2018年度第4回公共政策セミナー

2018/09/19

本日、2018年度、第4回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2018年9月19日(水)13時30分~16時00分

発表者1: 内山正登(大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 博士後期課程)
タイトル: ヒト受精卵へのゲノム編集に関する啓発プログラムの実施に向けて

要旨:

ヒト受精卵へのゲノム編集の利用に関する議論は、専門家だけでなく一般市民も巻き込んだ幅広い議論の必要性が指摘されている。このような先端科学技術の利用の是非に関する議論への一般市民の参加には、科学技術の理解だけでなく、この技術が社会に与える影響まで考え、意思決定することのできる機会としての啓発プログラムを開発する必要性があると考えている。そこで、2018年5月に一般市民を対象として、ゲノム編集に関する認知度や理解度、さらに啓発プログラムの内容に関する意識調査を行った。さらに、一般市民のゲノム編集に関する態度を決定する要因を明らかにするため、この技術を享受する可能性がある若年層を対象としたフォーカス・グループ・インタビューを実施した。今回は、2年間の意識調査の比較の結果、および一般市民の啓発プログラムへの態度について報告する。

発表者2: 李怡然(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 博士後期課程)
タイトル: 遺伝性疾患のリスク告知のモデル化の試み

要旨:

遺伝性疾患の患者・血縁者が、家族内で遺伝学的リスクに関する情報を共有することは、伝える相手にとっての遺伝学的検査の受検の選択、疾患の早期発見や予防行動、人生の様々な選択のためにも重要とされ、医療者から推奨される傾向が強まっている。この家族内での情報共有のフローを、本研究では「リスク告知」という概念で示す。
リスク告知に関して、主に海外を中心に調査が行われ、伝える側の意思決定や告知の方法、伝えられる血縁者側の受け止め方など、複数の局面に焦点が当てられてきたものの、体系的な研究枠組みが示されていない。そこで、本研究では、先行研究の知見を整理するとともに、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の患者・家族を対象とするインタビュー調査のデータをもとに、リスク告知のプロセスを俯瞰するモデル図を提示することを試みる。
本報告では、執筆中の論文の内容の一部について紹介する。