再生医療の実現化に向けた活動のご紹介 (楠瀬)

2014/09/10

公共政策研究分野では、iPS細胞等の幹細胞を用いた研究の臨床応用を目指した「再生医療実現化ネットワーク事業」の一部を担っています。同事業は、「iPS細胞研究中核拠点」、「疾患・組織別実用化研究拠点(拠点A・拠点B)」、「技術開発個別課題」、「再生医療の実現化ハイウェイ」、「疾患特異的iPS細胞を活用した難病研究」の5つの研究課題に大きく分けられます。その中で私たちは、「再生医療の実現化ハイウェイ」課題Dとして関わっています。

「再生医療の実現化ハイウェイ」の課題Aでは1~3年目までに、課題Bでは5~7年目までに臨床研究に到達することを目指して、体性幹細胞、iPS細胞、ES細胞を用いた研究が行われています。課題Cでは「再生医療の早期実現化と国際展開に向けた研究支援」が、そして、課題Dでは「再生医療の実現化に向けた研究開発における倫理上の問題に関する調査・検討・支援」を行っています。(より詳しい情報は、科学技術振興機構の「再生医療実現化ネットワーク事業」のホームページをご覧ください。)

本事業では、産官学の協力のもと、少しでも早く患者さんに再生医療を提供するための研究が行われています。しかし、これらの研究は、患者さんや、研究を後押ししてくれる一般の人々の協力なしには成り立ちません。課題Dでは、中立的立場から研究者や研究機関を支援し、研究者と患者さんや、一般の方々の架け橋となることを目指して活動しています。具体的には、国で定められた倫理指針に則って研究が進められるよう、また、被験者(研究参加者)保護が十分に図られるよう研究倫理コンサルテーションを提供したり、倫理審査等の研修や教育の機会を提供するほか、国内外の研究者と交流を図り医科学研究における様々な倫理的課題について研究を行っています。また昨年からは、研究者と患者会の方々との意見交換の機会の提供も行っています。今後も、再生医療の研究に関わる倫理的・法的・社会的課題に取組み、再生医療の実現化に向けて活動していく予定です。