2025年11月の公共政策セミナーは、以下の通り、行われます。
◆日時: 2025年11月12日(水)13:30-16:00ごろ
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)
◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催
◆Web参加方法:公共政策メンバーの方は、共有カレンダーのURLからご参加下さい。
※所外の方は、お手数ですがご参加都度、開催当日昼12時までに渡部までご連絡下さい。セミナー開始までに参加用URLと当日の資料ファイルをお送りします。
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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
◆報告1
報告者:村上 文子(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 修士課程)
タイトル:医療に係る意思決定支援とは何か:政策における議論を中心に
要旨:増加する身寄りのない高齢者が抱える生活課題等への対応は急務となっており、そのニーズに応じる「高齢者等終身サポート事業者」(以下、事業者)は全国で推定400社を超えている。生活の様々な場面での意思決定支援の施策がすすんでいるが、医療に係る意思決定だけは国としての施策になっていない。2024年に内閣官房および8府省庁が合同で公表した「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」では、事業者に医療に係る意思決定支援への関与が認められるなど、高齢者の意思決定支援において事業者の存在が頼りにされはじめている。
本発表では、高齢者の医療に係る意思決定支援について、事業者の関与が認められるにいたるまでの、成年後見制度と臨床倫理の分野における議論の変遷を読み解く。なお、本発表は、発表者が現在執筆中の修士論文における第一研究の一部である。
⇨指定発言:河田 純一(公共政策研究分野 特任研究員)
◆報告2
報告者:島﨑 美空 (大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻博士後期課程)
タイトル:出生前検査としての超音波検査の現状と倫理的課題:女性を対象としたミックスド・メソッド研究
要旨:超音波検査は低侵襲の検査で、産科領域においては妊娠経過や胎児発育の確認のために使用されている。近年では、超音波検査機器の精度向上により、詳細に胎児の形態を観察することが可能になったことで出生前検査としても提供されている。しかし、その提供の現状や倫理的課題は国内において十分に議論されていない。そこで本研究は、ミックスド・メソッドを用いて出生前検査としての超音波検査(FUSE: Fetal Ultrasound Screening Examination)の経験を解明し、FUSE経験者の視点から倫理的課題を検討することを目的に調査を実施した。ウェブ調査(N=1,236)とインタビュー調査(N=29)を実施した結果、胎児の様子を見て確認できるポジティブな体験を伴う検査であることや、受検することで不安に対処できた感覚が肯定的に評価される一方で、受検することによって惹起される心理的負担や葛藤、生命倫理の自律尊重原則に反する情報提供、意思決定支援の実情があることが見えてきた。本発表では、予備審査を経て執筆の方向性を修正中である博士論文の途中経過を報告する。
⇨指定発言:西 千尋(公共政策研究分野 特任研究員)
特任研究員の渡部です。Allergy誌に、アレルギー領域における患者・市民参画(PPIE:Patient and Public Involvement and Engagement)に関する論文が掲載されました。
英文タイトル:Exploring Patient and Public Involvement and Engagement in Allergy Research: Cross-Disease and Cross-Stakeholder Perspectives in Japan
タイトル和訳:アレルギー研究における患者・市民参画の探究:日本における疾患横断的・ステークホルダー横断的視点
著者名:Takeya Adachi, Saori Watanabe, Yu Kuwabara, Yuki Abe, Masaki Futamura, Takenori Inomata, Keima Ito, Meiko Kimura, Keiko Kan-o, Hanako Koguchi-Yoshioka, Yosuke Kurashima, Katsunori Masaki, Mayumi Matsunaga, Haruka Miki, Saeko Nakajima, Yuumi Nakamura, Masafumi Sakashita, Sakura Sato, Kyohei Takahashi, Masato Tamari, Takeshi Tsuda, Satoru Yonekura, Mayumi Tamari, Kaori Muto, Hideaki Morita
