第36回日本疫学会学術総会/第3回国際疫学会西太平洋地域合同大会でポスター発表を行いました(松山)

2026/02/09

D2の松山です。

 

長崎県で開催された、第36回日本疫学会学術総会/第3回国際疫学会西太平洋地域合同大会でポスター発表を行いました。

 

今回の発表テーマは、出生コホート研究のELSIについてです。

本研究では、出生コホート研究に関する既存の知見を整理するために文献調査を行うとともに、日本の出生コホート研究に関わる研究者を対象としたインタビュー調査を実施しました。これらを通じて、長期にわたる研究運営の中で生じる倫理的課題や、研究参加者との関係性について検討しました。

 

学会当日は、疫学をはじめ、さまざまな分野の研究者の方々に関心を持っていただき、インフォームド・アセントや子どもの研究参画をめぐって意見交換を行うことができました。異なる専門分野からの視点に触れることで、自身の研究テーマを改めて見つめ直す貴重な機会となりました。

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1月の公共政策セミナー

2026/01/13

2026年1月の公共政策セミナーは、以下の通り、行われました。

◆日時:2026年1月14日(水)13:30-

(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)

◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階

公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催

◆Web参加方法:公共政策メンバーの方は、共有カレンダーのURLからご参加下さい。

※所外の方は、お手数ですがご参加都度、開催当日昼12時までに渡部までご連絡下さい。セミナー開始までに参加用URLと当日の資料ファイルをお送りします。

 

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〈報告概要(敬称略・順不同)〉

◆報告1

報告者:北尾 仁宏(筑波大学ビジネスサイエンス系 助教・公共政策研究分野 客員研究員)

タイトル:「『善き』『医療』」の決定及び実現の過程的区分に関する医事法的考察:統合的医事法の観点による総論原理定立へ向けた一試論

要旨:本報告は、「『善き』『医療』」という二重に評価的な要素を含むこの概念をめぐる規範的対立の混迷を、価値の「決定過程」と「実現過程」との理論的未分化に求め、両者を峻別する枠組を提示する試みである。意味・価値・規範の生成構造を踏まえつつ、人格概念に基づく参加や選択の位置付けを再構成し、医療における自己決定の理解を統合的医事法の観点から再定位すべく、私案を提供する。

指定発言: 河合 香織(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 博士後期課程)

 

何卒、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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第43回山梨県小児保健協会学術集会で口頭発表を行いました(松山)

2025/12/24

D2の松山です。

 2025年12月14日に山梨大学で開催された第43回山梨県小児保健協会学術集会に参加し、口頭発表を行いました。発表テーマは、出生コホート研究に参加する子どもの研究参加に対する母親の認識についてです。本発表では、エコチル調査に参加する小学6年生の母親を対象としたインタビュー調査の結果をもとに、母親が子どもの研究参加に関する理解や態度をどのように捉えているのかを明らかにしました。また、生まれた時から研究に参加してきた子どもが、いつ、どのように研究参加者としての自分を意識するようになるのかという点が、出生コホート研究における重要な論点であることを示唆しました。

 インフォームド・アセントや子どもにわかりやすい研究成果の還元の方法についてなどの質問が寄せられ、今後の研究の方向性を検討する上で有益な示唆を得ることができました。

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12月の公共政策セミナー

2025/12/08

2025年12月の公共政策セミナーは、以下の通り、行われました。

◆日時: 2025年12月10日(水)13:30-16:00ごろ

(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)

◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階

公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催

◆Web参加方法:公共政策メンバーの方は、共有カレンダーのURLからご参加下さい。

※所外の方は、お手数ですがご参加都度、開催当日昼12時までに渡部までご連絡下さい。セミナー開始までに参加用URLと当日の資料ファイルをお送りします。

 

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〈報告概要(敬称略・順不同)〉

◆報告1

報告者:河田 純一(公共政策研究分野 特任研究員)

タイトル:「高額療養費引き上げ問題」の社会問題化過程:アンケート分析結果からの考察

要旨:2024年12月に提示された高額療養費制度の自己負担限度額の引き上げ案は、患者団体の反対運動や野党の批判を受け、2025年3月に異例の「見送り」となった。本報告は、この一連の経緯で重要な運動行為となった患者団体によるアンケートと署名に着目し、特に、緊急アンケート(回答3,623件)の自由記述を分析する。主たる関心は、回答者が誰であり、どのような不利益をもたらす事態として制度変更を問題化したのか(治療継続の断念、受診抑制、就労・家計への波及、家族負担、将来不安等)、そして患者団体がその語りを要約・分類し、代表的フレーズや数値と結びつけて社会問題へと焦点化したプロセスである。資料として、公表された取りまとめ、審議会資料、議会議事録、報道記事、私的なメモを突き合わせ、医療費負担に関する経験が「社会問題」として立ち上がるメカニズムを検討する。 

