~南三陸町の訪問~(院生室より)

2011/08/23

修士一年の佐藤未来子です。

8月20~21日、院生2人を含めた研究室の関係者5人で、南三陸町を訪問しました。目的は、①被災地をしっかり視てくること、②被災地で1日限りの「サイエンス・カフェ(気楽な雰囲気で科学を語り合う場)」を提供してくること、でした。

通常、被災地ボランティアと言えば1週間以上の長期滞在のものが多く、中には仕事を辞めてボランティアしている人もいると聞きます。したがってお話を頂いた直後は、正直、被災地をただ「視」に行くことも、1日限りのイベントの提供も、その意義を自分なりに見出すことは大変難しいことでした。「やるならば長期間、学習支援ボランティアのようにやるべきではないか」という気持ちが最後まで強かったのですが、当日は「1日限り」の意義を少しでも見出して帰ってこよう、と気持ちを切り替えて被災地に入りました。

サイエンス・カフェでは、家庭にあるもの(洗剤、塩、エタノールなど)を使って果物等からDNAを抽出する実験を行いました。被災地の方2人・現地の学生ボランティアさん数人が参加して下さり、実験も楽しく、とても良い雰囲気で終わりました。確かに実施して良かったな、という気持ちはありましたが、やはり最初の気持ちが変わるほどではありませんでした。

2日後の本日、研究室のメンバーで「振り返りの会」を実施しました。この会では、まず私たちがイベントを実施させてもらう許可を頂くまでの経緯や、その地域のライフラインの復旧状況などが武藤先生によって報告され、その後、訪問したメンバーによる現地での実施報告や感想が報告されました。

訪問したメンバーの感想を聞き、皆もやはり自分と同じような気持ちを抱えて被災地入りしていたことを知りました。一方その気持ちを理解しつつ、また違った視点でものを見ていた武藤先生の考えは、非常に印象に残りました。それは、「1日限りのボランティアに行く勇気も大事。現実問題、殆どの人が長期間のボランティアに行くことは難しく、諦めてしまう人が多い。“1日限りのボランティア”を多くの人がやれるようになれば、良い循環が生まれると思う」という趣旨の意見でした。

今後、被災地支援活動が長期化した場合、おそらく1週間以上の滞在ボランティアが可能な人は限られてくると思います。そうした状況の中でもなんとかボランティア派遣を継続させていくためには、やはり理想ばかりを追い求めるのではなく、より現実的にシステム作りを考えなければならないのだということを学びました。これは、色んなことに当てはまる大事な前提だと思います。貴重なご示唆を頂いた会となりました。