわけ既存の治療法とは大きく異なる革新的な技術を用いる治療法を初めて人に応用するFirst in Human (FIH)試験の場合、その治療法の侵襲性や性質などを考慮し、患者を対象とした試験が行われる。このような試験では、治療が必要な状態である患者に対して、試験に伴う不確実性や未知のリスクへの懸念も高い安全性試験を行うことになる。したがって研究対象者となる患者に対するリスク・ベネフィットと、社会的価値とのバランスをどのように検討すべきかについては、理論と経験をもとに慎重に考究する必要があると言えよう。本博士研究では、iPS細胞を世界で初めて人に応用した試験の審査に関する議事録分析と、試験に関連したメンバーや参加した患者を対象としたインタビュー調査をもとに、検討を行っている。本報告では、本研究の構成や分析手法、並びに進捗を報告する。
⇨指定発言:松山 涼子(大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻修士課程)

◆報告2
報告者:渡部 沙織(公共政策研究分野 特任研究員)

タイトル:希少疾患のELSI課題に関する各ステークホルダーを対象とした質的調査
要旨:希少疾患を対象とする研究開発においては、患者人口の希少性がもたらす研究実施の困難さや開発の経済的市場性の低さ、患者や家族の社会的脆弱性、遺伝性疾患等に対するスティグマ、プライバシーへの繊細な配慮の必要性など、他の疾患にはみられない複雑な倫理的な課題が生じうる。国際的な希少研究のコンソーシアムであるIRDiRCで組織されたワーキンググループでは、各国が公募研究で取り組むべき希少疾患領域のELSI課題を、5つのカテゴリに分類している(Hartman et al. 2020)。本研究ではIRDiRCの分類を基にしながら、日本での具体的な課題について患者や関係者がどのような認識や概念を有しているかを探索的に検証するため、患者・家族、研究者、医療者、医薬品開発企業等、各ステークホルダーに半構造化インタビュー調査を実施した。本報告では、特に医薬品開発企業の希少疾患開発担当者のインタビューを中心に分析の結果と得られた示唆について報告する。
⇨指定発言:北林 アキ(大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻博士後期課程

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【院生室より】日本医学会総会と日本産科婦人科学会学術講演会に行ってまいりました

2023/06/15

 D1の島﨑です。武藤研でのブログ初執筆となります!

これから院生としての経験を、ここで皆さまにシェアできることが楽しみです。

 

4月に武藤研に進学し、早速2つの学会に行ってまいりました。

まずは4月21日〜4月23日に開催された第31回日本医学会総会。

4年ごとに開催され、数多にある医学系の学会が一同に会す非常に大きな学会です。

会場となった東京国際フォーラムやKITTEの中には、「博覧会」として一般市民の方々が訪れることができるブースもあり、まさに“医学のお祭り”といった雰囲気でした。

今回の医学会総会では、私の興味関心分野に近い医療社会学や生命倫理がテーマのセッション・シンポジウムを中心に聴講いたしました。

特に武藤先生もご講演された「COVID-19をめぐるコミュニケーションの諸相」と題されたセッションが、医療人類学、医療社会学の視点から日本におけるコロナ禍の対応を学ぶことができ、とても面白く、印象に残りました。

医学会総会では武藤先生、井上先生、北林さんがご講演されました。ご講演のどれもが興味深く、医療と社会における様々な課題を勉強させていただきました。大変お疲れ様でございました。

 

次に、5月12日〜5月14日に開催された第75回日本産科婦人科学会学術講演会。

参加婦人科学会では学会の倫理委員会主催のセッションや、東京大学の神里先生が講演された医療倫理講習会、そして超音波検査を取り扱ったセミナーやセッションを中心に参加いたしました。

私は生殖や子の養育を研究テーマとしているため日本産科婦人科学会の生殖補助医療関連のガイドラインをよく確認するのですが、実際にガイドラインを検討し作成されている先生方のご意見を聞くことができ、貴重な経験となりました。