指定発言:方 璽正(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 修士課程)

 (報告30min+指定発言5min+ディスカッション)

 

◆ワークショップ

武藤 香織 (公共政策研究分野 教授)

研究の意味を再発見し、次の一歩に踏み出そう

一年間、おつかれさまでした。
今年を振り返り、来年を考える時期にあたり、
自分の研究の意味や価値を考え、
これから何をすべきか、
ともに語り、考える時間にしたいと思います。
参加要件:
1)研究をしている方
2)セミナー室で参加できる方、または、オンライン参加の場合、顔を出して話せる環境を確保できる方

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【論文発表】高額療養費改革案の修正過程と患者運動―『医療経済研究』掲載のお知らせ(河田)

2025/11/28

当研究室特任研究員の河田です。この度、立教大学経済学部の安藤道人教授との共著論文が、『医療経済研究』Vol. 37 No. 1 に掲載されましたのでご報告いたします。

本論文では、高額な医療を受ける患者さんの生活に直結する「高額療養費制度」の2024年度改革案に焦点を当て、その政策決定過程を詳細に分析しました。

■ 論文タイトル 高額療養費改革案はどう見送られたのか:2024 年度案の政策形成・修正過程と患者運動

[記事へのリンク: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjhep/37/1/37_2025.05/_article/-char/ja/]

■ 研究の背景と概要 本研究では、2024年度の高額療養費制度改革案に焦点を当てています。 具体的には、2024年12月に提示された「自己負担限度額の引き上げ案」が、患者団体の反対運動や野党からの批判を経て、2025年3月に異例の「見送り」決定となったプロセスを取り上げました。

論文の主なポイントは以下の通りです。

  1. 歴史的経緯の整理 高額療養費の自己負担額引き上げ案が提示され、見直されるに至った経緯を詳細に整理しました。具体的には、高額療養費の創設から2024年の引き上げ案の決定までの歴史的な経緯を整理した上で、2024年末から2025年3月にかけての引き上げ案の政策修正過程を検討しました。

  2. 政策修正過程と患者運動の分析 一度提示された引き上げ案がなぜ修正されたのかを、その過程で重要な役割を果たした患者団体の運動に着目しました。患者団体が、要望書・アンケート・署名活動・ロビー活動・専門家との連携などを通じて引き上げ案の政策論点化と世論形成に成功し、最終的に見送りが実現した経緯を検証する

政策形成の現場で何が起きていたのかを記録・分析することは、今後の医療政策と患者参画のあり方を考える上で重要な意味を持つと考えています。

■ 共同研究者 立教大学 経済学部 教授 安藤道人 先生

■ 今後に向けて 今回の分析対象となった一連の患者運動には、私自身も一人の運動当事者として参加しておりました。その渦中で得た経験や視座を、アカデミズムの場できちんと言語化し、記録していくことも研究者として大切だと感じています。今後も、今回のような経済学との連携をはじめ、学問領域の垣根を越え、現場の実践と研究をつなげていくことに力を尽くしてまいります。ぜひ、上記リンクよりご一読いただけますと幸いです。(河田)

 

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第11回研究倫理を語る会(2026年3月7日開催)の参加申し込みが始まりました!

2025/11/21

「研究倫理を語る会」は、医学系研究を支える様々な立場の人間(研究機関の長・研究者・医療者・研究支援者・研究倫理支援者・CRC・倫理審査委員会委員・倫理審査委員会事務局員・患者・企業等)が一堂に会し、多方面からの討論ができる時間をつくること、そして、臨床研究支援・研究倫理支援に携わる方々の情報共有・意見交換の場を設けることを目的とし、2015年にスタートしました。

今年度、第11回の「研究倫理を語る会」は、東京での開催となります。主幹校は東京大学医科学研究所、実行委員長は武藤香織(東京大学医科学研究所公共政策研究分野・世話人会副代表)が務めさせていただきます。ぜひ多くの皆さまにご参加いただければ幸いです。

 

【開催概要】

名称:第11回研究倫理を語る会〜木を見て森も見る研究倫理〜

日時:2026年3月7日(土) 10時00分~18時00分(予定)

会場:東京コンファレンスセンター・品川 定員:現地参加 400名(先着順)/オンデマンド配信(一部を除き後日配信予定)

参加費:無料

主催:研究倫理を語る会世話人会

共催:国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)

参加登録、ポスター発表の申込、研究倫理川柳の応募はこちらをご覧ください

 

皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げております!

