2016年度第4回公共政策セミナー

2016/07/12

本日、2016年度、第4回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2016年7月12日(火) 13時30分~16時00分

発表者1: 張有沙(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 修士課程1年)
タイトル: Brain-computer/machine interface(BCI/BMI)に関する倫理的議論の背景と現状

要旨:

1973年にBCI/BMIは発案され、人工内耳・人工視覚などの人工感覚器への活用から、義手・義足などの人工四肢への活用へと開発が進んだ。また、近年はリハビリテーションに活用する研究が進められており、今後は意識障害患者とのコミュニケーションへの活用が期待されている。このような活用の変化に伴い、「侵襲性」のみであったBCI/BMIに「非侵襲性」や「軽度侵襲性」という多様性が生まれた。本研究では、運動障害患者や関わる人々に対して多様な選択肢を与えることが予想できるBCI/BMIが、今後臨床現場での活用が進むにつれて既存のリハビリ臨床現場に与える影響を考える。本セミナー報告では、BCI/BMIの歴史的変遷と、それを取り巻いて行われてきた倫理的議論の現状を報告する。また、冒頭で卒業論文の内容を紹介する。

発表者2: 楠瀬まゆみ(東京大学医科学研究所公共政策研究分野 特任研究員)
タイトル: Public attitude toward the creation and utilisation of “Animals Containing Human Material” (ACHM) for organ resources: A new perspective on human-animal chimeras

要旨:

移植用臓器が慢性的に不足するなか、患者由来のiPS細胞を用いて動物体内でヒト臓器を作製する研究が行われており、ヒトと動物のキメラ個体の作製については、その倫理的、法的、社会的懸念から近年議論が活発化している。我々は、これらの議論に先駆けて2012年2月首都圏在住の一般生活者24名を対象に「人の要素を持つ動物(Animal Containing Human Material: ACHM)」に関する一般市民の意識、および、動物性集合胚研究とその規制への態度について質的調査を実施した。その後、その結果を2015年6月17日に、公共政策セミナーの場をお借りして、論文原稿(英文)を用いて発表させていただき、多くの貴重なご意見をいただいた。今回のセミナーにおいては、前回いただいた意見を反映し、調査結果を「動物個体の扱いや管理、位置付け」の観点から構成し直した論文原稿を用いて、調査結果について発表を行う。