【院生室より】米国人工臓器学会に参加しました。

2013/06/19

梅雨や台風で不安定な天気が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。院生室(通称3研)には扇風機や虫除けマット、麦茶など夏のものが準備されつつあります。

今回は、私が参加してきた海外学会のご紹介です。6月12日から15日まで、シカゴで開催された米国人工臓器学会(American Society for Artificial Internal Organs: ASAIO(アサイオと呼ばれます))に参加してきました。この学会は、人工臓器の研究開発や臨床使用に関連する人々が集まる学会で、参加者のバックグラウンドは医学、工学、生体工学、看護などさまざまです。今回の参加の目的は、私自身が取り組んでいる医療機器×倫理というテーマでの発表場所を探すことと、アメリカにおける医療機器研究開発の現状を少しでも把握することでした。

学会初日は、小児用デバイスに特化した分科会のようなもの(PEDIATRIC MECHANICAL CIRCULATORY SUPPORT PROGRAM)が開かれていました。ここでは、小児用デバイスに関する政府の取り組みや、臨床試験の進捗状況などが発表されていました。特に、FDAやNHLBI(米国心臓、肺、血液研究所。NIH傘下の国立研究機関)など政府関連の機関の取り組みを興味深く聞きました。

翌日からは、学会の本会が始まりました。事前に公表されていたプログラムで、聞きたいセッションや見たいポスターの目星をつけていたので、それらを中心に回りました。補助人工心臓(ventricular assist device: VAD)装着患者・家族の教育に関する研究や、機械的循環補助(mechanical circulatory support: MCS)を受けている患者に対するインタビュー調査、病院で人工肺を使用した際のコスト計算をした研究など、人工臓器の研究開発・臨床使用を取り巻く社会的な課題にアプローチしたものがいくつか見られ、自身の今後の発表の参考になりました。また、プレゼンテーターが全員FDA関係者というFDA Sessionが設けられており、医療機器開発のイノベーションにおける課題、FDAの取り組みなどが紹介されていました。日本は医療機器開発のイノベーションが起こりにくい、規制が厳しい等よく言われるところですが、このセッションを聞く限りでは、アメリカでも自国の状況について同じような問題意識を持っていることが伺えました。FDA関係者は現地に来ることがなかなか難しいのか、ウェブ会議システムを用いての発表が多かったのですが、それでも多くの関係者が学会で発表し、現場の研究者等と意見交換をする試みは有益であると思いました。その他、VADコーディネーターが集まるセッションなどにも参加し、実り多い学会でした。

学会の合間には地のものを楽しもう、ということでシカゴ名物deep-dish pizzaを食べに行きました。
各種地ビールとともにいただきます。
一切れでギブアップしました。

20130619_pizza.jpg20130619_beer.jpg

学会に参加することで研究内容の情報収集だけでなく、発表方法なども自身の参考になることが多くあります。今後も機会を見つけて積極的に参加したいと思います。

(D2・中田はる佳)