 

第11回研究倫理を語る会 実行委員会

実行委員長:武藤香織(世話人会副代表)

主幹校:東京大学医科学研究所

場所:オンライン開催担当:木矢 幸孝・河田 純一

event"AT"pubpoli-imsut.jp

"AT"を@に変換してください

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第84回日本公衆衛生学会総会で口頭発表を行いました(松山)

2025/11/11

こんにちは。D2の松山です。

 

2025年10月29日〜31日に静岡県静岡市で開催された 第84回日本公衆衛生学会総会 に参加し、口頭発表を行いました。発表テーマは、出生コホート研究に参加する母親の参加経験についてです。私の発表では、長期にわたる研究参加を続けてきた母親たちが、どのように自らの協力を意味づけ、どのような思いで研究に関わってきたのかを、インタビュー調査を通して明らかにしました。

初めての口頭発表でとても緊張しましたが、質疑応答を通して、自分の研究を多角的に見つめ直す貴重な機会となりました。

学会期間中には、「公衆衛生における倫理とは何か」をテーマとしたシンポジウムも拝聴しました。

公衆衛生の実践における倫理的な判断が、社会全体の公共性とどのように関わるのかについて深く考えさせられ、自分の研究テーマである疫学の研究倫理にも通じる多くの気づきを得ることができました。

今後も、一つひとつの経験を研究に活かしながら、学びを深めていきたいと思います。

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11月の公共政策セミナー

2025/11/05

2025年11月の公共政策セミナーは、以下の通り、行われます。

◆日時: 2025年11月12日(水)13:30-16:00ごろ

(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)

◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階

公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催

◆Web参加方法:公共政策メンバーの方は、共有カレンダーのURLからご参加下さい。

※所外の方は、お手数ですがご参加都度、開催当日昼12時までに渡部までご連絡下さい。セミナー開始までに参加用URLと当日の資料ファイルをお送りします。

 

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〈報告概要(敬称略・順不同)〉

◆報告1

報告者:村上 文子(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 修士課程)

タイトル:医療に係る意思決定支援とは何か:政策における議論を中心に

要旨:増加する身寄りのない高齢者が抱える生活課題等への対応は急務となっており、そのニーズに応じる「高齢者等終身サポート事業者」(以下、事業者)は全国で推定400社を超えている。生活の様々な場面での意思決定支援の施策がすすんでいるが、医療に係る意思決定だけは国としての施策になっていない。2024年に内閣官房および8府省庁が合同で公表した「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」では、事業者に医療に係る意思決定支援への関与が認められるなど、高齢者の意思決定支援において事業者の存在が頼りにされはじめている。

本発表では、高齢者の医療に係る意思決定支援について、事業者の関与が認められるにいたるまでの、成年後見制度と臨床倫理の分野における議論の変遷を読み解く。なお、本発表は、発表者が現在執筆中の修士論文における第一研究の一部である。

指定発言:河田 純一(公共政策研究分野 特任研究員)

 

◆報告2

報告者:島﨑 美空 (大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻博士後期課程)

タイトル:出生前検査としての超音波検査の現状と倫理的課題:女性を対象としたミックスド・メソッド研究

要旨:超音波検査は低侵襲の検査で、産科領域においては妊娠経過や胎児発育の確認のために使用されている。近年では、超音波検査機器の精度向上により、詳細に胎児の形態を観察することが可能になったことで出生前検査としても提供されている。しかし、その提供の現状や倫理的課題は国内において十分に議論されていない。そこで本研究は、ミックスド・メソッドを用いて出生前検査としての超音波検査(FUSE: Fetal Ultrasound Screening Examination)の経験を解明し、FUSE経験者の視点から倫理的課題を検討することを目的に調査を実施した。ウェブ調査(N=1,236)とインタビュー調査(N=29)を実施した結果、胎児の様子を見て確認できるポジティブな体験を伴う検査であることや、受検することで不安に対処できた感覚が肯定的に評価される一方で、受検することによって惹起される心理的負担や葛藤、生命倫理の自律尊重原則に反する情報提供、意思決定支援の実情があることが見えてきた。本発表では、予備審査を経て執筆の方向性を修正中である博士論文の途中経過を報告する。

指定発言:西 千尋(公共政策研究分野 特任研究員)

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Allergy誌にアレルギー領域における患者・市民参画(PPIE)に関する論文が掲載されました(渡部・武藤)

2025/10/09

特任研究員の渡部です。Allergy誌に、アレルギー領域における患者・市民参画(PPIE:Patient and Public Involvement and Engagement)に関する論文が掲載されました。

英文タイトル:Exploring Patient and Public Involvement and Engagement in Allergy Research: Cross-Disease and Cross-Stakeholder Perspectives in Japan
タイトル和訳:アレルギー研究における患者・市民参画の探究:日本における疾患横断的・ステークホルダー横断的視点
著者名:Takeya Adachi, Saori Watanabe, Yu Kuwabara, Yuki Abe, Masaki Futamura, Takenori Inomata, Keima Ito, Meiko Kimura, Keiko Kan-o, Hanako Koguchi-Yoshioka, Yosuke Kurashima, Katsunori Masaki, Mayumi Matsunaga, Haruka Miki, Saeko Nakajima, Yuumi Nakamura, Masafumi Sakashita, Sakura Sato, Kyohei Takahashi, Masato Tamari, Takeshi Tsuda, Satoru Yonekura, Mayumi Tamari, Kaori Muto, Hideaki Morita
掲載紙:Allergy
掲載日:2025年9月18日
DOI: 10.1111/all.70064
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/all.70064