掲載紙:Allergy
掲載日:2025年9月18日
DOI: 10.1111/all.70064
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/all.70064
慶應義塾大学と国立成育医療研究センターと共同で、東大医科研からプレスリリースが公表されておりますので併せてご覧ください。
近年、患者や市民が研究に主体的に参加する「患者・市民参画(Patient and Public Involvement and Engagement: PPIE)」の重要性が国際的に強調されています。双方向性の研究推進が可能になると、研究者にとっては研究開発を進める上での新たな視点と価値を発見することにつながったり、患者・市民にとっては負担の少ない実施体制につながり、最終的には社会が医療を育てることにもつながります。2024年に世界医師会が改訂したヘルシンキ宣言でも、医療研究における倫理的原則としてPPIEの推進が明記されました。
本研究は、日本におけるアレルギー領域のPPIEの現状を、がん・難病領域と比較することで初めて明らかにしました。全国の研究者(Principal Investigators: PIs)および患者団体(Patient Advocacy Groups: PAGs)を対象にアンケート調査を実施し、両者の意識や取り組みのギャップ、今後必要とされる支援策を検討しました。
調査の結果、アレルギー領域の患者団体は研究者との連携や参画の必要性を強く認識している一方で、研究者側ではPPIEの重要性を認識している割合が少なく、患者団体と研究者の間には「PPIEの必要性」に認識のギャップがあることが明らかになりました。また、アレルギー領域の研究者がPPIEの必要性を認識していた割合はがん・難病領域の研究者よりも低い傾向がありました。実際の研究者と患者団体の交流頻度についても、がん・難病領域と比較するとアレルギー領域の方が低い結果でした。
PPIEのためのニーズとしては、患者団体からは「患者・研究者双方の研修」「研究者と患者をつなぐコーディネーター」「成功事例やツールキットの整備」といった具体的なニーズが示されました。研究者からも「コーディネーターの存在が最も重要」との回答が多く、両者に共通した課題として認識されていました。一方で、PPIEに関連するデジタルツールの活用については患者団体の殆どが利用しているのに対し、研究者側の利用は限定的で、患者団体と研究者の間で大きな差がありました。
本研究で明らかになった患者・研究者双方へのPPIEに関する教育プログラムの提供、PPIEコーディネーターの育成、デジタルツールやPPIEの実施に関するガイドラインの開発など、アレルギー領域のPPIEを支える様々な基盤的ニーズの整備について、今後様々な取り組みや研究を通じて実現に資するよう尽力していきたいと考えています。
(渡部・武藤)
2025年10月の公共政策セミナーは、以下の通り、行われました。
◆日時: 2025年10月8日(水)13:30-16:00ごろ
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)
◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催
◆Web参加方法:公共政策メンバーの方は、共有カレンダーのURLからご参加下さい。
※所外の方は、お手数ですがご参加都度、開催当日昼12時までに渡部までご連絡下さい。セミナー開始までに参加用URLと当日の資料ファイルをお送りします。
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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
◆報告1
報告者:河合 香織(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 博士後期課程)
タイトル:インターネットを通じた難病のゲノム医療や遺伝情報の伝え方に関する検討
