神経内科専門医の遺伝子診断に対する意識調査(武藤)

2013/04/26

厚生労働省の研究班で、遺伝性神経難病に関心を寄せているメンバーが集まり、遺伝学的検査に関して神経内科専門医がどのように考えているのかについて、意識調査を行いました。その結果が、「臨床神経」に掲載されました。神経学会会員の方は、こちらからどうぞ!
特に、家族性アミロイドポリニューロパシー(FAP)、ハンチントン病(HD)、筋強直性ジストロフィータイプ1(DM1)を対象にした遺伝学的検査への対応の違いなどが注目され、なんらかの対応が可能だと医師が考える疾患については、積極的に実施されていることがうかがえます。

なお、この論文の内容は、第37回日本遺伝カウンセリング学会にて、2013年6月23日に大畑尚子先生が口頭発表する予定です。
また、J-Stageから読むことが可能です。

神経内科専門医の遺伝子診断に対する意識調査
吉田邦広*,大畑尚子,武藤香織,土屋敦,澤田甚一,狭間敬憲,池田修一,戸田達史
*Corresponding author: 信州大学医学部神経難病学講座〔〒390-8621 松本市旭3-1-1〕


我が国における神経疾患の遺伝子診断(遺伝カウンセリング、遺伝子検査)の現状を把握し、今後のよりよい臨床応用のあり方を検討する目的で、神経内科専門医を対象とした遺伝子診断に対する意識調査を実施した。日本神経学会の協力をえて、神経内科専門医4,762名に対して調査用紙を配布し、1,493名(31.4%)から回答があった。神経内科医はおおむね疾患の特性や患者・家族の状況に応じて適切に遺伝子診断をおこなっていると思われたが、ガイドラインはあまり活用されておらず、遺伝子診断により生じえる種々の問題点に対する認識は必ずしも十分とはいえなかった。
(臨床神経, 53:337-344, 2013)
keywords:遺伝子診断,ガイドライン,遺伝カウンセリング,インフォームド・コンセント,心理社会的支援