幹細胞研究における科学的正当化について検討した論文が公表されました(武藤)

2025/04/30

2021年に国際幹細胞研究学会(ISSCR)が改正した「幹細胞研究および臨床応用に関するガイドライン」(当研究室が日本語訳の作成に貢献)では、ヒト多能性幹細胞研究、ヒト胚や幹細胞由来胚モデルを利用する研究の実施について、「科学的に正当化されなければならない」という言い回しが何度も登場します。この論文は、ISSCRの倫理委員会のメンバーが、幹細胞研究を行う審査・監督機関、規制当局、研究者に向けて、科学的な正当化とはいかになされるべきかについて、ワークショップを開いて検討した結果をまとめたものです。科学的な正当化を構成するには、(1)科学的厳密性、(2)問題の重要性、(3)代替的な科学的アプローチとの比較、(4)段階的なアプローチ、(5)研究に伴うリスク、(6)研究環境、(7)研究者の資格といった点を考慮する必要があると結論づけています。これらの要素の背景にあるものを含めて、ぜひお読み下さい。

Jonlin EC, Fujita M, Isasi R, Kato K, Munsie M, Muto K, Niakan K, Saha K, Sugarman J, Turner L, Hyun I. What does "appropriate scientific justification" mean for the review of human pluripotent stem cell, embryo, and related research? Stem Cell Reports. 2025 Apr 17:102479. doi: 10.1016/j.stemcr.2025.102479. Epub ahead of print. PMID: 40280137.
https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S2213-6711(25)00083-9