教授を拝命致しました(武藤)

2013/02/06

私事ではございますが、2013年2月1日付で、教授を拝命致しました。

公共政策研究分野をつくって頂いてから丸6年が過ぎようとしていますが、医科研の研究者の方々が、同じ仲間として受け入れて下さったことに、心から感謝しております。しかし、過分なご祝辞を頂く中で、学校教育法をあらためて読むと、この身分は大変に責任の重いことで、医科研の方々が新たな賭けをなさったように感じ、身が引き締まる思いです。

加えて、先行き不透明なこの研究室に、意を決して、心優しく優秀なスタッフや学生たちが集ってくれたことにも、感謝の気持ちでいっぱいです。医科研で、ひいては医科学研究コミュニティにおいて、この研究室の存在と役割を認めて頂けたのは、ひとえにみんなの力のおかげです。本当にありがとうございます。

2000年代から、医科学には経済効果やイノベーションが待望されるようになり、国の委託事業として契約の対象や、民間企業から投資の対象となってきました。そのようななか、私たちは、医科学研究者ではない立場の視点、病や障害とともに生きる方の視点を忘れないように心がけながら、主に研究倫理支援業務と倫理的・法的・社会的課題(ELSI)の研究を進め、わずかながら若い人材も育成してきました。また、最近では、附属病院看護部の皆さんと、臨床倫理を考える機会を頂いています。そして、国からは、ナショナルプロジェクトでの研究倫理支援業務を委託されるようになりました。

ただ、これは、たまたま時代の流れに合っていた、ということだろうと理解しています。本当に生き残れるかどうか、勝負はこれからです。

今後10年間、この研究室は、どのような役割を果たしていくべきなのでしょうか。医科学に対する「日本再生の旗頭」としての期待は、かつてないほど高まっています。しかし、そのペースに呑まれ、振り回され、ただ「支援」するだけでは、この研究室は自滅するでしょう。私たちは、医科学を間近に見守る者として、新たな関与のモデルをつくり、光の当たりにくいところに眼差しを向け、得られた知見を発信していかなければならないと思います。

考えながら走ることを許してくれる雰囲気は、医科研のよさだと思っておりますが、先頭を走らないと、きっと許してもらえないでしょう。皆様のご支援を得ながら、新たな覚悟とともに、邁進していきたいと考えております。

今後とも、ご指導ご鞭撻のほど、宜しくお願い申し上げます。