 

慶應義塾大学と国立成育医療研究センターと共同で、東大医科研からプレスリリースが公表されておりますので併せてご覧ください。

近年、患者や市民が研究に主体的に参加する「患者・市民参画(Patient and Public Involvement and Engagement: PPIE)」の重要性が国際的に強調されています。双方向性の研究推進が可能になると、研究者にとっては研究開発を進める上での新たな視点と価値を発見することにつながったり、患者・市民にとっては負担の少ない実施体制につながり、最終的には社会が医療を育てることにもつながります。2024年に世界医師会が改訂したヘルシンキ宣言でも、医療研究における倫理的原則としてPPIEの推進が明記されました。

本研究は、日本におけるアレルギー領域のPPIEの現状を、がん・難病領域と比較することで初めて明らかにしました。全国の研究者(Principal Investigators: PIs)および患者団体(Patient Advocacy Groups: PAGs)を対象にアンケート調査を実施し、両者の意識や取り組みのギャップ、今後必要とされる支援策を検討しました。

調査の結果、アレルギー領域の患者団体は研究者との連携や参画の必要性を強く認識している一方で、研究者側ではPPIEの重要性を認識している割合が少なく、患者団体と研究者の間には「PPIEの必要性」に認識のギャップがあることが明らかになりました。また、アレルギー領域の研究者がPPIEの必要性を認識していた割合はがん・難病領域の研究者よりも低い傾向がありました。実際の研究者と患者団体の交流頻度についても、がん・難病領域と比較するとアレルギー領域の方が低い結果でした。 

PPIEのためのニーズとしては、患者団体からは「患者・研究者双方の研修」「研究者と患者をつなぐコーディネーター」「成功事例やツールキットの整備」といった具体的なニーズが示されました。研究者からも「コーディネーターの存在が最も重要」との回答が多く、両者に共通した課題として認識されていました。一方で、PPIEに関連するデジタルツールの活用については患者団体の殆どが利用しているのに対し、研究者側の利用は限定的で、患者団体と研究者の間で大きな差がありました。

本研究で明らかになった患者・研究者双方へのPPIEに関する教育プログラムの提供、PPIEコーディネーターの育成、デジタルツールやPPIEの実施に関するガイドラインの開発など、アレルギー領域のPPIEを支える様々な基盤的ニーズの整備について、今後様々な取り組みや研究を通じて実現に資するよう尽力していきたいと考えています。

(渡部・武藤)

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10月の公共政策セミナー

2025/10/08

2025年10月の公共政策セミナーは、以下の通り、行われました。

◆日時: 2025年10月8日(水)13:30-16:00ごろ

(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)

◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階

公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催

◆Web参加方法:公共政策メンバーの方は、共有カレンダーのURLからご参加下さい。

※所外の方は、お手数ですがご参加都度、開催当日昼12時までに渡部までご連絡下さい。セミナー開始までに参加用URLと当日の資料ファイルをお送りします。

 

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〈報告概要(敬称略・順不同)〉

◆報告1

報告者:河合 香織(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 博士後期課程)

タイトル:インターネットを通じた難病のゲノム医療や遺伝情報の伝え方に関する検討

要旨:近年、ゲノム医療の進展に伴い、遺伝情報の提供は患者や家族の結婚・妊娠・出産のみならず、診断後の生活設計や家族内での情報共有など多岐にわたる意思決定に影響を及ぼしている。特に希少な疾患や難病については、多くの患者や家族が身近にアクセスできるインターネット上の情報源において、欧米に比べ日本ではゲノム医療や遺伝情報についてわかりやすい情報提供が充分になされていない状況がある。また情報を伝える上で、「余命」「普通」といった配慮が必要な表現が意図せざる誤解を生じさせたり、発信者の無意識のジェンダーバイアスなどが差別や偏見を喚起するリスクも存在する。本発表ではこれまでの研究の振り返りとともに、今後開催予定の難病のゲノム医療に関するPPIワークショップのデザインを検討する。

⇨指定発言:村上 文子(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 修士課程)

 

◆報告2

報告者:木矢 幸孝(公共政策研究分野 助教)

