2017年度第8回公共政策セミナー

2018/02/07

本日、2017年度、第8回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2018年2月7日(水)13時30分~16時00分

発表者1: 内山正登(大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 博士後期課程)
タイトル: ヒト受精胚へのゲノム編集に関する啓発プログラムの実施に向けて

要旨:

ヒト受精胚へのゲノム編集の利用に関する議論は、専門家だけでなく一般市民も巻き込んだ幅広い議論の必要性が指摘されている。このような先端科学技術の利用の是非に関する議論への一般市民の参加には、科学技術の理解だけでなく、科学技術が社会に与える影響まで考えることのできる啓発の必要性があると考えた。そこで、昨年実施した一般市民及び患者を対象としたゲノム編集に関する意識調査の結果から、啓発プログラムの内容を検討し、啓発プログラムの試行版を作成した。この啓発プログラムでは、近年科学教育研究の分野で注目されている「科学技術の社会問題(Socioscientific issues ; SSI)」アプローチを参考とした。本発表では、意識調査結果のまとめとSSIアプローチによる啓発プログラムの作成と評価方法の検討について発表する。

発表者2: 李怡然(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース 博士後期課程)
タイトル: ゲノム医療時代における遺伝性疾患のリスクの告知

要旨:

国内におけるがん新規罹患者数が増加の一途を辿る中、個人のゲノム情報をがんの診断や最適な治療法の選択に活用する動きが強まり、ゲノム医療の実現化が進められている。がんの中でも、特定の原因遺伝子の変異が親から子へと受け継がれることで遺伝的に罹患しやすくなるものは、遺伝性腫瘍と呼ばれている。その一つである遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)は、予防・治療法が存在し、効果的な新薬が登場していることから、疾患の早期発見や介入を期待し、患者が血縁者・家族に対し発病リスクの告知を行うことが医療者から促進される状況にある。しかし、国内のHBOC患者や家族のリスクの告知に対する態度、経験については十分明らかにされていない状況にある。本報告では、背景の整理とともに、HBOC患者・家族を対象に実施を進めているインタビュー調査の一部について紹介する。