聖路加看護大学との自主ゼミ(2) ~看護学と生命科学の対話~ (院生室より)

2012/06/29

昨年7月の交流会に引き続き、今年も聖路加看護大学の学生さんと、メディカルゲノム専攻の学生との自主ゼミを実施いたしました。

ファシリテーターは聖路加看護大学大学院ウィメンズヘルス・助産学専攻の有森直子教授、当研究室の武藤香織准教授、学生は、聖路加看護大学から15名、メディカルゲノム専攻から3名、また医科学研究所附属病院から武村看護部長がご参加くださいました。

自主ゼミの流れは昨年度と同様、オリエンテーションを経て、「バイオバンク・ジャパン」を見学し、その後、ディスカッション(「生命科学の学生に聞きたいこと・看護の学生に聞きたいこと」)という流れで行いました。

ディスカッションでは、「バイオバンクの血液を見て、『何万本の血液』と思うか、または『何万人分の患者さんの血液』と思うか」についてや、医療現場で働く看護師さんでさえ患者さんの暮らしを想像して物事を判断していくことは非常に難しい作業であること、また、目の前で苦しむ患者さんに対して先端医学研究を行っていくことの意義、科学研究の成果が不本意な形に応用されてしまっていると感じた瞬間、等々について話を深めていきました。

一部の方々からは、非常に有意義な時間であったとの好評のメールを頂きました。私にとっても、生命科学の学生と看護の学生が、両者の視点から一つのテーマを語り合うという機会にはなかなか巡り合えるものではありませんので、互いに得るものが多い会になったことは、非常に嬉しく思いました。

現在、科学者と社会とのコミュニケーションの推進が大きく取りざたされていますが、一方で、科学者と医療者との間のコミュニケーションが不足しているという現状もあります。そうした現状を打破する一つの手段として、こうした自主ゼミを定期的に開いていくことが、何か役割を果たしていけるのではないかと考えています。

また、メディカルゲノム専攻の学生の中で「実験だけでなく、患者さんと交流してみたい」という要望があるということも今回分かりました。公共政策研究分野の学生の一人として、そういった機会を探して、メディカルゲノム専攻の学生さんたちに情報提供を行っていくことも、今後の課題として考えたいなと思っております。