国立台湾成功大学STMセンターとの交流会(張)

2010/02/24

2月24日に台湾国立成功大学医学‧科学技術および社会研究センター(National Cheng Kung university STM Center、以下成功大学STMセンターと略す)の楊倍昌教授、翁裕峰教授、呉挺鋒教授、陳佳欣教授ら4人の先生方が公共政策研究分野を訪問されました。

2009年から、成功大学STMセンターは、台湾バイオバンクの運営側(科学者や行政)と国民の間の認識の溝の深さに注目し、科学政策の実施と国民とのコミュニケーションに有効的な解決策を模索し始めています。そのため、ご訪問の目的は、バイオバンク・ジャパンの運営経験を参考にするとのことでした。

訪問当日は、ちょうど医科研主催の第三回サイエンスアート企画展『boundary face ⇔ 界面空間』の初日にあたり、展示作品について、アーティストの岩崎秀雄さんが直接説明をしてくださいました。成功大学STMセンターの陳佳欣先生は、台湾でサイエンスカフェを実際に手がけた経験をお持ちであり、同行の先生方も今回の企画展に大変興味を示されました。

企画展観覧後にはランチミーティングを行い、ちらし寿司を堪能しながらバイオバンクの構築や科学コミュニケーションの試みなどについて意見交換をしました。公共政策研究分野からは、武藤さんがバイオバンク・ジャパンの概要について説明し、渡部さんがバイオバンク・ジャパンへ協力して下さっている方々とのコミュニケーションについて話題提供し、そして、洪さんが韓国のバイオバンクの事例を紹介しました。


成功大学STMセンターからは、バイオバンク運営の方法や、バイオバンクの医学的・科学的効果は本当に期待できるかという問題提起をされました。それから、国民の医学研究への理解や協力の動機、行政の科学研究への資金提供などについての各国の社会背景の違いなども指摘されていました。STSのテーマに関心の高い先生方ですので、議論が盛んに交わされているうちに、あっという間に予定の2時間半が過ぎてしまいました。

その後、成功大学の先生方は東京大学医科学研究所にあるバイオバンク・ジャパンの血清バンクとDNAバンクを見学しました。DNAバンクを見学される際に、先生方はバイオバンク・ジャパンの厳重なセキュリティに感心され、血清バンクでは、楊倍昌先生はタンクの置かれている環境の整理整頓や掃除の行き届いているところに感心を示されていました。それ以外に、翁裕峰先生は医科研構内の危険物標識の表示などにも目を配られ、職場における安全管理について観察されました。


短い間の交流でしたが、成功大学STMセンターの先生方は満足してお帰りになられた様子です。私は今回の交流を経て、同じく医療と社会の接点というテーマに関心を持つ者として、成功大学STMセンターの先生方の研究への熱意に感銘を受けました。次回、台湾でのさらなる交流を心より楽しみにしています。

(文責・張、写真・五嶋)