PLOS Digital Health誌に 医療AIの報告ガイドラインと倫理的・法的・社会的課題(ELSI)に関する論文が掲載されました(亀山・井上)

2024/10/07

2024年3月まで当研究室で勤務されていた、亀山純子さん(筑波大学人文社会系哲学・思想学分野)と井上悠輔さん(京都大学大学院医学研究科)が取り組まれてきた、医療AIの報告ガイドラインと倫理的・法的・社会的課題(ELSI)に関する論文が9月19日にPLOS Digital Healthに掲載されました。亀山さんが寄せて下さったメッセージを掲載します。論文とあわせてご覧下さい。

Junko Kameyama, Satoshi Kodera, Yusuke Inoue

Ethical, legal, and social issues (ELSI) and reporting guidelines of AI research in healthcare. PLOS Digital Health    September 19, 2024

本研究は、東京大学医学部附属病院の小寺聡医師との共同研究です。

この論文では、「社会や患者との連携に関するガイドライン作成者の取り組み」と「ガイドラインの限界と研究者の主体的な取り組みの必要性」の、大きく2つの論点を抽出しました。それらを考察し、今後も医療AIが人々に支えられて発展していくためには、報告ガイドラインの継続的な見直しが不可欠となること。また、次のステップとして、ガイドライン間の調和を図り、報告ガイドラインを臨床面におけるAIの実践に関する議論と結びつけることが重要であると結論づけています。

ここへ至るには、研究に携わる他の皆さんと同様に、見たこともない難解な専門用語群を調べ、長短様々な形式で書かれている論文の内容の整理に頭を悩ませ、ヒントになりそうな関連文献を日々漁りました。とりわけ、ガイドラインの開発者との専門的立場の違いから、自身の解釈方法の妥当性と整合性をはかることが最大の難関であったかもしれません。そういった作業の中で、医療AIをとりまく研究開発の速度と複雑性に、現在のAI研究開発に向けたガイドライン・ガイダンスは、必ずしも追いついてはいない。ということを強く感じました。このことを実感できたことは、次の取り組みに向けて大きな学びの1つであったと考えています。

執筆から実に1年以上の月日を要しました。諦めかけ、その度に井上先生に助けていただきました。研究の成果を論文にて公刊することができ、本当によかったです。本当にありがとうございました。(文責・亀山)