【院生室より】HBOCコンソーシアム学術総会に参加してきました

2017/01/25

こんにちは、D1の李怡然です。

1月21日(土)22日(日)に札幌医科大学で開催された「第5回日本HBOCコンソーシアム学術総会」に参加してきました。
HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)というと、聞き慣れない言葉かもしれませんが、米ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんの名前を出せばぴんとくる方もいらっしゃるのではないでしょうか。彼女は2013年に乳がんリスク低減のための切除手術(RRM)を受けたことを公表し、さらに2年後の2015年にはリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)も行ったことを公表して、日本においても話題になりました。

日本HBOCコンソーシアムは、2012年に発足、様々な職種の専門家が参画して医療システム作りや、HBOC家系の全国的な登録データベースの構築、医療者や一般市民向けの啓発活動等を行う団体です。今回は初めて東京を離れて、札幌での総会開催となり、私もさらさらの白い雪が積もった、冬の北海道に足を踏み入れました。

私も、アンジーさんのおかげでHBOCについてぼんやりとは知っていましたが、最新の遺伝子解析技術、国際的なゲノムデータ共有の機運、新たに期待されるPARP阻害薬の開発状況と展望など、今まで知らなかった近年の動向について勉強になりました。
また、「RRSOと女性医学」と題されたシンポジウムでは、どのような条件で・何歳で実施するかの判断から、遺伝カウンセリングの整備、手術後の症状への対応など、多くの課題点が挙げられました。武藤先生からは、生命倫理の観点から、患者個人だけでなく家族・血縁者にも関わるという意思決定プロセスの特徴や、「女性性」を失うことの恐怖や人生の価値観を理由に手術を拒否する人もいる以上、選択した/しなかった方の経験をともに集めることが重要だ、というジェンダーや身体観に関わる論点が提示されました。
当事者会であるNPO法人「Clavis Arcus(クラヴィスアルクス)」の方々とお話する機会もあり、まだまだ知られているとは言えないHBOCの啓発や支援に向けて、積極的に活動されている様子を知ることができました。

乳がん卵巣がんに限らず、そして少ないながらも男性であってもがんを発症する可能性があることなど、知られていない面も多いと思います。遺伝子検査やリスク低減のための予防策が選択できるようになってきていると同時に、ひとりひとりの生き方の選択、子どもを含む家族との関係など、考えさせられる点が多くありました。

東京に帰ってきてからも、風が吹いて冷え込む日が続きます。
みなさんも、どうぞ体調にお気をつけて!

(D1・李怡然)