 

この度は学会に参加させていただき、ありがとうございました。

これからも学会に参加したり、発表させていただいたりする際にはブログを更新していきます。

よろしくお願いいたします^^

 

D1 島﨑

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6月の公共政策セミナー

2023/06/14

6月の公共政策セミナーは以下のように行われました。

 

◆日時: 2023年6月14日(水)13:30~16:00ごろ
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)
◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催
◆Web参加方法: 学内の方は、共有カレンダーのURLからご参加下さい。

 
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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
◆報告1
報告者:胡 錦程(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース修士課程)
タイトル:ポストフェミニズムにおける中国の独身女性が構築する新しい母子関係
要旨:近年、中国では婚姻率の低下と、未婚女性の出産に対する意欲の高まりが注目されている。未婚女性たちは卵子凍結や生殖補助医療を通じて積極的に出産を検討しているものの、伝統的な価値観や法的な保障の不足により、これが容易ではない。本研究では、未婚のまま子供を持つことを選択した中国の女性を対象としている。具体的には、「未来家Family」という家族の多様性や女性の選択肢をサポートするネットコミュニティのメンバーの15人に、半構造化インタビューを行う予定である。これにより、未婚女性たちがどのように出産と育児に関する権利(リプロダクティブ・ライツ)を確保し、新しい母子関係を築いているかを探る。これにより、ポストフェミニズムにおける家族形態の多様性を明らかにし、先行研究で指摘される「構築される母性」による抑圧を超え、ケアの倫理に基づいた母性の積極的な価値を見出すことを目指す。この研究は中国社会における家族の在り方と女性の未婚出産の関連研究に新しい視点を提供し、女性のリプロダクティブ・ライツを支持し、家族の多様性を促進するための政策提言につながる可能性がある。
⇨指定発言:高嶋 佳代(大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 博士後期課程)

◆報告2
報告者:
井上 悠輔(公共政策研究分野 准教授)
タイトル:死後脳バンクをめぐる検討
要旨:精神・神経疾患の研究の一環として、疾患・健常の脳が使用される。脳は解剖によって摘出する必要があることから、その入手は研究者にとって必ずしも容易ではなく、国内外で「ブレインバンク」が設置されてきた。死後脳を対象とした研究は、その倫理的、社会的な課題のほか、死者への研究者のアクセスに関する法的な課題にも直面してきた。公的な研究倫理指針において、「死後の研究参加」に関する言及はほとんどなされておらず、古い法文の解釈や慣行、医療者・医療機関への信頼、遺族の理解によって活動は支えられていると言って良い。近年では、本人の(生前の)提供意思の登録制度に注目が集まっているが、その理論的な位置付けや社会発信のあり方には課題も残されている。これらの状況をJBBNプロジェクトを基に紹介しつつ、生前登録制度の参加者調査の進捗にも言及する。
⇨指定発言:佐藤 桃子(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 博士後期課程)

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『難病対策の形成と変容−疾患名モデルによる公費医療のメカニズム』(東京大学出版会)が刊行されます(渡部)

2023/06/14

特任研究員の渡部です。このたび、博士論文を基にした単著が刊行されます。

 

渡部沙織, 2023, 『難病対策の形成と変容−疾患名モデルによる公費医療のメカニズム』東京大学出版会.

 

本書は、戦後の日本で難病政策とその公費医療が形成された過程を、研究医や国の研究班、国立療養所や国立病院などに着目し、主に公的資料や統計資料に基づいて歴史社会学と医療社会学の観点から分析・記述したものです。

難病の領域では、国民皆保険を通じて全ての国民の健康と生命を幅広く保障する一般医療政策とは異なる形態の公費医療政策がおこなわれてきました。戦後の皆保険制度の中で難病政策が公費医療/研究事業としてどのように萌芽し、その役割を果たしてきたのかを検証しています。

