~相馬高校の皆さんとの交流~(院生室より)

2011/12/27

修士一年の佐藤未来子です。

12月18日、相馬高校二年生の皆さん(12名+付添の先生1名)が医科学研究所を見学に来て下さいました。見学は、まずバイオバンクの見学、その後に当研究室の武藤先生の講義(オーダーメイド医療の倫理的問題を中心に)、質疑応答という流れでした。私は、その中の武藤先生の講義の部分のサポート役として、お手伝いさせて頂きました。

見学に来て下さった皆さんは生物選択の生徒さんと言うことで、おそらく生徒さんの多くは理系(医療系)進学を考えており、科学技術そのものに対する憧れが強いメンバーだったのではないかと思います。したがって、もしかしたら口には出さないものの、こういった倫理的問題点について興味がわかなかった生徒さんもいたかもしれません。

しかし私としては、沢山の研究者が関わる研究プロジェクトには、常に多くの科学技術の倫理的課題(また法的社会的課題)が発生しており、それについて考えることの難しさを当研究室での研究生活を通して身をもって実感しておりましたので、こうした問題点について理系進学志望の生徒さんたちに今知っていただくことの意味は大きいのではないか、と思いながらお手伝いしておりました。

講義の中では「研究成果を社会に報告することにはどんな良いことがあるか?」などの問いかけも行われました。生徒さんたちは自信なさ気ではありますが「(研究にまだ参加していない方々に)研究を理解してもらって協力してもらえる」、「(研究に参加した方々に)安心してもらえる」などと、自分たちなりの答えを一生懸命考えて、提示してくれました。また質疑応答の時間には、「(研究のための)血液を提供してくれる人に何かをあげたりしないのか?何かをあげれば提供する人も増えるのではないか?」といった意見を自分から出してくれる生徒さんもいました。講義終了後には、「自分は医学に興味があるが、こうした問題を考える活動にも積極的に関わっていきたい」と言いに来てくれるほど非常に関心を持ってくれた生徒さんもいました。

後日相馬高校の先生から頂いたメールによると、学生さんの中には、「内容はわかるのだけれど扱っている内容が難しく(はっきりした答えのない問題なので)、なかなか質問できなかった」とか、「何となくもやもやと考えていることはあるけれども、はっきりと口に出して表現できなかった」といった感想を抱く学生さんもいたようです。もちろん、1度きりの講義ですぐに理解したり判断したりできるような簡単な問題ではないからこそ、このような活動の必要性が提起されているのだということは言うまでもありません。

寒い中、相馬からはるばる見学に来て下さった相馬高校の皆さん、(大変遅くなってしまいましたが)本当にありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。