2020年第5回公共政策セミナー

2020/10/14

本日第5回公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:10月14日13時半~16時頃

発表者1: 北林アキ(大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻博士後期課程)
タイトル: 患者・市民の視点を踏まえた医薬品情報の提供を実現するための課題の検討

要旨:

医薬品は、品目毎に厚生労働省の承認を受けて初めて製造販売、すなわち市場に出荷又は上市できるようになる。しかし、承認前に得られる副作用等の情報は一般的に限られることから、承認後も引き続き情報収集することが、副作用の早期発見や適正使用のために重要である。
収集する情報源として、これまで主であった製薬企業や医療従事者からの情報に加え、患者から寄せられる情報の利点が注目され始め、副作用の早期発見や適正使用のために当該情報を規制当局の意思決定に活用する取組みが世界的にも進んできている。しかし、諸外国に比べて、本邦においてはこうした取組みが進んでおらず、大きく後れを取っているのが現状である。
そこで、本邦でこのような状況になっている原因を探り、状況の改善策の提案に繋げるため、本研究では、①患者・市民からの情報収集、及び②患者・市民への情報発信の2つの要素について、文献調査及び調査研究(アンケート調査)により現状を調査していく予定である。
本報告においては、患者から規制当局に副作用の情報を報告する制度に関する調査結果と共に、欧米の現状に関する調査を含めた今後の研究計画を共有したい。

発表者2: 飯田寛(大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻博士後期課程)
タイトル: 企業による従業員の新型コロナウイルス感染の公表をめぐる諸課題の検討

要旨:

新型コロナウィルスの影響によって企業は事業継続のために在宅勤務や時差出勤の導入など様々な行動変容を強いられている。その全体像を把握するとともに、その行動変容が従業員に影響を与えていることがないのか、特にプライバシーやプライベートを侵害するようなことがないのか、その実態を把握し課題を整理することが研究目的である。
今回の発表では、感染症法等の法制度と企業との関係、新型インフルエンザ・結核・海外の扱いとの比較、先行研究の把握をしたうえで、企業の行動変容のひとつである感染者の公表について第一波と呼ばれる2020年初頭から5月末までの企業の感染者発表について情報を収集したのでその報告をおこなう。