また、制度を実践する空間として、旧国立結核療養所の国立病院などに設けられた難病病床について、その実相を病床統計の推移から検証するとともに、様々な研究班の資料や病院史、医師のオーラルヒストリーなども含めて記述しています。終戦直後に日本に化学療法がもたらされたことにより結核が治癒できる疾患となり、疾患構造の急速な変化とともに旧国立結核療養所が主に神経難病の患者を受け入れる難病病床へ変容していきました。これまで医療政策研究であまり明らかになってこなかった国立療養所や国立病院などの日本の公的病床と難病の歴史的な関係について、歴史社会学的な分析をおこなっています。

大学図書館などでお手に取って頂ける機会がございましたら、ご高覧を賜れましたら幸甚です。

 

目次

序章 福祉国家の保険制度と難病政策

  1. 戦後の福祉国家における難病政策
  2. 難病対策要綱体制と疾患名モデル
  3. 先行研究の検討と本書の視座
  4. 分析方法と資料

第1章 医科学研究事業としての公費負担医療の萌芽:スモン対策から難病へ

  1. 先行研究と視点:公費負担医療の正当化論とスモン対策
  2. 国費研究班の組織化
  3. スモン研究班の変容
  4. 特定疾患スモン調査研究班への移行

第2章 研究医と難病病床:国立療養所の病床構造転換

  1. 先行研究と視点:戦後の国立療養所・国立病院の病床構造
  2. 国立療養所宇多野病院にみる難病病床の変遷
  3. 疾患名モデルの存立基盤:研究医の志向と国立療養所の転換
  4. 国立療養所の病床構造の統計推移

第3章 疾患名モデルとその拡張 

  1. 先行研究と視点:疾患名モデル
  2. 医療費助成から福祉事業へ:研究事業と財政拠出の多様化
  3. 2000 年代、対象拡大と財政制約
  4. 社会保障化と患者負担:対象拡大の代償

第4章 難病政策の国際的な三類型:疾患名モデルに基づく難病政策の展開

  1. 先行研究:医療政策における難病政策の位相
  2. 欧州の難病政策とその形態
  3. 米国の難病政策とその形態
  4. 難病政策の三類型 

終章 日本型難病モデルの行方

一次資料(統計資料 図書資料)

付表 難病の研究班の推移

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遺伝情報に基づく差別に関連する論文が公表されました(武藤・永井・李)

2023/06/09

「遺伝情報で差別経験「ある」3% 東大調査、17年から改善せず」(6/12 共同通信)
これの元になった論文は、6/8にJournal of Human Geneticsに載せて頂きました。プレスリリースは、こちらです。
「日本では遺伝差別の禁止法は必要ないのか? ―四半世紀にわたる関連政策の概観と市民の意識調査からの検討―」
「合理的な区別」と「不当な差別」に線を引く議論が、容易にヘイトスピーチにつながりやすい昨今ですが、だからといって寝た子を起こすな、泣き寝入りしてもらえばいいという話ではないです。ニュージーランドやオーストラリアでも、現在、日本と同じような議論をしています。どういう選択肢をとれるのか、アジア・オセアニアの文脈で考えられるような研究を続けていきたいと思います。

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2023年度活動報告会/研究室説明会の開催のお知らせ(6/3)

2023/05/12

◆5/12更新:当日の内容を更新し、参加登録の受付を開始しました。
 
当研究室主催の、2023年度活動報告会/研究室説明会を開催いたします。

公共政策研究分野のメンバーが、取り組んできた研究テーマや活動について、紹介させていただきます。また、大学院への進学先として、この研究室にご関心がある方への研究室説明会も兼ねています。
※大学院への進学をご検討されている方は、こちらのページもご覧ください。

