9月の公共政策セミナー

2025/09/10

2025年9月の公共政策セミナーは、以下の通り、行われました。

 

◆日時: 2025年9月10日(水)13:30~16:00ごろ

(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)

◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階

公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催

 

 

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〈報告概要(敬称略・順不同)〉

◆報告1

報告者:三村 恭子(公共政策研究分野 学術専門職員)

タイトル:女性を「診る」人工物の政治性:産婦人科内診台および産科向け超音波画像診断装置を事例として

要旨:テクノロジーは、その開発における政治経済的文脈に基づきかたちづくられるだけでなく、より幅広い社会文化的な背景にも影響される側面がある。そして、その使用において、特定の関係性を再生産したり強化するような政治性を発現することもある。
本発表では、主に女性の身体を「視る」ために使われる医療技術(とりわけ人工物としてその場に在るモノ)が、どのような政治性を発現しているかを検討する。そのため、産婦人科内診台と産科向けの超音波画像診断技術(機器)の、2つの事例を取り上げ、それらの使用により生じる関係性や構造について考察する。また、これらの技術の開発の流れを、歴史的な観点から分析し、上記の関係性や構造の背景要因を探るとともに、開発の方向性にどのような政治性が含まれているかを考察する。
本発表は、発表者が現在執筆している博士論文の内容であり、主に考察部分の一部に焦点を当てたものである。

指定発言:李 怡然(公共政策研究分野 准教授)

 

◆報告2

報告者:渡部 沙織(公共政策研究分野 特任研究員)

タイトル:過去の医療・福祉に関する資料のアーカイブズ化と利活用に関する市民の認識 〜センシティブな過去の記録はいかに社会に開かれるか〜

要旨:本報告の目的は、過去の医療・福祉に関連する記録や資料の保存とその利活用に対して、一般市民がどのような懸念や考えを抱いているのかについて、インターネット質問票調査を用いてその認識を分析する事にある。特に、保存の必要性、保存の主体となる機関や利活用を容認する際の利用目的について、一般市民の認識を把握する。

本研究が想定する、アーカイブズ化が必要な過去の医療・福祉に関連する記録とは、患者や家族の団体が作成した記録、医療機関や福祉施設等が作成した記録や、開示された行政文書でセンシティブな情報を含む資料など、取り扱いの基準や位置付けが曖昧な領域の資料を指す。このような資料群の散逸や廃棄を防ぎ、アーカイブズ化と学術研究目的の利活用の枠組みを検討するためには、当事者や市民の懸念を把握しながら慎重に倫理的な配慮を検討する事が求められる。今回は、海外でのマイノリティや先住民族に対する優生手術記録のアーカイブズの事例やそれらへの当事者参画型の運用のあり方、幅広い医療や施設の記録の長期的保存に関する事例を参照しながら、調査結果の示唆について考察する。

⇨指定発言:木矢 幸孝(公共政策研究分野 助教)