【院生室より】ESHG/EMPAG2016に参加してきました
2016/06/08
こんにちは、D1の李怡然です。
少し前の話になってしまいますが、5月21日-24日にバルセロナで開催されたESHG(European Sociery of Human Genetics)The European Human Genetics Conference 2016に特任研究員の高島さん、M2の佐藤さんとともに、ポスター発表のため参加してきました。
私にとっては初めての海外ということもあり、右も左も分からず、どうか迷子になりませんように...という状態でしたが、同行したお二人に助けられながら無事に帰ってくることができました。貴重な経験をした数日間を過ごしましたので、いくつか印象に残ったことを記したいと思います。
ESHGはヨーロッパを中心に人類遺伝学に携わる医師、研究者、遺伝カウンセラーらが3000人以上一同に会する国際学会でして、今回はEMPAG(European Meeting on Psychosocial Aspects of Genetics)との共催であったこともあり、遺伝カウンセリングや教育面に関するセッションも充実したプログラムとなっていました。
私たち3人はそれぞれ取り組んでいるテーマについて、Psychological/Ethical/legal issuesのグループでポスター発表を行ったのですが、研究者や遺伝カウンセラーが興味をもってポスターを見てくださり、日本の状況に関心を持って質問をして下さる方もいらっしゃいました。
自分の発表以外では、DTC(Direct-to-consumer)遺伝子検査、スクリーニング、遺伝性疾患、遺伝カウンセリングのテーマを中心に報告を聴いてきたのですが、中には、遺伝カウンセラーに現場で遭遇した印象深いエピソードや率直な思いをビデオレターに寄せてもらいフロアを交えて経験を共有する、実際に出生前検査を受けた女性や遺伝性疾患の家系に生まれた男性が自身の経験を語るといったような、工夫を凝らしたワークショップもありました。
なんといっても、注目に値するのは昨今国内でも話題になっているゲノム編集(genome editing)についてのセッションだったのではないかと思います。CRISPR/Cas9という新しい手法の技術的な説明から、ヒト受精卵を用いるゆえの倫理的課題について、法学の立場からの検討、国際的な規制の現状や論点が提起されていました。
なにより大きな収穫になったと思うのは、直接顔を合わせて世界各国の研究者と交流できたことです。たとえば遺伝性疾患の中には、日本では患者数が少なくまだまだ社会に知られていない病気もありますが、患者数が比較的多い欧州では研究が進み、患者会やメディアの活動を通じて普及が進んだ地域もあるようです。同時に、そうした国でもまだまだ多くのサポートが必要とされていることを耳にし、日本でさらなる研究が進むようにと激励の言葉もいただき、仲間がいることを心強く感じました。
ちなみに、朝の8時から夜の8時まで発表が詰まっているというなかなかボリュームのあるプログラムだったのですが、スペインでは夜の8時頃を過ぎてもなお昼間かと間違えそうなほど空が明るく、時間の流れが心なしかゆったりしていたような気がします。
こちらでは梅雨入りしたもようで、早くも太陽が恋しいですが、雨音を聴きつつ、しみじみと研究に思いを馳せたいと思います。
(D1・李怡然)