◆開催日時:
  2023年6月3日(土)13時~15時30分頃(予定)
◆参加方法: オンライン会議システム・Zoomを利用します。

◆当日の内容
1.当研究室の紹介・大学院の案内
2.研究室メンバーによる最近の活動報告
(※報告テーマは仮のものであり、後日変更になる可能性があります)
・患者・市民の視点を医薬品の安全な使用のために活用する際の課題の検討(北林 アキ)
・遺伝的リスクと結婚出産の意思決定(河合 香織)
・日本のがん医療政策におけるAYA世代をめぐる議論の検討(河田 純一)
・希少難治性疾患の患者・市民参画(PPI/E)をめぐる諸課題(渡部 沙織)
・生成系AI・チャットボット技術と医療倫理との接点(仮)(井上 悠輔)
・遺伝的特徴・情報に基づく差別の防止について(武藤 香織)
※順不同
3.質疑応答

◆お申し込み方法

参加をご希望の方には事前登録をお願いしています。下記の申し込みフォームより、ご登録ください。また、最後に「送信」ボタンを押さないと記入された内容が送信されませんのでご確認ください

https://forms.gle/62EdqTtDTJXKceE3A 

※お申込み締め切り:6月1日(木)まで
お申込みいただきました方には、6/3当日までにzoom参加のためのURLをご連絡差し上げます。

※障害等を理由に特別な配慮をご希望の方は、フォームの欄にご記入ください。後日、担当者から別途ご連絡させて頂きます。
※当研究室への進学にご関心のある方は、フォーム末尾の「ご意見・ご要望」欄に、検討されている研究科名をお書き添えください。
※大学院入試を受験される方は、事前に教員との面談が必要になります。別途、研究室窓口までご連絡ください。

◆本件に関するお問い合わせ
東京大学医科学研究所 公共政策研究分野
活動報告会/研究室説明会 担当(木矢、亀山)
Email:event@pubpoli-imsut.jp

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5月の公共政策セミナー

2023/05/10

5月の公共政策セミナーは以下のように行われました。

 
◆日時: 2023年5月10日(水)13:30~16:00ごろ
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)
◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催
◆Web参加方法: 学内の方は、共有カレンダーのURLからご参加下さい。


 
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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
◆報告1
報告者:北尾 仁広(公共政策研究分野 特任研究員)

タイトル:臨床試験等における重篤な有害事象等の法的正当化をめぐる課題
要旨:治験・臨床試験(以下、「臨床試験等」)には、望ましくない副次的結果(被害者の死亡その他の重篤な有害事象等)が生じるリスクが常に随伴する。このこと自体は自明なことではあるが、この自明なリスクが現実化した場合、実験者の行為を(刑)法的に正当化するにはいくつかの困難を克服しなければならない。具体的には未必の故意に基づく故意殺人罪や、リスクの存在を認識しながら敢行したことに伴う傷害致死罪などの成立を否定するだけの明白で確固とした論拠が求められる。最も頻繁に用いられる論拠として、「インフォームド・コンセント」や「患者の同意」といった、患者側の了解が挙げられる。しかし、刑法202条(嘱託・承諾殺人)や、危険運転において好意同乗者に死傷結果が生じた場合も運転者は刑法上免責されないという支配的見解を念頭に置くと、患者側の了解それ自体を直接の論拠と見てよいか疑わしさが残る。そこで本報告では、1)「患者の同意」の法的性格を簡単に整理したうえで、2)特にいわゆる「危険引受け」の観点から臨床試験等における患者の自己決定それ自体を「優越的利益」として具体化する必要性を示す。

⇨指定発言:井上 悠輔(公共政策研究分野 准教授)