要旨:近年、ゲノム医療の進展に伴い、遺伝情報の提供は患者や家族の結婚・妊娠・出産のみならず、診断後の生活設計や家族内での情報共有など多岐にわたる意思決定に影響を及ぼしている。特に希少な疾患や難病については、多くの患者や家族が身近にアクセスできるインターネット上の情報源において、欧米に比べ日本ではゲノム医療や遺伝情報についてわかりやすい情報提供が充分になされていない状況がある。また情報を伝える上で、「余命」「普通」といった配慮が必要な表現が意図せざる誤解を生じさせたり、発信者の無意識のジェンダーバイアスなどが差別や偏見を喚起するリスクも存在する。本発表ではこれまでの研究の振り返りとともに、今後開催予定の難病のゲノム医療に関するPPIワークショップのデザインを検討する。
⇨指定発言:村上 文子(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 修士課程)
◆報告2
報告者:木矢 幸孝(公共政策研究分野 助教)
タイトル:高齢者等終身サポート事業者と医療機関との関わり
要旨:単身高齢者の増加等を背景として、全国で推定400社を超える高齢者等終身サポート事業(以下、事業者)の利用が浸透しつつある。2024年6月に公表された「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(内閣官房他)では、利用者の意思を医療機関が把握し、その希望を踏まえた医療を可能にすため、事業者による意向表明文書の作成支援が想定されている。加えて、事業者が関わる現場では利用者本人が意思表示できない場合に、事前に確認した利用者の意向を事業者が医療機関に伝える場合がある。しかし、その際、事業者が医療機関にどのように受け止められたと認識しているかについては、十分に検討されていない。事業者の語りを通じて、利用者の意向が医療現場でどのように反映され実現されているのかを捉えることは重要である。本報告では、この問題意識のもと、2024年11月および2025年1月〜7月に実施した事業者へのヒアリング調査の結果を紹介する。
⇨指定発言:島﨑 美空 (大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻博士後期課程)
2025年9月の公共政策セミナーは、以下の通り、行われました。
◆日時: 2025年9月10日(水)13:30~16:00ごろ
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)
◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催
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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
◆報告1
報告者:三村 恭子(公共政策研究分野 学術専門職員)
タイトル:女性を「診る」人工物の政治性:産婦人科内診台および産科向け超音波画像診断装置を事例として
要旨:テクノロジーは、その開発における政治経済的文脈に基づきかたちづくられるだけでなく、より幅広い社会文化的な背景にも影響される側面がある。そして、その使用において、特定の関係性を再生産したり強化するような政治性を発現することもある。
本発表では、主に女性の身体を「視る」ために使われる医療技術(とりわけ人工物としてその場に在るモノ)が、どのような政治性を発現しているかを検討する。そのため、産婦人科内診台と産科向けの超音波画像診断技術(機器)の、2つの事例を取り上げ、それらの使用により生じる関係性や構造について考察する。また、これらの技術の開発の流れを、歴史的な観点から分析し、上記の関係性や構造の背景要因を探るとともに、開発の方向性にどのような政治性が含まれているかを考察する。
本発表は、発表者が現在執筆している博士論文の内容であり、主に考察部分の一部に焦点を当てたものである。
⇨指定発言:李 怡然(公共政策研究分野 准教授)
◆報告2
報告者:渡部 沙織(公共政策研究分野 特任研究員)
タイトル:過去の医療・福祉に関する資料のアーカイブズ化と利活用に関する市民の認識 〜センシティブな過去の記録はいかに社会に開かれるか〜
要旨:本報告の目的は、過去の医療・福祉に関連する記録や資料の保存とその利活用に対して、一般市民がどのような懸念や考えを抱いているのかについて、インターネット質問票調査を用いてその認識を分析する事にある。特に、保存の必要性、保存の主体となる機関や利活用を容認する際の利用目的について、一般市民の認識を把握する。
本研究が想定する、アーカイブズ化が必要な過去の医療・福祉に関連する記録とは、患者や家族の団体が作成した記録、医療機関や福祉施設等が作成した記録や、開示された行政文書でセンシティブな情報を含む資料など、取り扱いの基準や位置付けが曖昧な領域の資料を指す。このような資料群の散逸や廃棄を防ぎ、アーカイブズ化と学術研究目的の利活用の枠組みを検討するためには、当事者や市民の懸念を把握しながら慎重に倫理的な配慮を検討する事が求められる。今回は、海外でのマイノリティや先住民族に対する優生手術記録のアーカイブズの事例やそれらへの当事者参画型の運用のあり方、幅広い医療や施設の記録の長期的保存に関する事例を参照しながら、調査結果の示唆について考察する。
