よりよき研究環境とは:ウプサラより(2)

2012/12/09

「この研究室はこの先どの方向に進んで行くべきか、そしてそれはなぜか」
「研究環境を最大限活用できているだろうか、改善すべきところはないだろうか」

現在滞在しているセンターで、これらのテーマについて議論するミーテイングがありました(年末の恒例のようです)。ハンソン教授をはじめとする、いわゆるシニアスタッフと、ボスドクなどのジュニアスタッフ、そして博士課程の学生さんたち、合わせて15名ほどが、3つのグループに分かれて意見を出し合い、それぞれ提案をまとめます。最後にそれらを発表しあって集約し、今後の研究室の運営に役立てようというものです。

私はウプサラに来てようやくひと月。研究環境の素晴らしさにうっとりしながら毎日を過ごしているので、このような議題を出されて正直困ったのですが、その場の席順でさっさとグループを割り当てられてしまいましたので、腹を括って思いの丈を述べました。

議論は全体として「セミナーのあり方」に集中しました。定例のセミナーは重要な機会であるが、時間の制約もあるし、そのテーマに興味がある人もいればそうでない人もいる。セミナー後のフォローアップや、もっと密度の濃い議論の場が必要ではないか。みんなで集まってブレイン・ストーミングをするためだけの機会もあっていいのではないか。ぜひ話を聞いてみたい人を呼んで講演してもらうような機会も必要、若手主催で行事を作ってはどうか(この行事のためにセンターの予算が割り当てられることになりました)。文献の批評や特定のテーマについて意見をたたかわせる場があってもいいのではないか。その他にも、センターの対外活動は現状でよいだろうか、センター内で論文の共同執筆をどう促進していくか等など、活発な議論が繰り広げられました。

個人として、また学際的な混成チームとして、いかにお互いを刺激しつつ、また活かしつつ、この学問領域を展開させていくべきか。一つの挑戦を見ているようで、大いに感銘を受けました。会の終了後は市内でクリスマス夕食会。来週は恒例のノーベル賞受賞記念講演があり、京都大学の山中教授はじめ各受賞者がウプサラの地にやってきます。

写真:「カロリーナ・レディヴィーヴァ」(大学の中央図書館)の裏で花火イベントがあり、多くの市民で賑わいました。長い冬を楽しむために様々な工夫が凝らされています。

井上:ウプサラ大学にて在外研究中/スウェーデン王国)