◆報告2
報告者:島﨑 美空(大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻博士後期課程

タイトル:日本のゲイの人々の子をもつ意識及び生殖補助医療に対する態度
要旨:我が国において、性的マイノリティの家族形成、特に子をもつことを保障する法律や体制は十分でなく、また性的マイノリティ当事者の見解が社会政策に反映されているかは不明である。さらに性的マイノリティの家族形成については欧米諸国や台湾で調査の実施例があるが、国内では特にゲイの人々を対象とした研究はない。そこで、未だ明らかでない日本のゲイの人々の子をもつ意識及び生殖補助医療技術 (ART: Assisted Reproductive Technology)利用に対する態度を調査した。そして当事者の意識を可視化し、どのような因子がゲイの人々の子をもつ意識に影響を及ぼしているのかを日本の社会的背景から検討することを目的とした。日本在住のゲイの人々10 名を対象として、調査参加者の子をもつ意識及び ART 利用に対する態度を明らかにするために半構造化インタビューを実施しその語りを、子をもつ願望、子をもつ意図、ART利用に対する態度の3つのトピックに分類し、それぞれについてMayringの質的内容分析を用いて分析した。なおこの研究は発表者の修士研究であり、今回のセミナーではこのインタビュー調査の結果を報告するとともに、博士研究への展望を発表する。

⇨指定発言:胡 錦程(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース修士課程)

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【院生室より】「DNAの日」行事として映画『ガタカ』を鑑賞しました

2023/04/19

D4の佐藤です。

来たる4月25日はDNA二重らせん構造発見の論文の掲載日(1953年)かつ、ヒトゲノム解読完了(2003年)が発表された日として「DNAの日」と呼ばれています。今年は二重らせん発見から70年、ヒトゲノム解読完了から20年ということで、イベントも予定されています。

研究室ではDNAの日の行事として、武藤先生のご提案で、近隣の目黒シネマで上映していた1997年の映画『ガタカ』を観ることになり、武藤先生、大学院生の島﨑さん、胡さんの4人で鑑賞してきました。

『ガタカ』は遺伝子操作で生まれた「適正者」が、自然出産で生まれた「不適正者」よりも優遇される近未来を描いたSF映画です。主人公で「不適正者」のヴィンセントは「適性者」しか就くことのできない宇宙飛行士という職業に憧れ、偽装で潜入するのですが……という物語です。

作中では指先の少量の血液や1本のまつげなどで「個人の同定」「疾患リスクの判定」「犯罪捜査」などができるようになっており、DNAの解析技術が緊迫感を持って各場面に組み込まれています。また、「不適正者」であるヴィンセントが夢を追う一方で、「適性者」でありながら社会から弾かれてしまい、ヴィンセントの偽装に手を貸すジェロームの生活や苦悩も描かれ、科学技術が社会に与えた影響も伝えるドラマです。

私は久しぶりの鑑賞だったのですが、まだヒトゲノムが解読されていない時期に制作されたとは思えない精度に、終始のめり込んで鑑賞していました。生命倫理の授業でもよく紹介される定番の作品ですが、改めて鑑賞することができ、ゲノム解析と社会の関係に思いを馳せています。

 (D4 佐藤)

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Human Genome Variation誌に健康医療情報のクラウド・コンピューティングの研究利活用への市民意識調査の論文が掲載されました(武藤・楠瀬)

2023/04/17

後期博士課程の楠瀬です。

この度、医学研究へのクラウド・コンピューティングの利用とゲノム・データやパーソナル・ヘルス・レコード(個人の健康や医療に関する記録情報)の共有に関する一般市民を対象とした意識調査の結果をまとめた論文がHuman Genome Variation誌(オンライン/オープンアクセス)で公開されました。

Kusunose, M., Muto, K. Public attitudes toward cloud computing and willingness to share personal health records (PHRs) and genome data for health care research in Japan. Hum Genome Var 10, 11 (2023). https://doi.org/10.1038/s41439-023-00240-1

https://www.nature.com/articles/s41439-023-00240-1

健康医療ビッグデータなどの利活用の重要性が指摘されており、諸外国では全国規模の電子カルテシステムを連携させ、収集されたデータの保健分野や医療の改善への利用のほか、医学研究に利用する試みも行われていますが、失敗例も報告されています。他方クラウド・コンピューティング(以下、クラウド)の利用に関しても、利点とともに様々な問題点も指摘されています。