タイトル:高齢者等終身サポート事業者と医療機関との関わり

要旨:単身高齢者の増加等を背景として、全国で推定400社を超える高齢者等終身サポート事業(以下、事業者)の利用が浸透しつつある。2024年6月に公表された「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(内閣官房他)では、利用者の意思を医療機関が把握し、その希望を踏まえた医療を可能にすため、事業者による意向表明文書の作成支援が想定されている。加えて、事業者が関わる現場では利用者本人が意思表示できない場合に、事前に確認した利用者の意向を事業者が医療機関に伝える場合がある。しかし、その際、事業者が医療機関にどのように受け止められたと認識しているかについては、十分に検討されていない。事業者の語りを通じて、利用者の意向が医療現場でどのように反映され実現されているのかを捉えることは重要である。本報告では、この問題意識のもと、2024年11月および2025年1月〜7月に実施した事業者へのヒアリング調査の結果を紹介する。

指定発言:島﨑 美空 (大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻博士後期課程)

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9月の公共政策セミナー

2025/09/10

2025年9月の公共政策セミナーは、以下の通り、行われました。

 

◆日時: 2025年9月10日(水)13:30~16:00ごろ

(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)

◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階

公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催

 

 

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〈報告概要(敬称略・順不同)〉

◆報告1

報告者:三村 恭子(公共政策研究分野 学術専門職員)

タイトル:女性を「診る」人工物の政治性:産婦人科内診台および産科向け超音波画像診断装置を事例として

要旨:テクノロジーは、その開発における政治経済的文脈に基づきかたちづくられるだけでなく、より幅広い社会文化的な背景にも影響される側面がある。そして、その使用において、特定の関係性を再生産したり強化するような政治性を発現することもある。
本発表では、主に女性の身体を「視る」ために使われる医療技術(とりわけ人工物としてその場に在るモノ)が、どのような政治性を発現しているかを検討する。そのため、産婦人科内診台と産科向けの超音波画像診断技術(機器)の、2つの事例を取り上げ、それらの使用により生じる関係性や構造について考察する。また、これらの技術の開発の流れを、歴史的な観点から分析し、上記の関係性や構造の背景要因を探るとともに、開発の方向性にどのような政治性が含まれているかを考察する。
本発表は、発表者が現在執筆している博士論文の内容であり、主に考察部分の一部に焦点を当てたものである。

指定発言:李 怡然(公共政策研究分野 准教授)

 

◆報告2

報告者:渡部 沙織(公共政策研究分野 特任研究員)

タイトル:過去の医療・福祉に関する資料のアーカイブズ化と利活用に関する市民の認識 〜センシティブな過去の記録はいかに社会に開かれるか〜

要旨:本報告の目的は、過去の医療・福祉に関連する記録や資料の保存とその利活用に対して、一般市民がどのような懸念や考えを抱いているのかについて、インターネット質問票調査を用いてその認識を分析する事にある。特に、保存の必要性、保存の主体となる機関や利活用を容認する際の利用目的について、一般市民の認識を把握する。

本研究が想定する、アーカイブズ化が必要な過去の医療・福祉に関連する記録とは、患者や家族の団体が作成した記録、医療機関や福祉施設等が作成した記録や、開示された行政文書でセンシティブな情報を含む資料など、取り扱いの基準や位置付けが曖昧な領域の資料を指す。このような資料群の散逸や廃棄を防ぎ、アーカイブズ化と学術研究目的の利活用の枠組みを検討するためには、当事者や市民の懸念を把握しながら慎重に倫理的な配慮を検討する事が求められる。今回は、海外でのマイノリティや先住民族に対する優生手術記録のアーカイブズの事例やそれらへの当事者参画型の運用のあり方、幅広い医療や施設の記録の長期的保存に関する事例を参照しながら、調査結果の示唆について考察する。

⇨指定発言:木矢 幸孝(公共政策研究分野 助教)

 

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2026年度 入試日程B 医療イノベーションコース説明会

2025/08/19

<このイベントは終了しました>

以下の通り、新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 入試日程Bに関する医療イノベーションコースとしての説明会を開催します。

第1回:2026年度 入試日程B 医療イノベーションコース説明会
日時:2025年9月11日(木) 18:00~19:00
場所:オンライン開催
内容:オンラインで入試制度説明、研究室紹介(short presentations)を実施します。
申込:事前の参加登録をお願いしています。参加登録はこちらです。

第2回:2026年度 入試日程B 医療イノベーションコース説明会
日時:2025年10月4日(土) 13:30~15:30(ハイブリッド開催)
場所:東京大学医科学研究所 2号館 2階大講義室(オンラインでも同時開催)
交通:地下鉄南北線 白金台駅2番出口より 徒歩5分
内容:入試制度説明、研究室紹介(1ラボあたり15分程度)、新設する教育プログラム紹介、研究室訪問(白金台にラボのある研究室のみ)、現役学生とも情報交換できます。また、オンラインでも同時開催します。 
申込:事前の参加登録をお願いしています。参加登録はこちらです。

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【9/19夜開催】難病のゲノム医療について考えよう!〜患者・市民が頼れる情報源とは〜

2025/08/15

難病のゲノム医療について考えよう!〜患者・市民が頼れる情報源とは〜

難病のゲノム医療や全ゲノム解析の体制整備が進む一方で、疾患や研究について、患者さんやご家族がわかりやすく知ることができる情報源は限られているのが現状です。

難病のゲノム医療の現状を知り、「遺伝」やゲノム医療に関する情報をどのように伝えていけばよいのか、一緒に考えてみませんか。

みなさんの質問・意見にライブでおこたえします!