⇨指定発言:木矢 幸孝(公共政策研究分野 助教)
<このイベントは終了しました>
以下の通り、新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 入試日程Bに関する医療イノベーションコースとしての説明会を開催します。
第1回:2026年度 入試日程B 医療イノベーションコース説明会
日時:2025年9月11日(木) 18:00~19:00
場所:オンライン開催
内容:オンラインで入試制度説明、研究室紹介(short presentations)を実施します。
申込:事前の参加登録をお願いしています。参加登録はこちらです。
第2回:2026年度 入試日程B 医療イノベーションコース説明会
日時:2025年10月4日(土) 13:30~15:30(ハイブリッド開催)
場所:東京大学医科学研究所 2号館 2階大講義室(オンラインでも同時開催)
交通:地下鉄南北線 白金台駅2番出口より 徒歩5分
内容:入試制度説明、研究室紹介(1ラボあたり15分程度)、新設する教育プログラム紹介、研究室訪問(白金台にラボのある研究室のみ)、現役学生とも情報交換できます。また、オンラインでも同時開催します。
申込:事前の参加登録をお願いしています。参加登録はこちらです。
難病のゲノム医療について考えよう!〜患者・市民が頼れる情報源とは〜
難病のゲノム医療や全ゲノム解析の体制整備が進む一方で、疾患や研究について、患者さんやご家族がわかりやすく知ることができる情報源は限られているのが現状です。
難病のゲノム医療の現状を知り、「遺伝」やゲノム医療に関する情報をどのように伝えていけばよいのか、一緒に考えてみませんか。
みなさんの質問・意見にライブでおこたえします!
イベント告知URL: https://250919-genome.peatix.com

開催日時:2025年9月19日(金) 19:00〜20:30
開催形態:Zoomウェビナーでのオンライン開催
ご参加いただける方:難病の患者さん、ご家族、支援者の方はどなたでも参加できます
参加方法:参加は無料です。下記のURLから事前申し込みをお願いいたします
*申し込み締切 9/17(水) https://questant.jp/q/250919-register
プログラム
1.開会あいさつ
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 理事長特任補佐 水澤 英洋
2.難病のゲノム医療の現状について
厚生労働省健康・生活衛生局難病対策課
3. 参加者からのQ&A
休憩
4. 難病のゲノム医療に関する情報提供のあり方について
厚生労働省健康・生活衛生局難病対策課
東京大学医科学研究所公共政策研究分野 教授 武藤 香織
5. 参加者からのQ&A
みなさんからのご意見・ご質問にライブでおこたえします!
*個別の治療内容や研究参加に関するご質問・ご相談は受け付けられませんのでご了承下さい。
*ご質問は事前アンケートと当日のQ&A機能で受け付けます。
6. 閉会あいさつ
主催:厚生労働行政推進調査事業補助金(難治性疾患政策研究事業)「革新的技術を用いた難病の医療提供体制推進に関する研究」(水澤班)
イベント運営:東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 Email: event@pubpoli-imsut.jp
新領域創成科学研究科D3の島﨑です。
先日、大阪で開催された第61回日本周産期・新生児医学会学術集会に参加してまいりました。
私は、女性や社会的マイノリティとされる人々が直面する医療の課題に関心を持っており、特に生殖に関する問題に強い関心を抱いています。
昨年、初めて本学術集会に参加させていただいた際には、実際の症例や臨床現場で直面するさまざまな課題に触れ、大変学びの多い経験となりました。
今年も参加を楽しみにしており、今回も多くの刺激を受ける時間となりました。
今回は主に妊娠期に関連するセッションを拝聴し、出生前診断、プレコンセプションケア、胎児治療、母児ワクチンなどについて、最新の知見や現場の取り組みを学ぶことができました。
数々の症例報告を通じて、社会的要因が個人にもたらす影響の大きさを改めて実感するとともに、実際に困難な状況に置かれている方々の存在にも心を動かされました。
「自分と同じような思いをする人がこれ以上増えないように」という願いのもと、症例報告への承諾をされた女性や患者さんの思いをしっかりと受け止め、今後の研究に取り組み、その成果を現場に還元していきたいと強く感じました。