日本においてもデジタルヘルス改革のもと、パーソナル・ヘルス・レコード(個人の健康や医療に関する記録情報;以下、PHR)のクラウドによる共有や、医療・介護データの利活用に向けた整備が進められています。しかし、PHRデータの共有を求められる一般市民がどのように考えているのかに関する調査は殆ど見られません。

そこで2021年3月に医学研究へのクラウド・コンピューティングの利用とゲノム・データやPHRデータ共有への意向、そして、それらの意向にデジタルヘルスの基礎的リテラシーや商品やサービスと交換可能なポイント(以下、ポイント)などが与える影響について、一般市民を対象に意識調査を行い、5,830人(回答率20.4%)の方から回答をいただきました。

その結果、本人が特定されるような情報を取り除いたPHRデータ(カルテデータ、健康診断データ、遺伝子検査データ、スマートフォンの健康アプリデータ、ウェアラブルデバイスの健康データ)の医学研究への共有に対する懸念はデータの種類による差はなく、情報漏洩(≧55.5%) 、本人の知らないところでのデータ利用(≧50.4%)、情報の不正利用(≧48.8%)が上位の共通する懸念として抽出されました。また、本人が特定される情報を取り除いたデータを利用する場合であっても、遺伝子検査データでは約5割(49.5%)、その他の種類のデータではおよそ4割(≧38.5%)の回答者が、本人が特定されるのではないかとの懸念を抱いていることが分かりました。加えて、これらの懸念は、セキュリティなどクラウドのシステム的な問題とも重なることが分かりました。さらに医学研究へのデータ共有の意向は、デジタル・ヘルスに関する基礎的リテラシーと関連があり、ポイントによるインセンティブの影響は限定的である可能性が示唆されました。

クラウドを利用したゲノム研究においては、クラウド利用者(研究者)と研究参加者の構造的な脆弱性が生じている可能性もあり、これらの脆弱性克服のためにも患者市民参画が重要な役割を果たすことが期待されます。

 

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「DNAの日~ゲノム医療法案と遺伝差別禁止について語ろう」(4/25)開催のお知らせ

2023/04/06

4月25日は、国際的に「DNAの日」(DNA day)として知られています。DNA二重らせん構造発見の論文の掲載日(1953年)であり、2003年のヒトゲノム解読完了もその日に発表されました。2023年のDNAの日は、二重らせん構造発見から70年、ヒトゲノム解読完了から20年となります。

今年のDNAの日を目標に、昨年秋に超党派議員連盟(※)より示された「ゲノム医療法案」(★)の早期成立を、多くの人々が望んできました
「ゲノム医療法案」では、ゲノム医療の推進とともに、ゲノム情報による不当な差別が行われないことが盛り込まれています。

DNAの日の昼休みのひとときに、「ゲノム医療法案」の意義を確認し、法案成立後に必要な議論について語り合いましょう。

※適切な遺伝医療を進めるための社会的環境の整備を目指す議員連盟
★良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律案

日時:2023年4月25日(火)12時~13時
開催方法:オンライン(zoomウェビナーを使用)
話題提供(発言順):
武藤香織(東京大学医科学研究所 教授)
天野慎介(一般社団法人全国がん患者団体連合会 理事長)※動画メッセージ
横野 恵(早稲田大学社会科学部 准教授)
指定発言(発言順):
太宰牧子(一般社団法人ゲノム医療当事者団体連合会 代表理事)
辻 邦夫(一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会 常務理事)

参加申込み:https://dnaday2023gd.peatix.com 

主催:東京大学医科学研究所公共政策研究分野

共催:AMEDゲノム医療実現バイオバンク利活用プログラム「ゲノム医療・研究への患者・市民参画(PPI)推進およびリテラシー向上のための基盤整備」JST-RISTEX RInCAプログラム「公正なゲノム情報利活用のELSIラグを解消する法整備モデルの構築」

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「DNAの日~ゲノムとわたし、あなたとゲノム」(4/23)開催のお知らせ

2023/04/01

4月25日は、国際的に「DNAの日」(DNA day)として知られています。DNA二重らせん構造発見の論文の掲載日(1953年)であり、2003年のヒトゲノム解読完了もその日に発表されました。2023年のDNAの日は、二重らせん構造発見から70年、ヒトゲノム解読完了から20年となります。

より身近になってきたゲノム医療やゲノム研究について、多くの人々と考える機会にしたいと考えています。このDNAの日から直近の日曜日に東京でイベントを企画しました。お気軽にご参加ください!

