2025年7月の公共政策セミナーは、以下の通り、行われました。
◆日時: 2025年7月9日(水)13:30~16:00ごろ
(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)
◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階
公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催
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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
◆報告1
報告者:永井 亜貴子(新領域創成科学研究科 特任助教)
タイトル:ワクチン開発のためのヒトチャレンジ試験に関するインターネット調査
要旨:ヒトチャレンジ試験とは、研究参加者に意図的に病原体を感染させて発症や経過を観察する臨床試験である。海外では治療法のある感染症での実施が進んでおり、英国ではCOVID-19の治療薬がない段階で若年層を対象に実施された。日本では感染症での実施例がなく、政府は将来の迅速なワクチン開発に備えて導入の検討を開始した。導入には市民の理解が重要だが、国内で市民を対象としたヒトチャレンジ試験への関心や態度に関する調査は行われていない。本報告では、2025年3月に市民を対象に実施した、ワクチンやヒトチャレンジ試験に関するインターネット調査の結果について報告する。
⇨指定発言:三村 恭子(公共政策研究分野 学術専門職員)
◆報告2
報告者:胡 錦程(学際情報学府大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 修士課程)
タイトル:ワクチン臨床試験に対するワクチン研究参加者意識と制度的ニーズの分析〜ジェンダーの視点から〜
要旨:本報告では、2024年11月に実施したアンケート調査の分析進捗を共有する。調査の目的は、日本におけるワクチン臨床試験(人為的感染を伴うチャレンジ試験を含む)について、参加者の認知度や関心・参加意欲、および試験実施に求められる制度的ニーズを明らかにすることである。ワクチン接種に伴うリスク認識や接種意欲には性差があり、女性の方が慎重であることが先行研究で指摘されているため、ワクチン臨床試験の参加に関しても、男女間で意識や制度的ニーズに違いが生じる可能性があると考える。公平で包括的な試験制度設計にはこうした性差の考慮が重要であることから、本研究はジェンダーの視点を重視した分析を行った。既承認のCOVID-19 mRNAワクチン臨床試験参加者112名(女性約38%)を対象に質問紙調査を実施し、分析した。その結果、チャレンジ試験への積極的意見は男性(62.3%)が女性(32.6%)を大きく上回り、女性は慎重で判断保留の傾向が強かった。また女性は、経済的補償や健康リスク管理、育児・介護支援など、多様な制度的サポートをより強く求める傾向があった。本報告では、関連するジェンダーに関する文献調査の知見も紹介し、修士論文の研究の今後の方向性を明らかにしたい。
⇨指定発言:渡部 沙織(公共政策研究分野 特任研究員)