2025年7月の公共政策セミナーは、以下の通り、行われました。
◆日時: 2025年7月9日(水)13:30~16:00ごろ
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)
◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催
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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
◆報告1
報告者:永井 亜貴子(新領域創成科学研究科 特任助教)
タイトル:
要旨:ヒトチャレンジ試験とは、
⇨指定発言:三村 恭子(公共政策研究分野 学術専門職員)
◆報告2
報告者:胡 錦程(学際情報学府大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 修士課程)
タイトル:
要旨:本報告では、2024年11月に実施したアンケート調査の
⇨指定発言:渡部 沙織(公共政策研究分野 特任研究員)
2025年6月27〜29日に幕張メッセ等で開催された、第34回日本老年学会総会に参加してきました。
日本老年学会は、日本老年医学会、日本老年社会科学会、日本基礎老化学会、日本老年歯科医学会、日本ケアマネジメント学会、日本老年看護学会、日本老年薬学会の7学会で構成されている、老年学会の連合体です。
各学会が個々に学術集会等を設けていますが、2年に1回、全7学会が集まって総会を行います。今年度は、その総会の年でした。
私は高齢者の医療に係る意思決定支援について関心をもっており、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)に関する発表を中心に拝聴しました。
7学会の総会のため、拝聴したいものがたくさんあり、当日できなかったものはオンデマンドで確認する予定です。
また、ポスター発表の様子を見ることができました。私にはまだポスター発表の経験がないため、分野ごとに発表の様子が違うことも勉強になりました。
自分の専門である高齢者について多くの学びを得ることができた総会でした。
(文責・学際情報学府M2 村上)
2025年6月の公共政策セミナーは、以下の通り、行われました。
◆日時: 2025年6月11日(水)13:30~16:00ごろ
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)
◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催
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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
◆報告1
報告者:松山 涼子(新領域創成科学研究科 博士後期課程)
タイトル:
要旨:本報告では、「子どもの健康と環境に関する全国調査(
初期結果では、①12年間の積み重ね②調査の自分ごと化③
⇨指定発言:胡 錦程(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 修士課程)
◆報告2
報告者:李 怡然(公共政策研究分野 准教授)
タイトル:ワクチン開発の臨床試験におけるELSI:
要旨:感染症のワクチン開発にあたっては、
⇨指定発言:永井 亜貴子(新領域創成科学研究科 特任助教 )
2025年5月の公共政策セミナーは、以下の通り、行われました。
◆日時: 2025年5月14日(水)13:30~16:00ごろ
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)
◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催
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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
◆報告1
報告者:方 璽正(学際情報学府 修士課程)
タイトル:現代中国における転向療法を合理化する言説について
要旨:現代中国における同性愛は脱病理化が進んでおり、一般市民の同性愛者への態度は受容的・積極的になりつつある。しかし、性的マイノリティを対象とした転向療法が国際的に批判される一方で、家族が同性愛者本人の意思を尊重することなく、転向療法を志向する施設に入所させるという状況がいまだに存在し続けている。
