「英国における倫理審査委員会の標準業務手順書」(翻訳版) (高嶋(佳))

2015/12/11

※12月12日に開催されました、第1回「研究倫理を語る会」のAndrew JT George先生がご講演のなかで本SOP日本語版ご紹介くださいました。


近年、日本の臨床研究活性化に向けて様々な動きがある一方で、臨床研究に関する問題事案が発覚したことにより、規制や体制整備についての検討が行われていますが、なかでも被験者保護のための倫理審査委員会の役割は非常に重要と考えられています。

そのような中で、本研究班メンバー(田代)が臨床研究における欧米諸国の制度に関する調査に関与し、英国(イングランド)の倫理審査委員会の標準化と質の均一化への取り組みが、日本における倫理審査委員会の改革に参考になるのではないかと持ち帰った事から、本英国研究倫理政策研究班が立ち上がりました。(研究班設立に関しては、本誌の4~8頁をご参照下さい)

英国における倫理審査委員会に関するガイダンスとしては「研究ガバナンス体制」と「研究倫理委員会ガバナンス協定」、そして標準業務手順書(SOP)の3つが運用の柱として存在します。その中で、日本の倫理審査委員会体制の改革にとっても、実務を担っている方にも役立てて頂けるものをということで、英国RECの実務には欠かせない本SOPの翻訳を行う事になりました。


本SOPの翻訳作業を開始した当初は半年程度での完成を目指しましたが、英国の規制等を踏まえての内容や訳語の検討と再検討を繰り返し、更に全体の校閲作業に数ヶ月を要した事で、気がつけば完成までに約1年半の時間が経過し、幾度となく検討を重ねた訳語リストは300を超えました。

そして、そうこうしている中で、英国では2015年1月に本SOPの改訂版が公開されており、その改訂版を手にしたときには、2014年に英国の保健研究機構(HRA)に訪問した際に、「残念ながら、もうすぐ改訂版がでるよ」といたわるような微笑みとともに告げられた時の事が思い出されました。その改訂版(6.1版)では、欧州の臨床研究に関する規制の変化やHRAの業務内容の変更に伴う改訂、その他ITシステムの変更や業務整理、以前からの検討事項等に伴う改訂が行われています。ご興味のある方は、あとがきに示したHRAのHPのリンクをご参照下さい。

研究班で最後の最後まで確認作業を行いましたが、もし誤訳やミスなどお気づきの点がありましたら、下記メールアドレスか、研究班のメンバーにご指摘頂けますと幸いです。そして、この翻訳版が倫理審査委員会の実務において、そして今後の日本の倫理審査委員会の改革に少しでもお役に立つことがある事を、研究班一同心より願っております。


数に限りはございますが、冊子体を送付することができます。ご希望の方は、 までお申し込みください。
PDF版をここからダウンロードしていただくこともできます。

※「英国における倫理審査委員会の標準業務手順書」作成にあたり、文部科学省科学技術試験研究委託事業「次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラム」より財政的支援を得ております。ここに御礼申し上げます。