イベント告知URL: https://250919-genome.peatix.com

250919_難病のゲノム医療について考えよう.001.png

開催日時:2025年9月19日(金) 19:00〜20:30

開催形態:Zoomウェビナーでのオンライン開催

ご参加いただける方:難病の患者さん、ご家族、支援者の方はどなたでも参加できます

参加方法:参加は無料です。下記のURLから事前申し込みをお願いいたします

*申し込み締切 9/17(水) https://questant.jp/q/250919-register

プログラム

1.開会あいさつ

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 理事長特任補佐  水澤 英洋

2.難病のゲノム医療の現状について

厚生労働省健康・生活衛生局難病対策課

3. 参加者からのQ&A

休憩

4. 難病のゲノム医療に関する情報提供のあり方について

厚生労働省健康・生活衛生局難病対策課

東京大学医科学研究所公共政策研究分野 教授  武藤 香織

5. 参加者からのQ&A

みなさんからのご意見・ご質問にライブでおこたえします!

*個別の治療内容や研究参加に関するご質問・ご相談は受け付けられませんのでご了承下さい。

*ご質問は事前アンケートと当日のQ&A機能で受け付けます。

6. 閉会あいさつ

主催:厚生労働行政推進調査事業補助金(難治性疾患政策研究事業)「革新的技術を用いた難病の医療提供体制推進に関する研究」(水澤班)

イベント運営:東京大学医科学研究所 公共政策研究分野   Email: event@pubpoli-imsut.jp 

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MIサマーフェスタに参加しました(松山)

2025/08/03

D2の松山涼子です。

私や、D3の島﨑さんが所属する、新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻医療イノベーションコース(MIコース)では、MIコース内の研究室との交流を目的に、毎年の夏に研究発表会(MIサマーフェスタ)を開催しています。

 今回は、現在取り組んでいる調査の分析について、進捗状況を報告させていただく機会をいただきました。他の研究室の先生方や学生の皆さんから直接コメントをいただける、非常に貴重な場でした。

 自身の研究テーマを改めて言語化し、整理してお伝えする作業は、毎回緊張もありますが、やはり学びが多いです。「こうした視点は面白いのでは」「この点はもっと深掘りできるかも」といったコメントに励まされると同時に、視野の広がりを感じました。

 また、他の方々の発表も大変刺激になりました。昨年度から進めている調査の成果や、博士論文の構成をどのように組み立てているのか、丁寧に共有されており、「自分もがんばろう」と素直に思える時間でした。

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【院生室より】学際情報学府修士論文中間発表会を終えました

2025/07/25

2025年7月23、24日に、学際情報学府の修士論文中間発表会が行われました。

この会は、当年度に修論執筆を予定している学際情報学府所属学生に義務付けられているもので、主査(指導教員)と副査2名、計3名の先生方の前で、研究の進捗と今後の構想について発表します。

発表時間15分、質疑応答10分、オンラインの実施で、学際情報学府の構成員は自由に閲覧可能です。

今年度は、胡さんと村上の2名が、それぞれ発表を行いました。

 

前日に行われた研究室内での予演会には、研究室の先生方、院生の皆様が有志で集まってくださり、より良いスライド構成のためのアイディアや不足している説明など、たくさんのアドバイスを頂戴しました。

さらに、スライドの構成については、当日の朝まで武藤先生と相談を重ね、発表直前まで推敲して臨みました。

副査の先生方からどういったコメントをいただけるかが、特に不安でしたが、予演会やご指導のおかげで、胡さんも私も無事に発表を終えることができたと感じています。

 

発表会では、これまで私が考えていなかったけれどもとても重要な視点や、改善すべき箇所など、先生方から非常に有益なコメントを頂戴することができました。

 

修論提出に向け、やるべきことはまだ山のようにありますので、これからもペースを崩さず研究に取り組んでいきたいと思います。

 

(文責・学際情報学府M2 村上)

 

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日本周産期・新生児医学会の学術集会に参加しました(島﨑)

2025/07/16

新領域創成科学研究科D3の島﨑です。

先日、大阪で開催された第61回日本周産期・新生児医学会学術集会に参加してまいりました。

私は、女性や社会的マイノリティとされる人々が直面する医療の課題に関心を持っており、特に生殖に関する問題に強い関心を抱いています。

昨年、初めて本学術集会に参加させていただいた際には、実際の症例や臨床現場で直面するさまざまな課題に触れ、大変学びの多い経験となりました。

今年も参加を楽しみにしており、今回も多くの刺激を受ける時間となりました。

今回は主に妊娠期に関連するセッションを拝聴し、出生前診断、プレコンセプションケア、胎児治療、母児ワクチンなどについて、最新の知見や現場の取り組みを学ぶことができました。