本研究は、上述のような脱病理化と転向療法の存在のバラドックスに着目し、中国における同性愛の特殊性を踏まえながら、転向療法施設への入所を合理化する論理の価値規範を捉えるためにインタビュー調査と言説分析に取り組む。分析を通じて、同性愛が脱病理化されつつある現代中国における、同性愛に対する不可視な言説空間の認識や価値観の可視化を試みたい。
⇨指定発言:松山 涼子(新領域創成科学研究科 博士後期課程)
◆報告2
報告者:西 千尋(公共政策研究分野 特任研究員)
タイトル:分子生物学におけるELSI・RRI教育および科学コミュニケーション
要旨:本報告では、分子生物学におけるELSIおよびRRI(責任ある研究・イノベーション:Responsible Research and Innovation)に関する科学教育や科学コミュニケーションの分析研究および研究実践例を提示する。RRIはELSIの考え方から発展した考え方であり、研究者・開発者だけでなく市民の意見を研究の上流から取り入れようとするアップストリーム・エンゲイジメントの考えを組み込んだ枠組みである(藤垣 2018)。
報告者は、公共政策研究分野の研究室に所属する前に、分子生物学に焦点を当てたELSIや RRIに関する科学教育の分析の研究を通じて「自分のこととして議論する」重要性を論じた。さらに、分子ロボティクス分野におけるELSI・RRIに関する科学コミュニケーションの研究実践を行い、自然科学分野の研究者を対象とした読み物の作成をした。本報告では、上記の研究実践を報告者の自己紹介も加えつつ紹介する。これらの研究を踏まえて、今後、公衆衛生学分野におけるELSI論点を議論していきたい。
⇨指定発言:李 怡然(公共政策研究分野 准教授)
大須賀 穣・渡部 洋共編『産婦人科ゲノム医療の必修知識 図表でわかる基本・検査・治療』(診断と治療社)に「がんゲノム医療と倫理的・法的・社会的課題」(李 怡然,武藤香織)を寄稿しました。「Part 3 婦人科悪性腫瘍とゲノム異常」の冒頭に掲載されています。幅広いテーマについて簡潔にわかりやすくまとめられている本ですので、ぜひご覧下さい。
2021年に国際幹細胞研究学会(ISSCR)が改正した「幹細胞研究および臨床応用に関するガイドライン」(当研究室が日本語訳の作成に貢献)では、ヒト多能性幹細胞研究、ヒト胚や幹細胞由来胚モデルを利用する研究の実施について、「科学的に正当化されなければならない」という言い回しが何度も登場します。この論文は、ISSCRの倫理委員会のメンバーが、幹細胞研究を行う審査・監督機関、規制当局、研究者に向けて、科学的な正当化とはいかになされるべきかについて、ワークショップを開いて検討した結果をまとめたものです。科学的な正当化を構成するには、(1)科学的厳密性、(2)問題の重要性、(3)代替的な科学的アプローチとの比較、(4)段階的なアプローチ、(5)研究に伴うリスク、(6)研究環境、(7)研究者の資格といった点を考慮する必要があると結論づけています。これらの要素の背景にあるものを含めて、ぜひお読み下さい。
Jonlin EC, Fujita M, Isasi R, Kato K, Munsie M, Muto K, Niakan K, Saha K, Sugarman J, Turner L, Hyun I. What does "appropriate scientific justification" mean for the review of human pluripotent stem cell, embryo, and related research? Stem Cell Reports. 2025 Apr 17:102479. doi: 10.1016/j.stemcr.2025.102479. Epub ahead of print. PMID: 40280137.
https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S2213-6711(25)00083-9
D5の佐藤です。
3月に、東京大学大学院 学際情報学府にて博士(学際情報学)の学位を取得しました。ご指導いただきました武藤先生、井上先生をはじめ、公共政策研究分野の皆様、院生の皆様にあらゆる面で支えていただきました。この場を借りて御礼申し上げます!
博士課程では、先住民族、特に日本のアイヌ民族を対象としたゲノム研究の倫理というテーマに取り組みました。博士課程に入学してから始めたテーマですが、たくさんの方にご助言をいただきながら進めることができました。
まだまだ未熟な部分も多く、今後もさらに研究を続けていきたいと思います。
4月以降も、公共政策研究分野には客員研究員として在籍させていただきます。今後ともよろしくお願い申し上げます!
