2022年度第4回公共政策セミナー

2022/09/18

9月14日13時半から公共政策セミナーが開催されました。

報告1

報告者: 河合 香織(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 博士後期課程)
タイトル: ゲノム医療時代における『遺伝学的責任(genetic responsibility)』の再考

要旨:

1970年代以降、遺伝子検査(GT)に関する議論を形成してきた道徳的概念が「遺伝的責任」(genetic responsibility,GR)で、LipkinとRowley(1974)によって作られた造語である。この概念に対するもう一つのアプローチは、社会学者であるニコラス・ローズらによって提唱され、GRが個人の生活スタイルに生政治的影響を反映していると理論化した(Lemke、2006;Rose、2007)。
本報告では、このような遺伝学的責任の議論を踏まえ、日本におけるゲノム医療時代における遺伝学的責任の射程について再考するという博士課程での研究計画について発表する。

⇨指定発言:渡部 沙織(公共政策研究分野 特任研究員)

報告2

報告者: 北林 アキ(大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 博士後期課程)
タイトル: 患者・市民の視点を医薬品の安全な使用のために活用する際の課題の検討

要旨:

医薬品には副作用等のリスクがあるため、製造販売後も引き続き副作用等の情報収集を行い、医薬品の安全かつ適正な使用のために活用することが重要である。
収集する情報源として、これまで主であった製薬企業や医療従事者からの情報に加え、患者から寄せられる情報の利点が注目され始め、医薬品の安全な使用のために当該情報を規制当局の意思決定に活用する取組みが世界的にも進んでいる。しかし、我が国でのこうした取組みは、他の先進国に比べて大きく後れている。
そこで、この打開策を検討するべく、本研究では、主として患者・市民からの情報収集の手段について、文献研究及び調査研究(アンケート調査)により国内外の現状を調査している。
本報告においては、これまでの検討を踏まえて今後実施予定の、患者・市民を対象とした調査計画(案)を共有したい。

⇨指定発言:武藤 香織(公共政策研究分野 教授)