多施設共同疫学研究における中央事務局業務のまとめ論文が出ました(武藤)

2013/10/15

このたび、北海道大学公衆衛生学分野の玉腰暁子先生と共著で、ものすごーく地味な論文が出ました。果たして、多施設共同疫学研究の事務局って何をしているところなのか、そして何をしないと機能しないのか、について検討した論文です。日本公衆衛生学会誌は、以下のサイトから全文を読んで頂くことができます。


「多施設共同疫学研究における中央事務局業務―実態の類型化と今後の標準化にむけて」

玉腰暁子・武藤香織 日本公衆衛生学会誌 60(10):631-638, 2013.


掲題の疫学研究だけではなく、医学研究の多くはプロジェクト化・大型化が進んでいます。結果として、研究代表者の所属機関が中央事務局業務を担っているというのが現状です。

しかし、様々な意思決定を迫られるプロジェクト立ち上げ時に研究者間のトラブルが少なくて済むかどうか、そのプロジェクトが成功するかどうかは、中央事務局が内外情勢に目配りをしたうえで機能できるかどうかにかかっている部分が大変大きいと思います。そのノウハウは全く蓄積されていません。円滑に進んでも褒められることはないし、何かトラブルがあっても飲み会でおしまいにしちゃう、だから「どういう中央事務局が理想なのか」ということもよくわかっていない状態です。

そのような問題意識からスタートした本論文では、日本の6つの大型疫学研究を取り上げて、その中央事務局がどんな作業をしているのかをリストアップするという、「え、それだけ!?」という内容です。ですが、「え、それだけ!?」ということも、これまで中央事務局を担う人たちの中だけで共有され、知識化してこなかったということです。

幅広い読者に興味を持ってもらえる論文ではありませんが、研究プロジェクトのマネジメント経験がある人には、「そうそう!」「あるある!」と、涙して読んでもらえるのではないかと、願っております。