【院生室より】科学基礎論学会とNeuro2013

2013/06/27

はじめまして。修士課程一年の岩本いわもと八束やつかです。不安定な天気が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

6月15・16日は科学基礎論学会(大阪)に、21-23日はNeuro2013(京都)に参加してきました。二週連続で新幹線での遠出がありましたが、得るものも多くありました。

科学基礎論学会は主に科学哲学者や科学者が集まる学会で、講演やシンポジウムも科学哲学系のものでした。余談ですが、これが人生初学会で、大阪初訪問。今年は物理学の哲学や心の哲学に関する報告が多く、例年に比べて生物学や医学系の報告は少なかったそうです。学部時代は生命科学が専門で、現在も科学哲学は専門とはしていないため、理解が及ばない話もありましたが、大変興味深い話題ばかりでした。特に興味深かったのは、今話題(?)のDSM-5(精神障害の診断と統計の手引きの第五版)に関するワークショップでした。これを機に、精神疾患の診断に大きな変化が訪れる…と思います。

国立京都国際会館で行われたNeuro2013とは日本神経科学学会日本神経化学会日本神経回路学会の脳科学関連3学会の合同大会です。神経の文字が多数名を連ねていますが、内容ももちろん脳神経科学づくしでした。こちらの学会は英語でのセッションが多くを占めており、最初は不安でしたが次第に慣れることができました。ランチョンセミナーや教育講演、海外の著名な研究者のプレナリーレクチャーが開かれたりと、非常に充実したプログラムが組まれていました。神経新生に関する話や、エピゲノムの話など、まだまだ脳神経にはわからないことだらけで大変面白いと改めて実感しました。アメリカではヒトゲノム規模で脳の解明を目的としたプロジェクトを立ち上げているそうです。
さて、その脳神経科学が応用・発展されていくにはトランスレーショナルリサーチ(基礎研究から臨床応用へと結びつける研究)を促進したり、ブレインバンク(大規模な脳の集積活動、またはその団体)を整える必要が出てくるでしょう。Neuro2013ではそのようなセッションも用意されており、研究している方等の意見も多数聞くことができました。これからは患者(被験者)・臨床医・(基礎)研究者の三者で手を取り合いながら医療を発展させていく時代が来るだろうと仰る方もいました。また、運が良いことにブレインバンク関係者と長い時間お話させていただける機会も得られました。

空いた時間には観光もできたのでリフレッシュともなりました。渉成園の睡蓮が綺麗でした。鴨もおいしs…かわいかったです。

前述したとおり、今回初めて学会に参加したのですが、大変実りのあるものとなりました。知識も増えますが、意欲も湧きます。次回は発表を見る側では無く、発表をする側に回れたら、と思います。

(M1 岩本八束)