数々の症例報告を通じて、社会的要因が個人にもたらす影響の大きさを改めて実感するとともに、実際に困難な状況に置かれている方々の存在にも心を動かされました。

「自分と同じような思いをする人がこれ以上増えないように」という願いのもと、症例報告への承諾をされた女性や患者さんの思いをしっかりと受け止め、今後の研究に取り組み、その成果を現場に還元していきたいと強く感じました。

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7月の公共政策セミナー

2025/07/09

2025年7月の公共政策セミナーは、以下の通り、行われました。

 

◆日時: 2025年7月9日(水)13:30~16:00ごろ

(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)

◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階

公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催

 

 

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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
報告1
報告者:永井 亜貴子(新領域創成科学研究科 特任助教)
タイトル:ワクチン開発のためのヒトチャレンジ試験に関するインターネット調査
要旨:
ヒトチャレンジ試験とは、研究参加者に意図的に病原体を感染させて発症や経過を観察する臨床試験である。海外では治療法のある感染症での実施が進んでおり、英国ではCOVID-19の治療薬がない段階で若年層を対象に実施された。日本では感染症での実施例がなく、政府は将来の迅速なワクチン開発に備えて導入の検討を開始した。導入には市民の理解が重要だが、国内で市民を対象としたヒトチャレンジ試験への関心や態度に関する調査は行われていない。本報告では、20253月に市民を対象に実施した、ワクチンやヒトチャレンジ試験に関するインターネット調査の結果について報告する。
指定発言:三村 恭子(公共政策研究分野 学術専門職員)

報告2
報告者:胡 錦程(学際情報学府大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 修士課程)
タイトル:ワクチン臨床試験に対するワクチン研究参加者意識と制度的ニーズの分析〜ジェンダーの視点から〜
要旨:
本報告では、202411月に実施したアンケート調査の分析進捗を共有する。調査の目的は、日本におけるワクチン臨床試験(人為的感染を伴うチャレンジ試験を含む)について、参加者の認知度や関心・参加意欲、および試験実施に求められる制度的ニーズを明らかにすることである。ワクチン接種に伴うリスク認識や接種意欲には性差があり、女性の方が慎重であることが先行研究で指摘されているため、ワクチン臨床試験の参加に関しても、男女間で意識や制度的ニーズに違いが生じる可能性があると考える公平で包括的な試験制度設計にはこうした性差の考慮が重要であることから、本研究はジェンダーの視点を重視した分析を行った。既承認のCOVID-19 mRNAワクチン臨床試験参加者112名(女性約38%)を対象に質問紙調査を実施し、分析した。その結果、チャレンジ試験への積極的意見は男性(62.3%)が女性(32.6%)を大きく上回り、女性は慎重で判断保留の傾向が強かった。また女性は、経済的補償や健康リスク管理、育児・介護支援など、多様な制度的サポートをより強く求める傾向があった。本報告では、関連するジェンダーに関する文献調査の知見も紹介し、修士論文の研究の今後の方向性を明らかにしたい。
指定発言:渡部 沙織(公共政策研究分野 特任研究員)

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【院生室より】日本老年学会総会に参加しました(村上)

2025/07/02

2025年6月27〜29日に幕張メッセ等で開催された、第34回日本老年学会総会に参加してきました。

日本老年学会は、日本老年医学会、日本老年社会科学会、日本基礎老化学会、日本老年歯科医学会、日本ケアマネジメント学会、日本老年看護学会、日本老年薬学会の7学会で構成されている、老年学会の連合体です。

各学会が個々に学術集会等を設けていますが、2年に1回、全7学会が集まって総会を行います。今年度は、その総会の年でした。

 

私は高齢者の医療に係る意思決定支援について関心をもっており、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)に関する発表を中心に拝聴しました。

7学会の総会のため、拝聴したいものがたくさんあり、当日できなかったものはオンデマンドで確認する予定です。

 

また、ポスター発表の様子を見ることができました。私にはまだポスター発表の経験がないため、分野ごとに発表の様子が違うことも勉強になりました。

 

自分の専門である高齢者について多くの学びを得ることができた総会でした。

 

(文責・学際情報学府M2 村上)

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6月の公共政策セミナー

2025/06/11

2025年6月の公共政策セミナーは、以下の通り、行われました。

 

◆日時: 2025年6月11日(水)13:30~16:00ごろ

(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)

◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階

公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催

 

 

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〈報告概要(敬称略・順不同)〉
◆報告1
報告者:松山 涼子(新領域創成科学研究科 博士後期課程)