先日、「2号館花見」が開催されました。
医科研に所属している任意の研究室が集まって、2号館前の桜並木の下で宴会をする、白金台キャンパスの伝統行事です。
長らくコロナのため中止となっていたところ、昨年復活したものの、残念ながら雨により屋内開催となりました。したがって、今回が6年ぶりの屋外開催です。
2号館花見は、研究室間の親睦を深めることに加え、新入生歓迎の意味も込められています。今年は20の研究室が参加しました。
6年ぶりの屋外開催のため、初めて参加するメンバーが多く、BBQやケータリングなどのおいしい料理を堪能しました。
強風の中の開催でしたが、それもまた楽しく、食事や物品が風に飛ばされない方策が次々に編み出されていきました。
武藤研はメンバー同士の仲が良いため、ほかの研究室との交流というよりも、研究室メンバーでの話に夢中だったことが、良くもあり残念でもあった点かなと感じています。
また、武藤研は来年度の2号館花見全体の幹事役を仰せつかりましたので、院生を中心にがんばりたいです。
(文責・学際情報学府M2 村上)
雑誌『小児科診療』2025年 Vol.88 春増刊号(特集:これからのガイドラインの読み方,使い方)(診断と治療社)に、「社会の視点から考える診療ガイドライン〜患者・市民参画(PPI)を診療ガイドライン策定にどう取り入れるか」を寄稿しました。
診療ガイドライン策定における患者・市民参画(PPI)の現況を概観するとともに、小児科領域で子どもの意見を取り入れる際の視点や、PPIにおけるCOI(利益相反)の考え方など、今後の課題について論じています。
公共政策研究分野は、以下の2つの大学院における修士(博士前期)・博士について入学・進学を受け入れています。出願を検討して下さっている全ての方に、希望する研究計画をまとめた書面のご提出と個別面談をお願いしています。
また、2025年5月10日(土)10:00-12:15に開催される活動報告会・研究室説明会にもぜひご参加いただき、進路決定の参考にしてください。
研究室窓口メールアドレス: pubpoli@ims.u-tokyo.ac.jp
1.新領域創成科学研究科
メディカル情報生命専攻 医療イノベーションコース 担当教員:武藤、李
ラボ情報、入試情報、入試説明会・オープンラボ
2025年4月5日(土) <メディカル情報生命専攻主催 入試日程A オンライン入試説明会>
16:00-17:00 オンライン研究室訪問
→李が参加予定です。
2025年5月10日(土)<白金台キャンパス 研究室紹介・オープンラボ>
13:00-16:00 ショートトーク、Meet the Professor 及びオープンラボ
→李・武藤が参加予定です。
参加登録方法や日程一覧はこちらをご参照ください。
2.情報学環・学際情報学府
文化・人間情報学コース 担当教員:武藤 ラボ情報
2025年5月17日(土)13:30-16:30 <2026年度東京大学大学院学際情報学府入試説明会>
→武藤は欠席予定です。
2025年5月31日(土)14:00-15:30 <文化・人間情報学コース夏季入試説明会>
→武藤が参加予定です。
入試説明会に関する情報を含め、詳しくは入試情報をご覧ください。
東京大学では、高校生を対象とした研究室訪問プログラム「東大の研究室をのぞいてみよう!〜多様な学生を東大に〜」を実施しています。
公共政策研究分野もこのプログラムに協力し、3月26日に8名の高校生を研究室にお迎えしました。
武藤先生の挨拶から始まり、研究室紹介・認知症の超早期予測および再生医療を例としたELSIについての説明をスタッフが行った後、
高校生の皆さんにELSIにふれていただく機会として、再生医療の「動物体内で移植用ヒト臓器を作成する研究」について賛成か反対か、またその理由は何かを考えるワークをしていただきました。
ワークではしっかりと賛成・反対の理由を考えてくださったのはもちろんのこと、さらに、各意見の中でも懸念があると考えられる事項を挙げてくださる方もいらっしゃいました。
また、ELSIの研究をすすめるにあたっての質問や進路決定にあたる相談も活発にしてくださり、鋭い指摘や、私自身もハッとさせられる意見が出ていました。
約1時間という短い時間でしたが、我われにとっても大変勉強になりました。
プログラムに参加してくださった皆さま、どうもありがとうございました!
