再生医療実現化ハイウェイ・プロジェクトで行ったインフォームド・コンセント研修等についての論文が掲載されました。(楠瀬)

2015/08/18

South African Journal of Bioethics and Law に、下記の論文が掲載されました。

M Kusunose, F Nagamura, K Muto. Informed Consent in Clinical Trials Using Stem Cells: Suggestions and Points of Attention from Informed Consent Training Workshops in Japan. S Afr J BL 2015;8(2 Suppl 1):49-54. DOI:7196/SAJBL.8016

2014年に世界に先駆けてiPS細胞を用いた臨床研究が実施され、再生医療への期待が高まっています。そのような中、患者さんに研究への参加をお考えいただくにあたって、リスクや利益等を含め研究について判断に必要な情報を提供し、治療との誤解を避け正しい理解のもと、自発的に参加を決めていただくというインフォームド・コンセント(IC)のプロセスの重要性は、被験者保護の観点からも高く認識されているところです。しかし、実際にどのように説明すればよいか、研究参加候補者の理解度や自発性をどのように図ればよいかといった実践的なICスキルを習得する場はそれほど多くありません。そこで我々は、2014年2回にわたりアメリカより講師を招いて、再生医療実現ハイウェイプロジェクトで研究におけるICに関与している方々を対象にし、役者に被験者候補者を演てもらってICを行うという、ロール・プレイ方式のIC研修を実施しました。

本稿では、研修内容について報告するとともに研修から得られたICを行う上での留意点や、同じく2014に開催された患者会の皆さんとのワークショップの報告書から得られた、患者さんが研究参加にあたって知りたいと思う情報について検討し、ICを行う側のスキルの養成と教育の重要性について述べています。

また本IC研修で用いられた研究の説明同意文書、患者情報提供書等については、テキスト化、ビデオ教材化の作業を開始しており、再生医療の文脈を超えてIC教育に利用できるようにしたいと考えています。