2017年度第9回公共政策セミナー

2018/03/07

本日、2017年度、第9回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2018年3月7日(水)13時30分~16時00分

発表者1: 飯田寛(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 修士課程)
タイトル: 研究計画案(遺伝学的検査の影響‐生命保険)

要旨:

一年の振返りと遺伝学的検査の進展が生命保険に影響することについての他国、日本の状況を調査する修士論文の研究計画案(研究の背景・目的・方法)について報告する。

発表者2: 菅原風我(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 修士課程)
タイトル: 患者団体の研究へのアクセスの現状と課題

要旨:

本報告では、主に①一年間の活動状況の紹介、②修士論文の研究計画、③今後の予定についてお話しする。報告者は、近年、日本の患者団体が「iPS細胞」研究、具体的には「疾患特異的iPS細胞研究」に積極的に関与している現状を体系的に理解したいと考えている。「疾患特異的iPS細胞」は、病態解明や創薬に大きく寄与することが予想され、これまで発病機構や治療法が確立されていない「難病」の患者団体にとって大きな関心を集めているが、それらの現状が「患者団体の研究へのアクセス」という観点から十分に明らかにされているとは言い難い。

1990年代以降、稀少疾患の患者団体を中心に自身の生物試料やデータ、あるいは、研究に伴うリスクを負うことを研究や政治に参画する「手段」として用いる事例がアメリカを中心に報告されるようになったが、報告者はこうした現状と近年の日本の現状が相似していると考えている。また、科学技術社会論、医療人類学、医療社会学の研究者たちは、上記のような患者団体が「研究へのアクセス」を求めるという活動の変遷を体系的に理解するために、①Biosociality(Rabinow 1992)、②Biological Citizenship (Rose and Novas 2004)、③Embodied Health Movements (Brown et al. 2004)という概念を提出した。報告者も難病の患者団体を中心とした研究への関与理解するためにこれらの議論を参照する必要があると考えている。しかし、多様なテーマから成るこの研究群を報告者自身が十分に扱えきれているとは言い難く、また、先日、行った予備調査の結果を研究に活かしきれていないという現状がある。