<お申込はこちらから>
https://dnaday2023.peatix.com

シンポジウム

日時:2023年4月23日(日)13:00~15:15
場所:ハイブリッド開催 
東京大学福武ホール ラーニングシアター(定員130名) 
②オンライン(Zoom ウェビナー)
主催AMEDゲノム医療実現バイオバンク利活用プログラム「ゲノム医療・研究への患者・市民参画(PPI)推進およびリテラシー向上のための基盤整備」
対象:ゲノム医療・ゲノム研究に関心のある方

内容

1.ごあいさつ~「DNAの日」に考えたいこと
 東京医科歯科大学 教授 吉田雅幸

2.ヒトゲノム解析の歴史~レジェンド研究者からのメッセージ
 ゲスト: 東京大学 名誉教授 榊 佳之
 聞き手: 東北大学 教授 長神風二

3.DNA粗抽出実験の実践から
 NPO法人 くらしとバイオプラザ21 常務理事 佐々義子

4.ゲノム医療の今とこれから 
 東京医科歯科大学 講師 江花有亮

5.パネルディスカッション

司会:東京大学 教授 武藤香織


シンポジウム関連イベント

福武ホールでシンポジウムに参加された方のうち、「もう少し聞きたい/話したい」という方に、3つのワークショップを用意しています。興味のあるワークショップを1つお選びのうえ、お気軽にご参加ください。

日時
:2023年4月23日(日)15:30~16:30
場所東京大学 福武ホール ラーニングシアター&ラーニングスタジオ
 ※オンライン配信はありません
ワークショップ1:DNAをとりだそう(定員16名)
 野菜を使ってDNAの抽出実験を行います。
 ※エタノール、バナナ、ブロッコリー、いちご、鶏肉を使用する予定です。
  アレルギーがある方はご参加についてご自身でご判断いただきますようお願いいたします。

ワークショップ2:認定遺伝カウンセラーと気軽にトーク(定員16名)
 遺伝カウンセリングや遺伝医療についてわかりやすく説明します。
 認定遺伝カウンセラーってどんな存在なのか、気軽に話してみませんか? 
 ※個別の相談は受け付けておりませんので、ご了承ください。

ワークショップ3:オプトアウト~私を知って、そして読んで

 ゲノム研究での「オプトアウト」とは、病院に置いてきた/かなり前に同意した自分の試料・情報が研究に使われるときに
 情報を公開し、拒否の機会を保障することです。もっと知ってもらうために、一緒に考えてみませんか?

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【院生室より】博士の学位を取得しました(飯田)

2023/03/26

このたび東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻医療イノベーションコースにおいて「遺伝情報に基づく差別禁止とは何かー生命保険分野と労働分野における制度設計」という博士論文で博士の学位(医科学)を取得し、3月23日の学位授与式で学位記をいただきました。11月15日予備審査会、12月7日博士論文提出、12月22日~1月23日学位審査期間、2月2日博士審査結果報告会、2月9日要件論文提出というハードな日程を経ましたが、学位を取得できた時の感動はひときわでした。博士論文を通じて過去の議論や経緯を明らかにし、新しい知見を加える難しさとダイナミズムを経験しました。指導教員の武藤先生をはじめご指導、ご鞭撻、そして励ましの声をいただいた多くの方々に感謝いたします。今後は研究の成果を、実際に社会に貢献できればと考えています。

飯田寛(現在は特任研究員)

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