2016年度第2回公共政策セミナー

2016/06/08

本日、2016年度、第2回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2016年6月8日(水) 10時00分~12時30分

発表者1: 佐藤桃子(大学院学際情報学府 文化・人間情報学コース修士課程2年)
タイトル: 非侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)導入の枠組みの国際的検討

要旨:

日本において、非侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)は、臨床検査としてコンソーシアムが取りまとめる形で限定的に実施されている。一方で、アメリカとヨーロッパの多くの国においては、NIPTは検査会社によって商業的に提供されている。しかし、単純に日本が慎重な姿勢を採っているだけであるとは言い切れない。NIPTコンソーシアムは2015年4月に検査対象疾患の拡大の要望を出しており、今後も臨床検査として続くかどうかは分からない状況にある。そこで、今後の実施の枠組みを把握するためにも、専門家がNIPTという技術を倫理的にどのように捉え、出生前検査技術の中でどのように位置づけているかを知るために、NIPT導入に関する日本産科婦人科学会の指針と、ヨーロッパ人類遺伝学会・アメリカ人類遺伝学会共通指針とを比較し、倫理的観点の相違点を明らかにした。同時に、日本で臨床検査という枠組みになった経緯について、産婦人科医にヒアリングを行った。セミナーでは上記2点を中心に発表し、今後修士論文に向けて必要な問題意識を検討する。

発表者2: 内山正登(大学院新領域創成科学研究科 博士後期課程1年)
タイトル: 高等学校における遺伝リテラシー教育の実践-NIPTを題材とした教科間連携授業の実践-

要旨:

平成21年の学習指導要領の改訂に伴い、高等学校生物における遺伝教育は「遺伝のしかた」から「遺伝子とそのはたらき」を重点がおかれるようになった。このような学習内容の変化は、現代の生物学に対応した形となったと言われている。その一方で、従来から指摘されていた「ヒトの遺伝」については扱われていない。また、学習指導要領には日常生活と社会を関連づけることが明記されているが、検定教科書において日常生活を意識した記述は少ない。このような高等学校における教育の現場から、「ヒトの遺伝」について日常生活と関連付けた授業実践を行う必要があると考えた。今回の発表では、国語科と連携した、非侵襲的出生前遺伝学的検査(Non-Invasive Prenatal genetic Test;NIPT)を題材とした授業実践について報告する。また、博士課程における研究計画についても発表する。