2014年度第11回公共政策セミナー

2015/03/04

本日、2014年度、第11回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。

◆日時:2015年3月4日(水)9時30分~12時30分

発表者: 趙斌(新領域創成科学研究科 メディカルゲノム専攻 修士2年)
タイトル: 中国における「優生政策」と生命科学政策の相互作用~無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)の運用を中心に~

概要:

1995年に施行された中国の母嬰保健法が欧米諸国から批判され、政府が国際的な生命倫理の規範の一部も受容してきた歴史を整理するとともに、NIPTに関する中国と日本の実施状況について調査をしてきた。本報告では、(1)中国における優生政策と生命科学政策の歴史、(2)NIPTをめぐる規制と日本に対する影響の検討、(3)山東省威海市婦女児童病院での実施状況とその対応について検討した結果を報告する

発表者: 李怡然(学際情報学府文化・人間情報学コース 修士課程1年)
タイトル: 医学系研究における子どもの権利―出生コホート研究のテリングとアセント―

概要:

子どもの環境保健への関心の高まりから、胎児期から長期的に追跡する出生コホート研究が世界的に実施されている。親の代諾をもって研究対象者となる子どもの権利の保障をめぐって、成長後にインフォームド・アセント(賛意)を得ることが議論されているが、研究参加の事実を親から子へテリング(告知)するプロセスについては十分検討がなされていない。
修士課程においては、子どもの権利に関する制度的な保障や論点を整理するとともに、インタビュー調査を通し研究に参加する親の視点を考察する予定である。セミナーにおいては先行研究と概要の紹介を中心に、今後の研究構想の報告を行う。

発表者: 藤澤空見子(学際情報学府 文化・人間情報学コース 修士1年)
タイトル: 非侵襲的遺伝学的検査(NIPT)をめぐる、遺伝カウンセリングと一般市民の関係

概要:

2013年4月より、非侵襲的遺伝学的検査(NIPT)の臨床研究が開始された。NIPTは、これまでの出生前検査と比較すると、大々的な報道がなされた点や遺伝カウンセリングの利用が義務化されている点など、特徴的な点がいくつか存在する。
果たして、臨床研究を導入した専門家達は、一般市民がどのような形でこの技術を利用することを目的としているのだろうか。また、2003年度から養成課程が開設された遺伝カウンセラーは、遺伝カウンセリングが義務付けられているこの技術において、科学技術と一般市民の間の介在者として機能しているのだろうか。本研究では、非医師である遺伝カウンセラーという存在が、こうした観点からどのような役割を果たしているのか、科学技術社会論的考察を用いて論ずる予定である。具体的な研究手法は、遺伝カウンセラーへの量的調査(意識調査)と質的調査(インタビュー)を計画している。
今回の発表では、先行研究を踏まえた研究の構想(論理的枠組み)と今後の計画を報告する。