2014年度第2回公共政策セミナー
2014/06/13
本日、2014年度、第2回目の公共政策セミナーが開かれました。
内容は以下の通りです。
◆日時:2014年6月13日(土)10時30分~12時
報告者: | 川端美季さん(日本学術振興会特別研究員PD) |
---|---|
タイトル: | 近代日本における公衆浴場の衛生史的研究 |
発表概要:
明治期以降の近代化に伴い、日本の江戸風俗を代表する社交場としての「湯屋」は、徐々に公衆衛生的管理の対象としての「公衆浴場」になっていった。公衆浴場に対する公衆衛生的管理がもっとも凝縮したかたちで現れたのが、大正期を中心に行政によって設置された公設浴場である。本研究は、公設浴場がいかに設置され展開していったのかに着目し、公衆浴場が公衆衛生行政に組み込まれていった経緯について、歴史的に検討するものである。
明治期以降、官僚や知識人が欧米を視察するなかで、欧米の衛生学的言説が導入され衛生思想の啓蒙運動を通して入浴は「清潔」のために行なわれるものであると強調されるようになった。それと同時に公衆浴場という場も、清潔で衛生的な場であるべきであると認識されるようになった。欧米で活発だった公衆浴場運動の影響もあり、身体の清潔が都市行政の課題とされた結果が府や市が主体となって建設した公設浴場である。公設浴場は、単に行政の主導で衛生的な清潔を目的のためだけに設けていったのではなく、公設浴場が設置される地域の住民、対立する浴場営業者などとの相互的な活動のなかで公設浴場という場が作り上げられた。公設浴場の設置と規制の確立を契機として、公衆浴場が公衆衛生のなかに組み込まれていった。