2021年第7回公共政策セミナー

2021/12/08

本日第7回公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:12月8日13時半~16時半

発表者1: 佐藤 桃子(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 博士後期課程)
タイトル: 先住民族のゲノム研究における日本とカナダの比較

要旨:

歴史上、マイノリティや立場の弱い人々が科学研究や医学研究の名の下に搾取された事例は枚挙にいとまがないが、世界各地に居住する先住民族の人々も、同様にICの軽視やヒト資料・データの不適切な利用といった被害を被ってきた。特にゲノム研究は、バリアントをある程度共有するマイノリティのコミュニティである先住民族にとって、バイオパイラシーや結果解釈の影響など、研究参加によって不利益を被る可能性が低くない。一方近年、ゲノム研究者側からも、世界的に見てサンプルがヨーロッパ系に偏っていることから、多様な人々の研究参加を求める声が上がっている。本発表では、このような状況を踏まえ、関連した日本における状況・取り組みと、海外、特にカナダの動きを対置し、博論研究における問題意識とアプローチの足場を固めることを目指す。

発表者2: 武藤 香織(東京大学医科学研究所 公共政策研究分野 教授)
タイトル: 遺伝情報の取扱いと差別禁止について

要旨:

遺伝情報に基づく差別(genetic discrimination)とは、「実際の、もしくは推測された遺伝的特徴に基づいて、個人やその血縁者に対し不利な取り扱いを行うこと」と定義される。ゲノム医療が本格化されるなかでも、議論が進まない遺伝情報に基づく差別防止について、最近の模索を共有する。