(文責・学際情報学府M2 村上)
◆5/11更新:本イベントは盛況のうちに終了しました。多数のご参加をいただき、活発な質疑応答をありがとうございました。
当研究室主催の、2025年度活動報告会/研究室説明会を開催いたします。
公共政策研究分野のメンバーより、取り組んできた研究テーマや活動について、紹介いたします。
また、大学院への進学先として、この研究室にご関心がある方への研究室説明会も兼ねています。
※大学院への進学をご検討されている方は、こちらのページもご覧ください。
◆開催日時:2025年5月10日(土)10:00~12:15 頃 (予定)
◆参加方法: オンライン会議システムZoomを利用します。接続先は、
◆当日の内容(仮)
1.当研究室の紹介、大学院の案内
2.研究室メンバーによる最近の活動報告
(※順不同。報告テーマは仮のものであり、後日変更の可能性があります)
- 遺伝的リスクと結婚出産の意思決定
河合 香織(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 博士後期課程) - 出生前検査として実施される超音波検査の現状と課題:女性たちの経験に基づく分析
島﨑 美空(大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 博士後期課程) - 迅速なワクチン開発のELSI:臨床試験参加者調査より
三村 恭子(東京大学医科学研究所公共政策研究分野 学術専門職員) - 双方向バイオバンクにおける患者・市民参画(PPI)
河田 純一(東京大学医科学研究所公共政策研究分野 特任研究員) - 難病・希少疾患領域における患者・市民参画(PPI)
渡部 沙織(東京大学医科学研究所公共政策研究分野 特任研究員
3.質疑応答
◆お申し込み方法:
下記の申し込みフォームより、事前登録をお願いいたします。
最後に「送信」ボタンを押さないと記入内容が送信されませんのでご確認ください。
お申込み締め切り:5月9日(金)12:00まで
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◆本イベントに関するお問い合わせ
東京大学医科学研究所 公共政策研究分野
活動報告会/研究室説明会 担当(木矢、西)
Email:event@pubpoli-imsut.jp
こんにちは、M1の村上です。
2025年3月15・16日に順天堂大学で開催された、日本臨床倫理学会第12回年次大会において、口述発表を行いました。日本臨床倫理学会は、医療・ケアの実践から生じる倫理的問題に対し、患者の視点を尊重しながら、より良い医療の提供をめざすことを目的とした学会です。
この研究室に入ってから初の発表の場となる本大会において、「高齢者等終身サポート事業者による医療に係る意向表明文書に関する調査―中間報告―」というタイトルで報告しました。
発表内容は、研究協力者として参加している厚労科研研究班で行った、高齢者等終身サポート事業者を対象としたアンケート調査結果の抜粋と、現在進行中ですすめているヒアリング調査からわかってきたことについてです。
高齢者等終身サポート事業は、医療に係る意思決定支援として、「医療に係る意向表明文書」の作成サービスを提供していますが、このことについての研究はこれまで行われていません。
そのため、文書はどういった形態でどのような内容が含まれているか、利用者に対してどのように意向表明文書の作成を求めているか、アドバンスト・ケア・プランニングの観点から妥当なプロセスを経ているかを中心に発表を行いました。
10分という短い発表時間内で、研究班の先生方に代わって成果発表を行うという、プレッシャーを感じた発表でしたが、無事に終えることができました。
身寄りのない方のトピックが含まれている発表はほかにもいくつかあり、医療・介護現場での対応方法や課題点を知ることができました。
今回、日本臨床倫理学会の参加自体が初めてでしたが、自分の研究テーマに近い分野であることがわかり、有意義な2日間を過ごすことができました。
(文責・学際情報学府M1 村上)