タイトル:エコチル調査に参加する母親を対象としたインタビュー調査の進捗報告
要旨:
本報告では、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」に協力する母親20名を対象に実施したインタビュー調査の分析進捗について報告する。本調査は、調査継続率の向上に資する要因を探索するとともに、今後予定している子どもを対象としたグループインタビュー調査の実施に向けた意見を収集することを目的として、2024年12月から2025年1月にかけて半構造化面接の形式で実施された。母親たちは、これまでの調査協力に対する思いや経験を語り、その語りからは、「親の代諾による研究参加から、子ども本人の同意による研究参加へと移行する過程において、母親はどのような視点を持っているのか?」という問いが導き出された。
初期結果では、①12年間の積み重ね②調査の自分ごと化③見守りへの転換という3つのテーマが構築されている。本報告では、これらの結果について、分析の進捗について報告するとともに、これまでに実施した、エコチル調査に参加する子どもやエコチル調査の現場スタッフを対象としたインタビュー調査の概要についても報告をする。
⇨指定発言:胡 錦程(大学院学際情報学府文化・人間情報学コース 修士課程)

◆報告2
報告者:李 怡然(公共政策研究分野 准教授)
タイトル:ワクチン開発の臨床試験におけるELSI:臨床研究の研究参加者の語りを通して考える
要旨:
感染症のワクチン開発にあたっては、人を対象に安全性や有効性を検証するための臨床試験が不可欠であり、研究参加者に与えうるリスク・ベネフィット評価、必要な制度や配慮を検討することが求められる。臨床試験を含む医学研究への参加経験があり、ワクチン開発に好意的な態度をもつ健康な人々の意見を反映することが研究参加者の確保の上でも重要となるが、研究参加者の経験や態度は必ずしも明らかになっていない。本研究では、国内で実施された承認済COVID-19ワクチンの臨床研究の研究参加者のうち協力を得られた方を対象に、2025年12-1月にインタビュー調査を実施した。本報告では、調査の概要と結果の一部を報告し、調査協力者はどのような理由や期待から臨床研究に参加しようとするのか、ワクチン開発の臨床試験への参加意欲など、今後の研究開発を進める上での課題を考える手がかりとしたい。
⇨指定発言:永井 亜貴子(新領域創成科学研究科 特任助教 )

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5月の公共政策セミナー

2025/05/14

2025年5月の公共政策セミナーは、以下の通り、行われました。

 

◆日時: 2025年5月14日(水)13:30~16:00ごろ

(1報告につき、報告30min+指定発言5min+ディスカッション)

◆場所: 東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター3階

公共政策研究分野 セミナー室/Zoom併用開催

 

 

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〈報告概要(敬称略・順不同)〉

◆報告1

報告者:方 璽正(学際情報学府 修士課程)

タイトル:現代中国における転向療法を合理化する言説について

要旨:現代中国における同性愛は脱病理化が進んでおり、一般市民の同性愛者への態度は受容的・積極的になりつつある。しかし、性的マイノリティを対象とした転向療法が国際的に批判される一方で、家族が同性愛者本人の意思を尊重することなく、転向療法を志向する施設に入所させるという状況がいまだに存在し続けている。

本研究は、上述のような脱病理化と転向療法の存在のバラドックスに着目し、中国における同性愛の特殊性を踏まえながら、転向療法施設への入所を合理化する論理の価値規範を捉えるためにインタビュー調査と言説分析に取り組む。分析を通じて、同性愛が脱病理化されつつある現代中国における、同性愛に対する不可視な言説空間の認識や価値観の可視化を試みたい。

⇨指定発言:松山 涼子(新領域創成科学研究科 博士後期課程)

 

◆報告2

報告者:西 千尋(公共政策研究分野 特任研究員)

タイトル:分子生物学におけるELSI・RRI教育および科学コミュニケーション

要旨:本報告では、分子生物学におけるELSIおよびRRI(責任ある研究・イノベーション:Responsible Research and Innovation)に関する科学教育や科学コミュニケーションの分析研究および研究実践例を提示する。RRIはELSIの考え方から発展した考え方であり、研究者・開発者だけでなく市民の意見を研究の上流から取り入れようとするアップストリーム・エンゲイジメントの考えを組み込んだ枠組みである(藤垣 2018)。

報告者は、公共政策研究分野の研究室に所属する前に、分子生物学に焦点を当てたELSIや RRIに関する科学教育の分析の研究を通じて「自分のこととして議論する」重要性を論じた。さらに、分子ロボティクス分野におけるELSI・RRIに関する科学コミュニケーションの研究実践を行い、自然科学分野の研究者を対象とした読み物の作成をした。本報告では、上記の研究実践を報告者の自己紹介も加えつつ紹介する。これらの研究を踏まえて、今後、公衆衛生学分野におけるELSI論点を議論していきたい。

⇨指定発言:李 怡然(公共政策研究分野 准教授)

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