在外研究が始まりました(井上)

2012/11/10

10月末より、ウプサラ大学(スウェーデン王国)での客員研究員としての活動を開始しました。これから折に触れて、体験したことや注目すべき出来事、議論などをご紹介して参りたいと思います。

ウプサラは首都ストックホルムから電車で20分ほどの静かな街です。過去に国王の戴冠式が行われていた場所であり、歴史建造物に恵まれた古都としての側面を有する一方、15世紀に起源を有する北欧最古のウプサラ大学の大学街でもあります。国内外から集まった学生や研究者が多く住んでいるせいか「見知らぬ人にも非常に親切な人が多い」「住みやすい」との評価をよく聞きます。

今回私が在籍する研究倫理・生命倫理センター(Centrum för forsknings- & bioetik)は、ウプサラ大学医学部に今から4年前に設置された若いセンターですが、学際的な雰囲気の中、研究者や院生さんが集まり、研究や教育活動に多くの実績を残しているところであり、国内外から高く評価されています。医学・生物学研究の規制をめぐってスウェーデンでは立法府を巻き込んだ長い議論の経緯があること、また研究基盤の整備の観点からの議論の蓄積が豊富であることも、私がこの国、この機関を選んだ理由の一つです。

センターの雰囲気としては、スタッフや院生の方々が立場の分け隔てなくお互いの意見や活動を尊重していることが印象的です。博士課程の学生さんにはだいたい私と同じぐらいの年の方が多いせいか、何かと世話を焼いて下さり、ただただ感謝するばかりです。週例のセミナーでは、博論の提出を控えたセンター内外の院生さんの発表が続く時期です。前回のセミナーは「デュアルユースに関する研究者の責任」がテーマでしたし、次回は医事法の院生さんが「市販の遺伝子検査」への規制の適否について発表する予定とのことです。来月はクリスマスがあるためか、お互いの家のクリスマス料理のことがよく昼食の話題になります。どんどん日が短くなっているため、16時を過ぎると外はほとんど真っ暗。研究棟にはほとんど人がいなくなります。

写真:ウプサラ大学で17世紀に造られた解剖講堂“アナトミカル・シアター”(1950年代に復元されました)

井上:ウプサラ大学にて在外研究中/スウェーデン王国)