第1回「研究倫理を語る会」ご参加御礼(武藤)

2015/12/13

2015年12月12日、無事に「研究倫理の文化祭」、第1回「研究倫理を語る会」を開催することができました。受付を通過された方は370名にものぼり、年末の貴重な週末に足を運んで下さったことを心から御礼申し上げます。また、世話人代表を務めて下さった東京医科歯科大学生命倫理研究センターの吉田雅幸先生、甲畑宏子先生、江花有亮先生、高橋沙矢子先生に御礼申し上げます。さらに、各セッションをまとめてくださった座長の先生方、協賛してくださった諸団体の皆様にも大変お世話になりました。

また、セッション5「拡大・研究倫理支援者懇談会」の座長を引き受けてくれた神里彩子さん、セッション1「統合指針への対応状況:モニタリング・監査 はじめました」に登壇してくれた井上悠輔さん、Andrew JT George先生を招聘してくれた高嶋佳代さんをはじめ、当日も臨機応変に対応してくれた当研究室のメンバー一同に、厚く御礼申し上げます。

「研究倫理を語る会」の構想には、PRIM&R(Public Responsibility in Medicine and Research)がありました。私は、2000年にPRIM&Rに初めて参加し、被験者保護や規制、倫理審査について、機関や立場を超えて語り合う場があることに衝撃を受けました。日頃は色々なトラブルやストレスもあるかもしれませんが、この日ばかりは、みんな明るく楽しく、そしてぶっちゃけトークを繰り広げていました。

しかも、ただ「語り場」を提供しているだけではないのです。PRIM&Rでは、Certified IRB Professional(CIP)という、IRB運営に関わる実務者の認定試験を運営しています。CIPは、事務職員の学位のように扱われており、頂く名刺の多くには、名前の後ろに「,CIP」とつけられていました。当時、CIP制度を運営していた人に伺ったところ、「連邦規則なんて小難しいことを勉強してるんだから、少しでも転職しやすくするために、どういうスキルをもった人なのかを明らかにすることにしたんですよ」と教えてくれました。つまり、人を対象とする研究における法令を熟知し、IRBを運営できるという能力を示しているのがCIPです。

私が最近とても懸念しているのは、日本で突然、研究公正や倫理審査に関する業務量が増加し、また専門分化していることです。こうした業務に愛着を感じることのできる人たちは限られており、モチベーションの維持、そして専門性のあるキャリアパスの醸成が圧倒的に不足しています。研究倫理の質を支えているのは、委員だけではなく、事務/専門職員や研究倫理支援に関わる人たちです。すぐに解決できる問題ではありませんが、日本版CIPの構想も次の夢にしながら、これからも考えていきたいと思っています。また、日本では、研究機関の種別、職種、立場を超えて会する場がありませんでしたので、昨日の会がその第一歩になっていればいいなと思っております。