2018年度第7回公共政策セミナー

2019/01/09

本日、2018年度、第7回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2019年1月9日(水)13時30分~16時00分

発表者1: 内山正登(大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 博士後期課程)
タイトル: ヒト生殖細胞系列へのゲノム編集に関する啓発プログラムの開発に関する研究 -これまでの研究のまとめと今後の課題-

要約:

博士課程の3年間、受精卵を中心としたヒト生殖細胞系列へのゲノム編集に関する啓発プログラムの開発に向けて取り組んできた。本研究では、一般市民を対象とした意識調査、フォーカス・グループ・インタビュー、日本科学未来館との啓発プログラムの試行版の作成などを取り組みを行った。

今回は3年間の研究活動の総括として、これまでの一連の研究内容を整理するとともに、現在取り組んでいる2018年に実施した意識調査に関する論文の進捗状況について報告する。また、博士課程予備審査会で今後の課題として指摘された”ヒト受精胚”の取扱に関する議論の整理に関する進捗状況を報告する。

また、今後ヒト受精胚への一般市民の認識を明らかにするため、フォーカス・グループ・インタビューを再び実施する予定である。このフォーカス・グループ・インタビューの計画について紹介するとともに、今後の研究の進め方について報告する。

発表者2: 李怡然(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 博士後期課程)
タイトル: 遺伝性疾患の患者の「リスクの医学」をめぐる経験と認識

要約:

網羅的なゲノム解析技術を利用したゲノム学が発展し、ゲノム情報をもとに診断や治療選択を目指すゲノム医療が国際的に推進されている。ゲノム医学/医療は、リスクの管理と疾病予防を重視する「リスクの医学」の一形態と考えられる。特に有効な治療・予防法の存在する(「対処可能な」)遺伝性疾患のリスクを、患者・家族が早期に知ることを推奨する動きが強まっている。このような背景の中で、国内の遺伝性疾患の患者は、どのような経緯で遺伝学的検査を受検し、発病リスクに向き合うかについては、十分明らかにされていない。そこで、本研究では、対処可能な遺伝性疾患の代表例とされる遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の患者へインタビュー調査を実施した。本報告では、患者の受診経験や、遺伝学的検査を受検する過程に焦点を当てて、報告を行う。