6月の公共政策セミナー

2026/06/10

2026年6月の公共政策セミナーは、以下の通り、行われました。

◆日時: 2026年6月10日(水)13:30~
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)

◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催

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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
報告1

報告者:松﨑友美(新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 修士課程)

タイトル: 修士論文のテーマ検討 ー宇宙において実施する人を対象とする研究の倫理的課題の検討ー

要旨:日本国内における人を対象とする研究は、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針や臨床研究法、GCPなどの倫理的・法的規範の下で実施されている。これらのルールに準拠して実施される研究は、病態の解明や予防法の発見、医薬品・医療機器の開発や有効性の検証を通じて、人の健康やQOLの向上に大きく貢献してきた。 人を対象とする研究の舞台は地上から宇宙へも拡大している。宇宙で実施される人を対象とする研究は、宇宙に滞在する者の健康に直結するだけでなく、地球上とは異なる特殊な環境を活かした実験が可能であることから、大きな期待を集めている。一方で、現在の技術では宇宙滞在者が限られることにより研究対象者が少数となることや、設備や時間に制限がある中でのデータ収集や作業など、地上とは異なる倫理的配慮が求められるケースも少なくない。 いまだ明確なルールが整備されていない新たなフィールドにおいて、研究者が遵守すべき倫理規範や持つべき倫理意識とはどのようであるべきか、倫理委員会事務局業務を行う中で問題意識を持つようになり、今後検討したいと考える。

指定発言: 永井亜貴子(新領域創成科学研究科 特任助教)

 報告2

報告者:大木美代子(新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 修士課程)

タイトル: バイオバンクにおけるインフォームド・コンセントとカストディアンシップによる制度的信頼構築の可能性

 要旨:近年、ゲノム解析技術の進展や医療データ利活⽤の拡⼤に伴い、バイオバンクは医科学研究の基盤として、試料・情報の長期保存と利活用の重要性を増している。日本では2023年に「ゲノム医療推進法」が成立し、大規模バイオバンクの整備や国際的なデータ共有の推進が進められている。一方、バイオバンクは、研究利用までの時間差や解析技術の進歩、試料・情報共有の拡大などにより、提供時点で将来の利用内容を十分に説明することが本質的に難しく、提供者からの同意は包括同意・広範同意の方法が広く用いられている。しかし、その妥当性や提供者の意思の反映、⾃⼰決定権の保障などについては議論が続いている。そのため近年では、透明性や情報公開、ガバナンス強化を通じて提供者からの信頼を確保し、同意を補完しようとする議論も多く見られる。しかし、ガバナンスを強化するだけで本当に提供者の信頼に値する運営が実現されるのかという問題もある。本発表では、発表者が本研究に興味を持った背景と、山本らが提案するカストディアンシップ概念等を踏まえ、バイオバンクが試料・情報を託されたものとしてどのように管理し、提供者の信頼を確保しうるか今後考えていくことを紹介する。

指定発言:飯田 寛(医科学研究所公共政策研究分野 特任研究員)